NHKの「土曜ドラマ」で1993年4月17日から5月1日まで放送されたテレビドラマ(全3回)に『春の一族』がありました(原作・山田太一)。東京都文京区本郷菊坂の古アパートに訳ありの中年男(緒形拳)が引っ越してきて、他の住人たちにおせっかいをはじめるという内容です。住人たちは、もちろんその行為を疎ましく思っていたのですが、徐々に歓迎するようになっていきます。解説では、「個と共存」のテーマをリアルな生活感覚で描いたドラマ、とあります。当時、「隣は何する人ぞ」が皆目わからない時代に突入していたのを憂いた山田太一が、その解決法を模索したのかもしれません。
いま、アダム・グラントの『GIVE&TAKE~「与える人」こそ成功する時代』が手元にあります。
この本の監訳者の楠木建さんが、次のような『ギヴァー』との関連を感じさせてくれるような解説を書いてくれているので、そのまま掲載させてもらいます。
「非常の時間がかかること」や、「記録」よりも「記憶」を重んじていることなど、『ギヴァー』との関連大いにありだと思われませんか? そして、最後のITの発達は私たち個人と集団/社会のあり方を、1993年代とは比べ物にならないぐらいに難しくもしています(容易にもしている?)。
この後、楠木さんはどうしたら「ギバー」になれるのかも整理してくれていますので紹介します。
・まずは、「がんばらない」。
・成功するギバーは、「自己犠牲」ではなく、「他者志向性」をもっている★。
・自分にとって意義のあることをする。自分が楽しめることをする。
★これは、「人間関係をよくしましょう」を意味するわけではありません。「自分の仕事(や他にすること)とは、いったい何のためにするのか」ということを、突き詰めるということです! この辺について興味のもてた方は、ぜひ『『GIVE&TAKE』を読んでみてください。そして、『ギヴァー』も(再度)手にしてみてください。
★★楠木さんの解説を読んでいて、『春の一族』を思い出したので書き出しで紹介しました。そのドラマが、「迷惑がられない程度のおせっかい」を私の趣味の一つにすることに大いに役立っていたからです。そして、『ギヴァー』は私にその確信をもたせてくれたと同時に、復刻する必要性をもたせた本でした!