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2011年10月24日月曜日

あえて争点を扱う

 「記憶と歴史」(Doing Historyの連載)の第5回目=最終回は、まだ記憶に新しい原発を含めて捉え方に争点のあるテーマをあえて扱う事例です。紹介されているのは、東電の原発をイメージして書かれたものではもちろんありません。アメリカでも争点の筆頭に上がるものとして存在しているのでしょう。


第11章 あえて争点を扱う

129  原発があることによるプラス面とマイナス面

● プラス面               マイナス面

 安くてクリーンなエネルギー    事故の危険がある
 新しい職の提供           仕事も危険
 炭鉱よりも安全?          学校や住宅に近すぎる
 安全面の努力をしている      宅地の価値が下がる
 天然資源を守る           廃棄物の安全な処理法がまだ
                     見つかっていない
● 以上がもたらす結果:

 原発があると            原発がないと

 1すべていいことが起こる    1天然資源を使い果たす
 2ワシントンもチェルノブイリ   2石油のコストが上がり続ける
  のようになる            3資源がなくなる前に、安全な
 3廃棄物が地下水を汚染する  エネルギー源を科学者が発見する


130 Conflict is fundamental to democracy. (対立は民主主義には欠かせない)

131 従来の授業法のInitiation-Response-Evaluation(=教師が尋ねて、生徒が答えて、教師が評価する)と言う流れでは、話し合い(対立を解消する)の練習にはならない。
  Teach for as well as with discussion.(話し合える能力)が求められている時代。

132 その際、小グループでの話し合いは重要。
  Agency refers to the power to act/to make history. ←第1回目に紹介したAgencyです。We are all participants in the ongoing drama of history. We are both the subjects of history and its agent.  しかしながら、日本の歴史教育はこれまでこの大切なAgencyという考えを放棄し続けている。歴史の観客であり、参加者とは位置づけてこなかった。

133 One option for teaching history is to begin with controversies that are still unresolved. 歴史教育を始める一つの有効な方法は、まだ解決されていない対立を扱うことです。 ~ それは、過去、現在、未来をつないでいるから。

135 Historical agency is an important concept because it is the aspect of historical thinking that helps students see themselves as historical actors. Just as the actions of people in the past produced history, so too do students’ actions today and tomorrow make history. History is real and current.

136 それに対して従来の歴史教育は、history seems inexorable ~ a train moving along a track of someone else’s devising. ~ 私たちが習ってきた歴史は、すべての結果が出ているものばかり。

 A variety of factors, including individual choices, influence historical outcomes.

 Speculating about alternative outcomes helps students recognize that particular events are not inevitable. ~ ある出来事を不可欠と捉えるのではなく、それも個人(たち)の選択と判断の結果である、と捉えられることは、歴史の見方や、いまのアクションの仕方、未来の見方を大きく変える力になる。

 “What if…”で、議論したり、ロールプレイをしてみたりする。

137 When history challenges our world view, it can be discomforting ~ and compelling. ← そのぐらいでないと、歴史を学んでいるとは言えない。極めてエキサイティングな体験としての歴史(教育)

138 IT ISN’T FINISHED YET: YOU CAN MAKE A DIFFERENCE ← 歴史に対してこの感覚をもてたらすごいこと!!(歴史はまだ終わっていない。自分は何か貢献することがあり得る。)

  Dicisions made in the past can be changed in the present. (過去の決断したことは、いま変えることができる!!)

 3回の具体的な事例紹介以外にも、この本の中にはたくさんの効果的な歴史の扱い方(教え方)が紹介されていました。いったい日本で行われている歴史教育は何なんだ、とつくづく思わされました。

 私たちが常日頃当たり前にしていることは、決して当たり前ではありません。ちょっと見方を変えてみるだけで、そのことがわかってしまいます。

2011年10月21日金曜日

学んだことは表現する!

 「記憶と歴史」Doing History連載の第4回目 は、学んだことを表現することの大切さです。その時、対象を設定することも。ちなみに、教師は最悪の対象である場合が多いです。理由は、答えをすでにもっていると本人も生徒たちも思っているから。


第7章: 世界史を探究を通して学び表現する

74 音楽、ビデオ、マルチメディアを作成するという課題は、今の生徒たちには難しくないし、受ける課題。

76 Engaging students in creative activities that ensure meaningful learning. 創造性を引き出す意味のある活動に生徒たちを巻き込む。 ← これが、教師の役割。 どれだけやれている教師がいるでしょうか?
  Activities provide the means by which students construct knowledge, and so they are indispensable part of lesson structure. 活動は生徒たちが意味を作り出す手段で、授業の欠かせない一部。
  必要は資料や情報に生徒がアクセスできる環境を整えることも、教師の役割。
 生徒が読んだり、聞いたり、見たり、体験した後は、they still have to do something with that content in order to understand and remember it. This is the purpose of activities. 何らかの形で「出版」(表現)するのが効果的。 ボード・ゲームを作ることなども含めて。
  Research has shown that when students try to recall information from class, they don’t just think about the content itself; they also think about the way in which they learned it. 内容は、学んだ方法と同じぐらい重要!

77 20ぐらいの活動を身につけていればいい。扱うテーマ(内容)によって、使う活動を決める。いい教師は、常に集め続ける。★ 20のリストに興味のある方は、連絡ください。

  選択すること、生徒がオウナーシップを持つこと、学ぶ責任を生徒が担うこと = 自立した学習者になってもらう仕組みが大切。 単に知識を暗記するのではなく、自分にあった学び方を身につけることも。

78 選択することは、関連づけることにつながる。
  比較することも、とても大切。 比較することは、理解する助けになる。

86 ランディ・パウシュの『最後の授業』で紹介されていたようなマルチメディアを大学生が作り出すプロジェクトは、高校生(中学生?)も十分に可能な時代


第8章: 歴史博物館をつくる

88 過去100年の移り変わりは、物を展示する形で示す。あるいは、写真。
  各生徒が、自分のテーマを2つか3つ決めて追いかける。その後に、ペアで相談して一つのテーマに絞って追及する。そして、歴史博物館に展示できるものをつくる。
→ サザエさんのまんが、さくらももこ、パナソニック・キッズスクール(くらしと家電の歴史1900~2000)、50年前の延岡~家に眠っている写真。他にも、
・ 『ニッポンの風景 ~ 住吉大社の千年のくすの木』 島田アツヒト、あすなろ
・ 『はらっぱ』 神戸光男、童心社
・ くらべてみよう100年前と 全5巻  本間昇
・ 学習に役立つくらしのうつりかわりシリーズ 全8巻 本間昇 など。
★ 他に、いい参考文献や資料があったら、ぜひ教えてください。

  総合学習が失敗しているように、単に子どもたちに調べさせるだけではダメ。本当に発表するから、本気で調べられるし、調べたい疑問・質問も出せる!!

  歴史博物館(家族史)のアプローチは、移り変わりを理解するだけでなく、ask questions. collect information, draw conclusions, and present their findingsという方法を身につける。

89 Teachers must help students learn how to conduct inquiry. 要するに、上の4つ。

90 Historical inquiry stems from students’ interests and experiences.
  Authentic projects involve learning beyond school boundaries. 本当のプロジェクトは、学校の枠を越えた学びを可能にする。
  Students are not accustomed to generating researchable questions.
  Observation and discussion of historical artifacts lead to specific questions.
  さらには、Time for exploration leads to better questions.

  興味・関心を、調査できる質問に転換する ~ 調べるためのいい質問づくりは容易じゃない! 繰り返しの練習で身につける

92 教師は、コンセプトに迫るような問いかけができるように生徒たちをサポートする。
  What happened to James Watt?
       ↓
  Why didn’t trains run on electricity?/ Why did they stop making electric trains?
       ↓
  How has the power used for trains changed?

  教師の言ったことをやらせるか、生徒任せにするかの二者択一ではなく、第三の道。生徒に主体的になってもらいながら、教師はサポートし続ける。

92 Information in inquiry projects comes from a variety of sources. 多様な情報源を使う。

93 Students need to learn to read selectively for information.
  調べ方、答えの見つけ方は、ライフスキル ~ その際、人の果たす役割は重要。

94 In history, conclusions are based on evidence. 歴史では証拠が重要。
  Important questions rarely have simple or direct answers.
  Teachers need to model how to draw conclusions from evidence.

95 Teachers need to model the use of notes to draw conclusions and organize reports.
  あまりにも、モデルを示さない日本の教師。教えることに熱心すぎて。教えることとモデルを示すことは違う。どちらに時間をかける方が効果的かを考えるべき。

歴史博物館アプローチのまとめ:
100  3つの特徴:①身近に感じられる、②本当の歴史の探究を行える、③本当にいる対象に向けて発表できる
   participatory democracy(民主的な社会)への貢献としては:
① find relevant information and draw own conclusions based on evidence. Citizens have to be able to develop ideas based on the careful consideration of evidence.
② It helps other people learn. Sharing information in this way makes democratic participation richer and more complete.
~ こういう努力をし続けてこそ、民主的な社会はつくられていくんだと思います。「三権分立」などと言っているだけでは、何ごとも前に進まないわけで・・・

2011年10月17日月曜日

記憶と歴史 第3回

 これまで2回は原則的なことだったので、これからは具体的なこと(=実践例)を紹介します。今回は、自分と家族についての歴史です。『ギヴァー』の世界は、これらがとても弱いのですが、日本社会は大丈夫でしょうか? Doing Historyの連載第3回。

第4章 自分史

  歴史を理解することは、自分史からスタート!! → 小学校の低学年でやっているかもしれませんが、高学年ないし中・高でやる必要があるんだと思います。
  自分の過去が現在(そして、未来)にどれだけ影響しているかを知る。
  もっとも重要な5つのエピソードを選ぶ
  歴史は、過去の現在への影響を知ること → だけじゃないでしょう! 未来まで視野に入れないと!!!) Agencyという概念は、現在のアクションを大事にしたもの? それとも未来??

  多くの生徒たちは、他の生徒の大切な出来事を聞くまで自分のがわからないこともある。

  自分の記憶が出発点だが、それだけじゃ不十分なので、親や祖父母や親戚たち、あるいは写真などにあたる(要するに、多様な情報源に当たる)必要性が生じる。

35 自分の見方とは異なる視点を提供してくれることもある。

36 単に教師のためにするような課題では、子どもたちは本気に取り組まない。自分にとって価値が見出せない限りは。おもしろさを感じられなければ。「本当」の課題の価値。

  ここで紹介されているのは、「自分の歴史」を自伝(物語)にして友だちに紹介するという課題。→ 詩やエッセイ等、他のジャンルでも可能。
  全員が同じようにやれるわけではない → 選択を提供することの大切さ
  教師は、子どもたちがもっている知識やスキルを応用できるように助ける。
  クラスメイトの助け(見本)でもいい。

37 自伝を書くことは、何は重要で、何は重要でなかったのかを判断することを含んでいる。

40 厳しい境遇にある子の方が、自伝プロジェクトは書ける。
  自分自身に自信をもつきっかけにもなる。
  違いを尊重する態度を教師がモデルで示すことの大切さ。

41 自分について書かない選択も提示する。他の誰かを選んでもいい。
  また、発表しない選択も。
  目的は、過去が現在にどう影響を及ぼすかを知ることだから。

42 自伝プロジェクトの応用: 市販されている自伝を批判的に読む。その際の問うべき質問の例
  究極は、自分たちで誰かの自伝を書く。(自己満足じゃなくて、設定した読者に向けて)

43 自分との関係がまったく見出せない歴史を学ぶことは意味がない! → 関連づけられる形で提示してあげないと!! それができないと受け入れられないし、単なる暗記になってしまう。

  子どもたちは、自然界の中で生きているのと同じように、個別の歴史をもっており、歴史の中で生きている。


第5章 家族の歴史 ~ 祖父母にインタビューして綴る

45 世代の違いを認識することだけでも大きい。
  インタビューの仕方、ノートの取り方も身につける。そして、インタビューの結果を共有し合う。 → 教科書で、子どもたちとの関連付けを意識しているものはあるの??? 関連づけられないと、学べないのに。

46 関連づけられるのは、教師。それを生徒自身に委ねてはダメ。 → 教科書は、子どもたちを知らないので、できるはずがない!! それとも、できる?

47 生徒たちは、個人的な、人間的な側面に興味を示す。たとえば、写真、音楽、ドレスなど。

48 経済や社会などの抽象的なレベルでは受け入れられない。手伝い、余暇の過ごし方、学校など具体的なレベルじゃないと。 ~ これって、教える時の原則

54 発展: 地域の歴史

2011年10月13日木曜日

過去、現在、そして未来

 前回に引き続いて、Doing History連載第2回目です。

 今日は、「過去、現在、そして未来」というタイトルのついた第1章。

1 connects to the present ← 現在とのつながりこそが大切
 we are still in the middle of the story. ← 「私たちはいままさに物語の真っ只中にいる」という感覚の大切さ!
 History forces us to consider what it means to be a participant in this human drama ← 歴史は、人間ドラマの中で参加者であることはどういうことかを考えさせてくれるもの。これを放棄している『ギヴァー』の社会、そして、とても弱い日本社会。

2 4つのスタンスの紹介
  ① Identification involves looking for connections b/w present and past.
  ② Moral responses to history involve judgments about the people and events of the past.
  ③ Historical analysis involves identifying patterns or examining causes and consequences of events.
  ④ Exhibition involves the display of historical information, whether in school or out.
 → 日本の歴史教育には、すべてが欠けているというか、とても弱い気がします。

2 History helps us picture possible futures. → 歴史が未来を描き出してくれる。

3 Shifting the focus of the history curriculum to a pluralist perspective presents a more inclusive and authentic vision of the futures available to all students. → 多様な視点で見られるようになることこそが、真の未来のビジョンにつながる。以下の5つの特徴も、日本の歴史教育では押さえられていないと思います。
  - Focus on enduring human dilemmas
  - Focus on human agency
  - Focus on subjecting interpretations to scrutiny and skepticism
  - Connect to the microlevel
  - Connect to the macrolevel

3 History is about significant themes and questions. → 価値のあるテーマと質問こそが歴史である!
 If history helps us think about who we are and to picture possible futures, → 歴史は、自分たちが何であるか、そしてどこに向かっているのかを教えてくれる。単に年号を覚えたり、時代の流れを理解するだけではダメ!! 基礎・基本の後に、応用というアプローチもダメ。自分たちの役割を感じられないようなものではダメ。学校の歴史は、幅の狭い解釈/視点しか提供していない。
 その代わりに、we need a vibrant history curriculum that engages children in investigating significant themes and questions, with people, their values, and the choices they make as the central focus.

4 engage students I thinking about who they are, where they came from, and where they might go in the future. → 私たちがどんな者であり、どこから来、そしてどこに向かっているのかということに取り組ませる。
 History is Interpretive. No historical account can be entirely objective….history is always someone’s history. → 歴史は解釈でなりなっている。客観的な解釈は不可能。歴史は常に誰かの歴史であり続ける。
  If our students are to be visible – able to see themselves as participants in the ongoing drama of history – then we have to rethink the ways in which we conceive of history.
  - Begins with the assumption of a pluralist society. → 社会は多様であること。
  - Recognize that no single story can possibly be our story. → 一つの物語がすべてを言い表すころはできないこと。
  - Remember that history is alive, constantly changing as we speak and act. → 歴史は生きていて、私たちが話したり、行動したりすることで常に変化していくこと。
→ この辺のことは、『ギヴァー』の中で、ジョナスがとったアクションに通じると思われませんか?

5 単なる年譜じゃない! 関連を表すストーリーとして表現される。

6 羅生門現象 ~ 誰の視点で語られているのか
  だからと言って、すべての解釈がいいとか、正しいと言っているのではない。
  確実に言えることは、教科書の解釈はあまりにも狭すぎるということ。
  歴史は、極めて政治的!
  当然の如く、国益/国家史観の観点から書かれている。時の権力者の視点で書かれた歴史を参考にして書かれている文献中心主義の歴史。

7 あくまでもhistory(彼の物語)であって、herstory(彼女の物語)ではない。
  誰が書いたのか、誰/何については書いていないのか?
  Interpretation is an inseparable part of historical understanding. → 解釈と理解は切り離せない。
  歴史は、とてもcontroversial矛盾をはらんだもの。

8 Attempts to tell a more inclusive story of history are met with fierce resistance. → 多様な視点(あるいは、異なる視点)を入れようとする、とても大きな抵抗にあう。それが、固定的な見方に埋没してしまう理由。
 歴史教育の目的 → 目的をしっかり持つことが大切 (どの教科にも言えること)
 ・ The purpose is to prepare students for participation in a pluralist democracy.民主的な社会への参加を可能にすることが目的。
 ・ 実際に参加すること
 ・ より多くの人にとっていいこと

 3つのより具体的な目標:
 ・ The study of history can give students experience reaching conclusions based on evidence. 証拠にもとづく結論を導く練習
 ・ The study of history can engage students in deliberations over the common good. これは、どう解釈したらいいんでしょう??
 ・ The study of history can help students understand perspectives different than their own. 異なる視点の理解

10 要するには、正解のないアプローチ。一つ(ないし狭い)見方しか提示していない教科書を使わないアプローチ ~ あるいは、たくさんの資料のうちの一部に位置づけるアプローチ 一つの見方しか提供できない教科書は、他のたくさんの資料の中の一つとして扱う必要がある/扱わなければならない。

2011年10月11日火曜日

記憶と歴史

 Doing History連載第1回。
 
 記憶と歴史は、それらを消し去っているがゆえに、『ギヴァー』の重要なテーマの一つです。これらについては、最初にこの本読んだ時(もう、5年近く前)から引きずっています。引きずってきた大きな理由の一つは、この歴史大好きの日本でも、『ギヴァー』のコミュニティと同じように記憶と歴史を軽んじている部分が多分にあると思っていることにあります。それは学校での歴史教育に顕著に表れています。(そして、長く続いている歴史ブームにも未来志向の欠如を痛切に感じます。)

 ずっと引きずっていたことが、DOING HISTORYというタイトルの極めて効果的な歴史の教え方に関する本に出会って、いろいろなことがスッキリしました。まさに、私が考えていたことを明快な言葉で書いてくれていただけでなく、それを実現させる歴史教育の実践例までたくさん紹介してくれていたからです。

 エピローグに、この本がどんなスタンスで書かれているのかが完結にまとめられています。(以下は、私のメモからそのまま書き写します。申しわけありませんが、原書が英語なので、そのままコピーしています。カッコ内の日本語は、私のコメントです。)

193 Being human means thinking and feeling(actingも含めたい気分); it means reflecting on the past and visioning into the future(この後者の未来志向の部分が極めて弱いのが日本の歴史の扱い方であり、日本の歴史教育なのでは?). We experience; we give voice to that experience; others reflect on it and give it new form. That new form, in its turn, influences and shapes the way next generations experience their lives. That is why history matters.(なかなか、こういう捉え方をしていないです。特に、暗記科目としての歴史では。)

History always derives from the present ~ from the ways in which individuals at a given moment in time reflect on and give form to times past. Teaching and learning history is also about imagining a future in which we understand ourselves and others better, and that is the point of this book. (現在と未来のウェートをこんなにも大事にした形での歴史教育ないし歴史というのは、日本に存在するでしょうか?)

Thinking historically is fundamentally about judgment ~ about building and evaluating warranted or grounded interpretations. (この捉え方も大切だと思います。歴史は判断と解釈であるという。単に誰かがすでにしてくれている判断や解釈を覚えることではないんです!!)History, then, is not just opinion: It is interpretation grounded in evidence ~ hence the emphasis throughout this book on helping students learn how to gather and analyze information about the past. (判断や解釈をしっかりするためには、その証拠というか情報収集が大事であり、さらにそれらの分析も大事ですから、そうした力を身につけることにこの本は焦点を当てています。この種の歴史教育を受けた人は、日本にいるでしょうか? 大学院レベルなら当然いると思いますが。)

Always take place in a social context….(これらのことは孤独にするものではなく、仲間とするもの、というのもいいです。多様な視点が得られますから。) In a community of inquiry, where they are responsible for explaining their thinking to interested others. (単に覚えた/わかったで終わりにするのではなく、相互に教え合ったり、あるいは周辺の人に学んだことを発信する形で学んでいきます。自分が知ったり、発見した内容を伝える相手がいますから、相手に理解してもらえる形にしっかり加工して提示する必要があります。この過程で、学びが一段も二段もランクアップします。なんと言っても、他人に教えることが一番いい学び方ですから。)

This sort of agency ~ of believing in one’s ability to take action ~ is crucial to our approach throughout this book. Agency in history is something we want students to learn about, but they are also agents in their own learning and in their own lives. They should be prepared to do something with what they learn. (ここまでにすでに、いいことがたくさん書いてあったのですが、窮めつけはこのagencyという考え方です。★いい日本語にできる方は、ぜひ教えてください。★ 一人ひとりが知ったことをアクションに移せる力をもっていると信じることの大切さです。従って、知ることは手段に過ぎません。また、生徒を学びや自分たちの暮らしの中での主体的なアクターとも位置づけています。それは、常に指示されることで動く人間ではないということです。何らかのアクションに移すことを前提に歴史を学ばれた体験のある方はいますか?)

194 “a meaningful connection with the past demands, above all, active engagement…(過去と意味のある形でつながるためには、主体的に取り組むことが不可欠です。そんな環境が私たちの歴史の授業にはあったでしょうか?)We must enter past worlds with curiosity and with respect.(それには、好奇心と尊敬も不可欠です。特に、小学校~高校で歴史を学ぶ際に、これらは歴史上の事実を知ることだけからはなかなか得られませんから、教師の役割が極めて大きいことを意味します。そのために存在するといってもいいぐらいに。)” Knowing about the past then, is never enough ~ we must also care about the past, and care enough to use what we discover to make a better future.(そして、過去を大切にすることは、未来を大切にすること!)

Their willingness to work toward this kind of teaching and learning grows from a shared vision of their students (and themselves) as historical agent ~ reflecting on the past in order to act more wisely in the present, making more intelligent choices for the future, and expanding their vision of what it means to be human and humane. (要するに、どこかの権威が書いたものをカバーしていればいい、受け身な人間として生徒や教師を位置づけていては、どうしようもない、ということです。)

History is an exciting and ever-changing process of investigation and reflection.(最後は、歴史はとても興奮するもので、探究と熟考によって繰り返し行われ続けるものだ、と。こういう歴史を体験した方はいますか? まさに、「歴史をする」というか「歴史家になる」体験を通して学ぶという本のタイトルそのものです。)