「記憶と歴史」(Doing Historyの連載)の第5回目=最終回は、まだ記憶に新しい原発を含めて捉え方に争点のあるテーマをあえて扱う事例です。紹介されているのは、東電の原発をイメージして書かれたものではもちろんありません。アメリカでも争点の筆頭に上がるものとして存在しているのでしょう。
第11章 あえて争点を扱う
129 原発があることによるプラス面とマイナス面
● プラス面 マイナス面
安くてクリーンなエネルギー 事故の危険がある
新しい職の提供 仕事も危険
炭鉱よりも安全? 学校や住宅に近すぎる
安全面の努力をしている 宅地の価値が下がる
天然資源を守る 廃棄物の安全な処理法がまだ
見つかっていない
● 以上がもたらす結果:
原発があると 原発がないと
1すべていいことが起こる 1天然資源を使い果たす
2ワシントンもチェルノブイリ 2石油のコストが上がり続ける
のようになる 3資源がなくなる前に、安全な
3廃棄物が地下水を汚染する エネルギー源を科学者が発見する
130 Conflict is fundamental to democracy. (対立は民主主義には欠かせない)
131 従来の授業法のInitiation-Response-Evaluation(=教師が尋ねて、生徒が答えて、教師が評価する)と言う流れでは、話し合い(対立を解消する)の練習にはならない。
Teach for as well as with discussion.(話し合える能力)が求められている時代。
132 その際、小グループでの話し合いは重要。
Agency refers to the power to act/to make history. ←第1回目に紹介したAgencyです。We are all participants in the ongoing drama of history. We are both the subjects of history and its agent. しかしながら、日本の歴史教育はこれまでこの大切なAgencyという考えを放棄し続けている。歴史の観客であり、参加者とは位置づけてこなかった。
133 One option for teaching history is to begin with controversies that are still unresolved. 歴史教育を始める一つの有効な方法は、まだ解決されていない対立を扱うことです。 ~ それは、過去、現在、未来をつないでいるから。
135 Historical agency is an important concept because it is the aspect of historical thinking that helps students see themselves as historical actors. Just as the actions of people in the past produced history, so too do students’ actions today and tomorrow make history. History is real and current.
136 それに対して従来の歴史教育は、history seems inexorable ~ a train moving along a track of someone else’s devising. ~ 私たちが習ってきた歴史は、すべての結果が出ているものばかり。
A variety of factors, including individual choices, influence historical outcomes.
Speculating about alternative outcomes helps students recognize that particular events are not inevitable. ~ ある出来事を不可欠と捉えるのではなく、それも個人(たち)の選択と判断の結果である、と捉えられることは、歴史の見方や、いまのアクションの仕方、未来の見方を大きく変える力になる。
“What if…”で、議論したり、ロールプレイをしてみたりする。
137 When history challenges our world view, it can be discomforting ~ and compelling. ← そのぐらいでないと、歴史を学んでいるとは言えない。極めてエキサイティングな体験としての歴史(教育)
138 IT ISN’T FINISHED YET: YOU CAN MAKE A DIFFERENCE ← 歴史に対してこの感覚をもてたらすごいこと!!(歴史はまだ終わっていない。自分は何か貢献することがあり得る。)
Dicisions made in the past can be changed in the present. (過去の決断したことは、いま変えることができる!!)
3回の具体的な事例紹介以外にも、この本の中にはたくさんの効果的な歴史の扱い方(教え方)が紹介されていました。いったい日本で行われている歴史教育は何なんだ、とつくづく思わされました。
私たちが常日頃当たり前にしていることは、決して当たり前ではありません。ちょっと見方を変えてみるだけで、そのことがわかってしまいます。
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