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2012年4月28日土曜日

3冊の「色」の絵本

① 『色の女王』ユッタ・バウアー

 何色でも呼び出せる女王が、青、赤、黄色と次々に戯れていたところ、灰色に(暗く、元気がなく、悲しく)なってしまいました。そして、泣くしかありませんでした。
 そうしたら、色が戻ってきて明るく、元気に、うれしくなったというお話。
 「あなたが女王なら、何色と遊ぶ?
  あなたが描いた色を呼び出して!」
で終わっています。

 灰色というのは、暗く、元気がなく、悲しいイメージなんですね。
 誰も灰色は呼び出さないでしょうか?
 確か、『ギヴァー』の世界は、灰色のような気がしました。


② 『あかが いちばん』 キャシー・スティンスンぶん/ロビン・ベアード・ルイスえ

 おかあさんは何色だって関係ないでしょう、というけど、わたしは赤が大好き。
 「だって あかは せかいで いちばん すてきな いろだから」
という女の子のお話。

 『ギヴァー』のジョナスにとっても、赤が大好きというか、すべてのスタートでした。
  もしジョナスが3~4歳の時に赤が見えるようになっていたら、この絵本に登場する女の子のように振る舞ったかもしれないと思わせてくれます。


③ 『どうして?』サラ・ヴェルロークン

 「アヒルは、あかいぬいぐるみを つれて あるいています。
  でも、ちっとも たのしく ありません。 あたりが まっくらだから」
で始まるお話。

 ここでも、最初の色は赤です。ジョナスにとっては、リンゴの赤だったように。
 アヒルがもっているぬいぐるみが何なのかは定かでありません。
 『ギヴァー』の中の安眠アイテムを思い起こさせます。

 「そらには はいいろの くも。
  まわりには、 いろのない はな」
と、ここも『ギヴァー』の世界と同じです。

 色を求めたアヒルと同じように、ジョナスも色を見つけに行きました。


★ 他に色の絵本をご存知の方は、ぜひ教えてください。

2012年4月6日金曜日

『ギヴァー』と関連のある本 81

いい本を見つけました。

しばらくぶりの『ギヴァー』に関連のある本です。
『ギヴァー』の中に出てくる川との関連するところを引用します。
限定しないと、紹介したいところが多すぎる本だからです。
本のタイトルは、『水の惑星 ~ 地球と水の精霊たちの讃歌』。ライアル・ワトソンという人が1988年に出した本です。


156 われわれの念頭から川というものを消すことは困難である。想像の中でも川は流れつづけている。つねに動いていながら不変であり、生命をはぐくみ、これを奪う。人間の運命を力強く象徴しているのが川なのだ。

 無常なる世界に身を置く人間にとって、川は安らぎである。たえず同じ方向をめざして流れるからだ。川は、われわれに地理の基礎要素を教えてくれる。川を基準として、何度でもそこに立ち戻ることができる。

159 川は大昔からわれわれの生き方に大きな影響を与えてきた。われわれの指針となり、旅人が遠くに思いを馳せるきっかけともなった。

 川の水は受け身でいるどころか、われわれを挑発する。どこかへ連れていってあげよう、なつかしい昔へ戻るのも、見知らぬ世界へ旅立つも思いのままと、じつに魅惑的な誘いをかけてくるのである。

166 歴史は水の流れのようなもの、思考のなかを漂いゆく川である。時の流れから読みとれるパターンはいかにもうつろいやすく、歴史に名を残そうとするのは、水の面に名を記そうとするのに等しい。 ~ ギヴァーの歴史/記憶は鮮明ですね!!

171 近代の大都市は、いずれも水辺で発展をとげた。産業には水が欠かせなかったからである。100グラムの食肉を清算するには1キログラムの水があれば十分だが、100グラムの紙を作るには25キログラム、同量の肥料を作るには60キログラムの水を要する。 ~ この本が出たのは1988年ですから、データは少し古いと思いますが、とにかくスゴイ量の水が産業には必要であることは間違いないでしょう。

 水(川)の広範な汚染に触れたあとで、こうも書いています。

 また最近とくに懸念されているのが放射性物資による汚染だ。原子力発電所は膨大な量の冷却水を要するものだが、たとえばフランスでは、国内で流去する雨水の総量を越える水を原子力発電に使っている。

175 かなりの水がいまだに農業用水に利用されている。農業が全面的に水に依存することは、昔も今も変わらない。

 水の供給が安定していると、国は富み作物にも恵まれる。今日では、雨量が十分で毎年一定の収穫が見込める温帯地域の国々が、それに当たる。 ~ 『ギヴァー』のコミュニティは、天気もコントロールしているぐらいですから、雨や川の水に依存しないシステムになっているのかもしれません。

180 水は最古の元型である。善の力でありながら悪の力でもある。生命をはぐくむが、洪水や津波となって襲いかかりもする。 ~ 特に、3.11以降は痛切に感じます。

196 水の流れは、いわば想像の流れだ。精神をあえて物質にたとえるなら、水がいちばん近いだろう。英語ではものごとを深く考えることをreflectionと言うが、これは水にものを映す反射や反映の意味にも使われる。とすれば、詩的な精神に映った水を深く見つめることによって、水の心に触れ、その理解に近づけるかもしれない。 ~ ジョナスのコミュニティでは毎日振り返りの時間を設けているにもかかわらず、心に触れること、理解につながることはないような気がします。

199 水は深遠である。水には陰と闇があり、眠りや無意識、あるいは死を連想させる。長くのぞきこむと、ナルキッソスの運命を呼びこむことになる。
    水は純粋である。すべてを潤し、洗い、新しくし、再生の活力を与えてくれる。
    水は新鮮である。水はじかにわれわれを支え、心を慰め、あるいは鎮め、渇きをいやしてくれる。水は心に平和と夢想をもたらす。水は甘味にしてやさしく、われわれの痛みを和らげるのがその本分だ。
    水には、心をそそる何かがある。その何かが人を水辺に引き寄せる。
      ・
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200 水はこれらすべてであり、またそれ以上のものである。
  そして、この後には、レオナルド・ダ・ヴィンチが見抜いた「水」について紹介されています。本は、この引用で終わっています。知りたい方(知る価値は十分にあります!)は、ぜひ原書をご覧ください。


内容がいいのはもちろんですが、文章もいいです。(翻訳が、いいのかも?)
教科書の文章とは、月とスッポンです。
中学校の理科の指導要領をチェックしたら、この本でかなりの部分がカバーできます。
授業で教科書を使って勉強することで、理科嫌いをつくっているわけですから(去年の5月に教科書をチェックしていますので、この発言は間違いありません。自分の45年前の経験でも)。
代わりにこれを使うことで、理科だけでなく、地球や歴史や社会も好きになり、興味を持ち、さらにいろいろ知りたくなること確実です。

2012年4月5日木曜日

心配、心配

ずさんな「原子力ムラ」のインタビューをラジオで聞いてから、飯田哲也さんと広瀬隆さんの原発関連の本を読んできました。(広瀬さんは、「ムラ」ではなく「マフィア」と呼んでいます。)

広瀬さんの本は、それが事実なら「恐ろしすぎる」という内容です。

現実は、広瀬さんたちが情報発信しているのと、原子力マフィアやムラの住人たちが発信している真ん中あたりにあってほしいと願いたいです。(マスコミも含めて、ちゃんとした情報が流れてこないので、判断のしようがありません!! 信頼性が感じられる情報が得られないことほど、恐ろしいことはありません。)

数日前には、「食品に含まれる放射能の新基準値が1日から適用される」というニュースが流れました。基準は、これまでの5分の1、4分の1となったというのです。
早速、今日のニュースでは、その基準値を超えた食品があると報道されていました。

これじゃ、文科省がポンポン変える「基礎・基本」(学校で教える内容や量)と同じで、「その前に食べてしまったものはどうしてくれるの?」と聞きたくなってしまいます。「誰が責任取るの?」   4月1日を境に、人間の身体が基準値を変換してくれるわけじゃないし・・・

そして、今日は「放射能汚染水、また海へ流出か 福島第一原発」というニュースも
こんなずさんな状況で(それも、これをあと何年も続けることが、ほぼ見え見えの状況で)、他の原発を再開しようと言っても、ほとんど説得力があるとは思えません。極めて大事な「後始末」を含めた日本の原発技術というのは、このレベルでしかないのでしょうから。

心配するだけ無駄でしょうか?