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2019年5月20日月曜日

筒香嘉智の言葉「子どもは大人の顔色を窺いながら野球をしている」


変わろう、野球 

筒香が、少年野球を含めた日本球界の在り方に疑問を抱き始めたのは、2015年オフに訪れたドミニカ共和国での影響が大きい。その前年にも、以前から耳にしていた現地の様子を自分の目で見てみたいと思い立ち、現地に1週間ほど滞在。2015年には晴れてDeNAの許可も下り、ウインターリーグへの正式参加が実現した。約1か月を過ごしたカリブ海の小島で、現地の選手が伸び伸びと勝負を楽しむ姿にショックを覚えた。
「みんな野球が好きで好きでたまらないって言うんです。本当に楽しそうにプレーするし、雨で試合が中止になると本気で悔しがる。日本では試合や練習がなくなると、みんな大喜びするのに、この差は何なんだろうって思いました。
「日本では、監督やコーチが子ども達を怒るのは当たり前。教えたことをやらなかったり失敗したりすれば怒鳴り散らすから、子どもはみんな大人の顔色を窺いながら野球をしている。だから、野球教室に行っても、自分から前に出てくる子って少ないんですよ。それが、ドミニカでは正反対。子ども達が失敗しても、監督やコーチは『また次頑張ろう』って声を掛けるし、いい点を見つけて褒めている。それはみんな『次こそホームラン打ったろ』って、やる気出しますよね」
「僕は常に、自分を客観的に見る目を持つようにしています。もう1人の自分が、少し離れた場所から見ている感じ。気持ちが入り込みすぎて視野が狭くなることもある。状態を崩している時は、大概『これが、これが』と思い込みすぎていますね」
 子ども達が持つ才能が大きく開花するようにと思って始めたはずなのに、いつの間にか指導者の思い入れが強くなり、子ども達が怒られないように大人の顔色を窺いながら野球をするようになっていないだろうか。いいと思っていた指導が、実は子ども達の将来を危ぶむものになっていないだろうか。主役はプレーする選手=子ども達であり、監督やコーチ=大人ではない。
 この辺については、『遊びが学びに欠かせないわけ』に詳しく書かれています。
 プロになれるのは実は1%もいませんから、筒香選手が書いているように指導の目標がどこにあるのかも問われています。その意味では、『遊びが学びに欠かせないわけ』にあるように、コーチや大人の存在なしの、草野球的な方が、社会的スキルやライフスキルを身につけるためにもはるかにいいわけです。

ギヴァーのコミュニティーは、日本に近いのだろうか? それとも、ドミニカに近いのだろうか、とも考えてしまいます。戦争ごっこをしていたところは描かれていました。競争を煽るような競技は、子どもの数の少なさもあって、あまり行われてはいない感じです。
子どもの遊びに関する絵本でおすすめなのは、私が大好きな作家の『ウェズレーの国』です。

2019年5月17日金曜日

「働くということ」


「黒井千次氏の『働くということー実社会との出会いー』(講談社現代新書)を漫画化した『漫画 働くということ』を読んで面白かったです。中学生は読めませんでしたが、私にとってはピッタリでした」というメールを中学校で教師をしている知人からもらった。

『漫画 働くということ』をリクエストしている間に、『働くということー実社会との出会いー』に挑戦してみたが、読めなかった。自分は中学生レベル??

約2か月後に『漫画 働くということ』が借りられたので、読んだ。今度は、最後まで読めた。文字数がはるかに少ないから? 漫画が助けになったから? 読めはしたが、これというインパクトや印象はない。 「会社員」や「公務員」では物足りず、働くことの意味というか、やりがいを求め続けるが、それを確実に得ながら仕事をしている人はそうはいないのが現実。お金のために買われた時間を提供しているのであって、自己実現や自己表現として仕事に向かえている人はそうはいない。(たまたま、自分はそれ=自己実現・表現の手段としての仕事が30歳ぐらいからできてしまっているから、読む必要性を感じないのかもしれない。)

ギヴァーのコミュニティーでの仕事/職業/働くということを考えると、この本に書かれた内容とは大分違う。そもそも、12歳で自分の仕事(役割)がコミュニティーから提示されるから選択などのことも一切考える必要はない。そしてすべての仕事(役割)は、コミュニティーが必要なものであり、それによる賃金の差もない。誰もが、同じ生活の質を享受できる仕組みになっている。各人の性格や得意・不得意等を考慮して、誰がどういう仕事(役割)に就くかは、経験豊富な長老たちによって決められる。ちなみに、結婚相手や子どもも、長老たちが決定してくれる。

どちらの仕組みの方が、自己実現・表現には向いているんだろうか?