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2009年9月30日水曜日

訳者の島津です

はじめまして、『ザ・ギバー』新版の翻訳を担当しました、島津やよいです。
代表の吉田さんからご招待をいただいてビックリしています!
このようなすばらしい「復刊プロジェクト」が始動していたなんて!!

さて今回の新訳、「訳者として」コメントせねばならないところではありますが、
まずは私自身の『ザ・ギバー』体験から述べさせてください。
それはまさしく、
「はじめ??? なか!!! 赤子が泣いて自分も泣く」。
(あ…意味不明でしょうか。
ごはんを炊くときの「はじめちょろちょろ、なかぱっぱ…」のダジャレです(恥))

つまり、愛読者のみなさんには先刻ご承知のことと思いますが、
最初は「舞台装置」のしくみがわからなくて、じりじり。
それが 半ばをすぎると「おお…!!!」という感動が湧いてきて、
ラスト、赤ちゃんのゲイブがしくしく泣くあたりになると、
もう涙がとまらないのでした。
そして、翻訳しながら上記のプロセスを体験したので、
一つひとつの段階がとても濃密で、
何か、〈ギバー〉と同じように「荷物」(重たいだけでなく、意義深い)
を新たに背負ったような気持ちがしました。

このすばらしい作品世界を、一人でも多くの方の心に届けられたら、
訳者としてこれほどの幸せはありません。

…書き続けるといくらでも長くなってしまいそうなので、
まずはこのくらいで、ご挨拶にかえさせていただきます。
プロジェクトの成功を心よりお祈り申し上げます。

2009年9月29日火曜日

どこか自分とは関係ないところ (Elsewhere)

ロイス・ローリーのサイトを見て、彼女が『ザ・ギバー』を書いたテーマは「どこか自分とは関係ないところ」「違うところ」(Elsewhere)だと知りました。
この本だけではなく、彼女はこのテーマをどうもずっと引きずっているようにさえ思えます。

そして、その出発点はどうも日本だったようです。
彼女のお父さんは戦後すぐ、軍医として日本に来ており、彼女も11~13歳まで、いまの代々木の「国立オリンピック記念青少年総合センター」あたりで過ごしたそうなのです。好奇心旺盛だった彼女は、その占領軍家族の専用居住区を抜け出して、頻繁に渋谷を訪問していたというのです。彼女にとっては、まさに「別世界」を。

あの名作『ザ・ギバー 記憶を伝える者』、 ついに“新版”が出ます!(2010年1月刊行予定)

この新版の普及協力者=伝達者になってくださいませんか?



私が『ザ・ギバー 記憶を伝える者』(ロイス・ローリー著、掛川恭子訳、講談社)に出合ったのは、2007年3月のことでした。それは、ノンフィクション系の本では刺激をたくさん受けている私が、小説のジャンルで心の底から感動を覚え、日本中の人たちに読んでもらいたいと思ったはじめての本でした。しかし、残念なことに、『ザ・ギバー』は現在絶版で、古書でしか入手できません。

私は、なんとかこの作品を復刊して、少しでも多くの人に読んでもらいたいと思いました。この作品は、ぐいぐいと引っ張られるようなみごとなストーリー展開によって、人間のありかたの本質―家族、職業、幸せ、生と死、社会、また、人間の歴史とは、未来とは、そして、自分たちのやるべきことはなど―について広く深く繰り返し考えさせてくれます。

これまでに約30人の10代~80代の人たちに本書を読んでもらい、フィードバックをもらいましたが、9割以上の人がそのおもしろさを認め、復刊の価値にも賛同してくれました。そのことも、私が復刊呼びかけの活動に踏み出した大きな要因になっています。
それでは、なぜ天下の講談社が出したこの本があまり売れずに、絶版となってしまったのでしょうか?
一番大きな要因は、「ユース・セレクション」の1冊として出されたことにあると思います。つまり、ほとんど中・高生の目にしか触れなかったのです。しかも、極々一部の。だから本は売れず、講談社は早々に翻訳権も放棄してしまいました。おそらく1万部前後しか売れなかったのではないかと思います。(ちなみに、アメリカではすでに500万部以上、売れています。)
したがって今回の復刊では、この講談社の教訓を生かして、どちらかといえば大人を主たる対象に据えたうえで、10代の人たちも読めるような形にできればいいなと考えています。

本書の普及に、ぜひ皆さんのご協力をお願いする次第です。ぜひ当会にご参加ください!
また、刊行後はぜひ実物を手にとっていただいて、本書の価値を口コミで周囲の方々にお伝えくだされば幸いです。

『ザ・ギヴァー』復刊プロジェクト
代表 吉田新一郎


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【追記】

なお、英語ではすでに『The Giver』の続編が2冊も出ています。続編も『The Giver』に劣らずたいへん魅力的な本です。それらを日本の読者に届けるためにも、今回のプロジェクトをまずは成功させなければなりません。

さらに、アメリカでは本作の映画化の話もあるようです。でも、私は日本人の配役で、日本版・映画『The Giver』を製作したいぐらいです。あなたは、誰が〈ギバー〉役に適していると思われますか?
原書と、その続編のタイトルは次の通りです。

Lois Lowry, The Giver, Delacorte Books
Lois Lowry, Gathering Blue, Laurel Leaf
Lois Lowry, Messenger, Laurel Leaf