2012年12月29日土曜日
名前から見えてくる「ギヴァー」
協力者の鎌田さんは毎年、自分の担当している演習の授業で『ギヴァー』を使ってくれています。ブッククラブをする形で。それを受けた学生の一人が、自分が興味をもった内容でフォローアップの研究レポートを以下のようにまとめてくれました。
名前から見えてくる「ギヴァー」
帝京大学 教育学科2年10組 竹内周平
はじめに
私は鎌田和宏先生の教育研究リテラシーの講義にてクラスの友人たちと「ギヴァー」のブッククラブを行いました。物語を皆で読み進めていき、随所にてそれぞれの意見や感想を述べることで本を十二分に楽しむことを趣旨として活動だったのですが、あまりにもギヴァーが興味深い本でしたので個人的に研究をさせていただきました。そうして読んでいくなかで、いくつかの隠された意図を発見しました。
【1】女性と花言葉
まず始めに私が発見したのが、劇中に登場する主要キャラクターの女性の名前が「花」に由来しまたその花言葉と人物の特徴が著しく一致しているという点です。
・ リリー(ジョナスの妹)=百合の別称 花言葉:「純潔」「無垢」
妹リリーの性格はまさに純粋、無垢と言えるため一致。
・ フィオナ(ジョナスの友人)=白薔薇 花言葉:「恋」「恋の吐息」
ジョナスが密かに想いをよせる女性。これまた花言葉と一致。
・ ローズマリー(前回のレシーヴァー)=万年蝋 花言葉:「記憶」「思い出」
記憶、思い出というキーワードで思わず鳥肌が立ってしまうほど一致。
【2】ゲイブリエル(ガブリエル)という名前
ゲイブリエル(ガブリエル)は旧約聖書にその名を記された神であり、失楽園においてはエデン(楽園)の門番として描かれている。またユダヤ教では「終わりの日」に関する人物として描かれており、ギヴァーにおいてものその役割を担っていると言える。さらにキリスト教では白百合を携えて描かれることが多く、先ほど述べた花との関連にてリリー(百合)との関係性も結びつけることができる。
【3】ジョナスという名前
旧約聖書の一つ、預言書に分類される「ヨナ書」に登場する主人公ヨナから来ていると考えられます。
ヨナ書の中のヨナは預言者であり、ニヴェの街へ予言を伝えにゆく姿が描かれている。一方でジョナスもラストシーンにて見知らぬ地へ行く姿が書かれているため、ヨナのオマージュと解釈できる。
終わりに
この物語において名前というのは数少ない個性の一つ。そんな一人一人の名前にしっかりと意味が込められているところにロイスローリーさんは素敵な人柄を感じました。また児童文学家で知られるロイスローリーさん、今回教育学科生の私たちがブッククラブをするにあたって登場人物である子どもたちをについて深く考えさせられたのは紛れもなくロイスローリーさんの意図であるように思えました。ギヴァーを通してまた新たに子どもたちの大切さや教育のあり方なども考えることができとても感謝しております。これからもますますのご健闘をお祈りしております。
以上が私の見つけたギヴァーの隠された意図です。もちろん私の憶測にすぎませんが、一学生の意見としてギヴァーがより興味深くそして魅力的な作品であり続けるちょっとしたスパイスになれば光栄です。
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