というTさんが感想を送ってくれました。
初めは9月中旬に渋谷で『ギヴァー 記憶を注ぐ者』の映画を観たのがきっかけでした。迫力ある展開をもう一度味わいたかったのと、なんでこのコミュニティが存在するのか、その背景をもっと知りたくて本を手に取りました。
その後は…『ギヴァー 記憶を注ぐ者』の本→『ギャザリングブルー』→『メッセンジャー』★→再び『ギヴァー 記憶を注ぐ者』の本と、展開に乗っかって(飲み込まれて?)たった一ヶ月で、『ギヴァー』を二度も読んでしまいました。
何がそんなに自分の心にヒットしたのか。
自分の心の中に描いたギヴァーの世界と、今の仕事、今の教育、今の世の中の問題点とぴったりと(恐ろしいくらい)重なったからかもしれません。
衝撃だったのは・・・
「すべてが同じなのならば、選択のしようがないですよ!ぼくは朝起きて、どうするか決めたいんです!」
ジョナスのふりしぼられた叫び。これって教室の中にいる子ども達の声なのかもしれません。
同一化、予測可能なギヴァーの世界に起こっていることは正解をあてっこする授業そのもののように感じます。
与えられたものを与えられた通りにこなすだけ。
ジョナスのように声が上がらないよう、つつがなく授業をずっと行っていたとしたら、子どもは同一化に向かうだけ。会社も学校も同様で、誰かが決めた事を押しつけられて、それをこなすことに必死になっていたら...やっておくことが無難、ことなかれ的、意味や価値を感じない。自己有能感やモチベーションが高まる瞬間ってどうやってつくっていったらいいのでしょう?
ジョナスの父が双子の一方を解放した後はとても辛かったです。ジョナスの高ぶる感情のあとのギヴァーの言葉もぐさりときました。「かれらは何も知らないのだから」「与えられた人生なのだから」
疑いもせずに平気で過ごせてしまうことほど恐ろしいことはない。そう感じました。
その後、ジョナスがコミュニティを飛び出したあと展開ですが、ここのページ数ってそんなにありません。
でも、読んでも読んでも先に進まない不思議な感覚を味わいました。
色鮮やかな一つ一つの風景の美しさ。
花のにおい、水の冷たさ。凍えながら記憶をもとに体を温める感覚、やっと手にしたジャガイモ。泣きやまないゲイブの声。
自分自身もジョナスといつの間にか一体化して、同一化の世界を飛び出し、じっくり新鮮さを味わう内的な時間をじっくり楽しんでいたのかもしれません。
改めてふり返ってみると、この本を通して
・問うこと(当たり前を疑うこと)
・選択すること
・勇気を持って行動すること
・愛を分かち合うこと
ってどういうことなのか?を問われたように感じます。
これらの問いは以前もどこかで考えたと思いますが、この物語を通して強く鮮明に頭の中に残ったように感じます★★。
★『ギャザリングブルー』『メッセンジャー』を読み終えて。なんでマティは自分自身をトレードしなくてはいけなかったのか。もやもやしています。今後の展開がとても気になります。
★★最初の1点目は最近読んでいる『たった一つを変えるだけ ~ クラスも教師も自立する「質問づくり」』にもつながりますし、あとの3点はポジティブに生きていく上で欠かせない要素かもしれません。
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