コニコさんが、このブログを見つけてくださり、以下の読書会の記録を送ってくれましたので、共有します。
皆様の鋭い洞察をじっくり読ませていただいて、本当に今回も読書会をやってよかったと感謝してます。特にGiverがジョナスとともにしたように、皆の一番幸せな記憶をシェアできた回は、心に残るものでした。それぞれのかけがえのない時の記憶は、気持ちを和やかにあたたかくしてくれました。この本の大きなテーマの一つは、Aさんが提起してくれた記憶の問題でしたものね。
私がこの本を読んで感じたのは、次のようなこと。記憶が幸せなものであっても、辛いものであっても、人が人にそれを伝えて分かち合うことで、社会を変えるというヒロイックなことはできないとしても、目の前の人の心を変えることはできるかもしれないと思えることでした。一人ひとりが、Giverであり、 Receiverであって、人間の普遍的な気持ちをつないでいくことの先に未来がある、とも思えました。過去を伝えるGiver、現在に行動するジョナス(彼はすでにGiverでもある)、そして未来に生きていくガブリエル、この3人にいろいろ重ね合わせて考えさせられました。
アメリカ人で「Hiroshima」という広島の原爆のことを書いたジョン・ハーシーもこんな言葉を残しています。
「過去 現在 そして未来は、記憶という絆でつながっている。
ヒバクシャのいなくなる日が来る。しかしヒバクシャの記憶の集積は、人類が生存し続けるための偉大な希望として残されている。」
もう一つのテーマが、Bさんが言われていたことのも関係する“天気から結婚、仕事、生き死に、そして言葉、色も感情までコントロールされた社会で"守られて"生きていくことが幸せか”ということ。(言葉のことでは、Giverからもらった記憶から、ジョナスが次々とfamily, snowなど言葉を紡いでいく場面は、まさにCさんが言われるヘレン・ケラーを彷彿させました。)そういったコントロールは、ある意味監視社会につながっているわけで、この本を読んでいる時に、スノーデンの事件や、日本での共謀罪法案が問題になったことも、この本のコミュニティを思わせるにおいがして、リアルに現代社会に通じるものがありました。そんな社会で自分自身が考えて選択していくジョナスとGiverを本当に勇気ある人たちだと感じています。DさんもGiverはすごいと言われていたのに共感しました。
エンディングでは、ジョナス、ガブリエル、そしてGiverのその後が、敢えて読み手に委ねられる形で終わっていました。Eさんが、終わり方がジョナスの頭の中で起こった出来事ではないかと感じ、"観念的"と思えたという意見は新鮮でした。
私が胸をつかれたのは、まさにラストシーンで、ジョナスが歌声を聞いて、あゝ、音楽だと認識した時に、「遥か彼方になってしまったコミュニティからも音楽が聞こえたように思ったと、それは、エコーにすぎなかったかもしれないが。」というところでした。ジョナスがGiverのために唯一残した彼の幸せな記憶――音楽、もうお互いに会えなくても、それが遠くで微かでも響き合って、心の交流があった気がしました。
この世界の続きは、あと3冊あります。映画も、私は面白いと思いました。映像だからこその原作とは違うく工夫もしてあって。ジョナス役は、最新作のカリブの海賊の主役の青年です。
長々読んでくれて、ありがとうございました😊
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