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2019年2月19日火曜日

『ギヴァー』と関連のある本 124


13歳の少年が、カナダの森林地帯に飛行機で脱落してしまい(パイロットは、心臓発作で死亡)、54日間もたったひとりで生き抜いた物語です。(左側の数字は、ページ数です。)

60 ブライアンは以前、パーピッチという男の先生に国語を教わっていた。パーピッチ先生の口ぐせは、「積極的なれ、前向きに考えろ、状況をしっかり把握しろ」だった。パーピッチ先生はそういう言い方をした。
62 (そして、自分の持ち物を全部出して、草の上にならべた。)さあ、これでぜんぶだ。いや、ちがう。もうひとつあるじゃないか。持ち物はこれでぜんぶだけれど、まだほかに、自分というものがある。パーピッチ先生はブライアンたちに向かって、くり返し言った。「きみたちのもっとも貴重な財産は、きみたち自身だ。そいつを忘れるな。自分自身が、最高の宝なんだ」
(自分以外の最高の宝は、原書のタイトルになっている「手斧」でした。)

100 (手斧を使って、火を起こした後に)ぼくには友だちができた。ようやく、仲間ができた。腹をすかせてはいるけれど、いいやつなんだ。友だちの名は“火(ファイア)”だ。(これが、蚊の大群やけものから救ってもくれた。)

117 (自然の中で生きるすべを徐々に身につけていく。ある意味では、原始時代の狩猟採集民=最初の科学者+エンジニアになっていく! → このテーマに関心のある方は、『遊びが学びに必要なわけ』がおすすめです。

123 ブライアンは、(カメが生んだ)卵を小さな砂浜からそっくり隠れ家へうつし、寝場所の近くに埋めなおした。運んでいるとちゅうで、卵をもうひとつ食べたいという気持ちをおさえるには、ありったけの意志の力が必要だった。

125 ぼくは、前とはちがう。ものの見方も、音の聞き方もちがっている・・・いまでは音がすると、聞きながらそうとはせずに、音の正体を知ろうとするだろう。枝が折れたり、風が動くと、さっとふり向き、音のしたほうを見つめるだろう。まるで、心の目が音波の進んできた道を逆にたどるとでもいうように、その音の正体をつきとめるだろう。
 (都会人から自然人への変化。現代文明に浸りきった人間から、原始の人間への回帰。)

225 ブライアンに起きた変化の多くは、半永久的なものになるだろう。まわりで進行中のできごとにたいする観察力と、それに反応する能力が鋭敏になったが、これはおそらく一生ついてまわるはずだ。また、前よりも思慮深くなった。これからは、なにか話す前に、ゆっくり考えるだろう。(食べ物はどんなものでも、かつてきらいだったものでさえ、ブライアンにとって喜びの種でありつづけるだろう。)

162 一日一日がたがいにかさなりあい、とけあうように過ぎていった。だから2、3週間もすると、時がたったことを示すものは、戸口のそばに毎日つける印だけになってしまった。でも、ほんとうに時をはかるものさしになるのは、日数ではなく出来事だった。一日というものには意味がなかった。おぼえておく価値はなかった。日がのぼって、沈む。そのあいだが明るいというにすぎない。
 けれども、出来事のほうは、脳裏にくっきりと焼きついた。だから、それを利用して時間をおぼえることにした。起こったことを学び、記憶し、心のなかの日誌につけておくことにした。 ~ 『ギヴァー』でも、記憶は大きなテーマの一つ!

171 なにをやるにもがまんが必要だ。待つときも、考えるときも、正しいことをするときでさえもそうだ。食べ物のことだけじゃない。生きることすべてに、がまんし、考えることが必要なんだ。 ~ そして、数多くの苦難(ムースや竜巻に襲われたりすること)に遭遇し、それを乗り越えることも含めて・・・・しかし、その竜巻が、湖に沈んだ飛行機を水面に浮かせてくれることになった!

193 (すぐには、飛行機のところに行こうとせずに、優先順位を考えて、計画して行動する。まさに「積極的なれ、前向きに考えろ、状況をしっかり把握しろ」を実践! その結果、サバイバル用品の入ったバッグを回収することができ、「非常用発信機」をそうとは知らずに作動させて、自分の位置を近くを飛んでいた飛行機に知らせることになって、救出されることにつながった!)

 最後に、もう一つ『ギヴァー』と『ひとりぼっちの不時着』の関係について・・・両者とも、毎年その年最高の児童文学作品に贈られるニューベリー賞の受賞作品だということです。実は、これまでに『ギヴァー』と関連する本として紹介してきたものの中には、この章を受章している作品が少なくありません。その受賞作と日本語に訳されている本のリストは、http://www.yamaneko.org/bookdb/award/us/newbery/index.htmで見られるので、面白いと思えるものからぜひ試し読みしてください。
 日本には、これに匹敵するような文学賞はあるのでしょうか?

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