「老い」を追いかけ続けています。その過程で見つけたものの一つが、エレン・ランガー著の『老いに負けない生き方』です。
作者は、「マインドフル」であることの大切さを、長年説いている人です。(私が出会ったのは、彼これ20年ぐらい前で、すでに『校長先生という仕事』の中で紹介しています(218ページ)。それは「いろいろな視点から物事を捉えることができ、新しい情報等に心が開かれており、細かい点をも配慮することができ、従来の枠の中に納まっているよりもはるかに大きな、人々の可能性を信じることができる」ことを指しています。マインドフルの反対は「マインドレス」で、「物事への注意を欠いたり、柔軟性や応用力のない心の状態」をいいます。(219ページには、表で対比させています。)
ちょっと長くなりますが、とったメモを残しておきます。斜字は、私の付けたし+コメントです。
93 私たちは、社会的な通年や常識、決まり事に流されている。
それらは、それを作り出した人のニーズと、その人が考える「典型的な人間」に合わせて作られている。たとえば、劇場の椅子の幅、キッチンのテーブルの高さ、角砂糖の大きさ・・・身の回りの様々な物(や習慣)は、私たちの都合ではなく、実は社会の都合に合わせて作られているのである。
人はたいてい、外側の世界が自分に合わないと、悪いのは自分だと考える。外側の世界のほうが悪いとは思わないし、自分のニーズに合わせて環境を変えようともしない。
94 医学界の常識もそれと同じだ。私たち一人ひとりのためではなく、医学の都合に合わせて作られている。
それでも私たちは、決まり事のマイナス面に気づいてもいなければ、そもそもなぜ決まり事が存在するのか疑問に思うこともない。
96 制服廃止が、(老人)ホームの雰囲気を一変した。上下関係ではなく、お互いを尊重するようになったからだろう。
97 心理学の世界では、行動や感情のきっかけになるようなものを「プライム」と呼んでいる。ある意味で、環境が私たちをコントロールしていると言えるだろう。 ~ 一種の、「刷り込み」。マインドフルになることで、それから解放される!
100 私たちの身の周りには、無意識のうちに影響を受けているプライムがたくさんある。たとえば、病院(学校も!)を例に考えてみよう。 白衣、殺風景なオフィス。病気をイメージさせるプライムの宝庫!! 老人ホームは「老い」をイメージさせるプライムの宝庫。 学校は??
挑戦するからこそおもしろい!! しかし、病院も、老人ホームも、学校も(?)それらを排除している
病院や老人ホームのドアは開けておく ~ 「一人では何もできない」のメッセージ
104 薬の選択 ⇒ 治療のプロセスに積極的に参加できるだけでなく、自分の体に注意を払うようになる
106 よりマインドフルな状態になると、健康状態が向上し、症状をコントロールする力も大きくなるということだ。
107 一言のあいさつで関係が変わる! ちょっとした気遣いでいい関係が維持できる。なら使わないのは損。
113 言葉が理解という幻想を生みだしているのだ。
言葉は近道であり、個人の経験は一冊の本ということになる。
115 仮定的な表現を使うことで、話し手と聞き手の両方が、よりマインドフルな状態になることができる。「かもしれない」 → 「もしかしたら違うのかな?」「他にはどんな可能性があるだろう?」と考えるきっかけになるからだ。
あなたが経験していることを知っているのは、あなた自身だけだ。それなのに、医者の言葉だからという理由だけで、何も考えずに信じ込んでしまう人があまりにも多い。医者がどんなに気をつけていても、患者の方が「専門家」である医者に頼りきりになっていたら、その言葉は必要以上の力を持ってしまうだろう。 ~ 医者と患者を、教師と生徒に置き換えると、そのまま当てはまってしまう!!! 選挙によって選ばれた当選者=政治家と有権者の関係も?
116 言葉には、勝手に解釈されてしまう危険性があることを認識する必要がある。
117 人は大半の情報を無意識のうちに取り入れていて、中身について深く考えることもない。 ~ これには、もちろんいい面と悪い面がある。一つひとつの情報にすべて真剣に向き合っていたら、生きていけない。聞き流すことで、日常生活が送れる。しかし、その中には深く考えることを求められているものもあるということ。 その判断を導くものがマインドフルのスタンス??
120 前向きなプライムを与えられると(刷り込まれると)、プラスの行動やイメージをつくり出す効果がある。 マインドフルとの関係は?? 自己暗示するということ?
136 治ると信じることで、本当に治る
140 社会の常識や通念は、実際に私たちの健康に影響を与えている。 教育の健康度はもっと深刻な問題!!! どうせ影響を受けるのなら、無意識のうちに悪影響を受けてしまうのではなく、自分にとって利益になる影響を自分で選んだほうがいいだろう。
143 これまで見てきたように、心があきらめてしまうと、体にも影響が出てくることを示す例は、枚挙にいとまがない。数字(や常識や通念)を完全には信じていない人でも、あきらめることは生きる意志を失うことにつながる、ということはわかるだろう。
私の母は、ガンで亡くなったのだろうか。それとも、ガンを語るときの言葉のせいで、生きる希望を失ってしまったのだろうか。
153 言葉の選び方に敏感になり、状況に応じた適切な表現ができるようになれば、自分の健康をもっとコントロールできるようになるはずだ。そうすれば、医学的な事実は絶対的に正しい神の声ではなく、むしろ一人の生きた人間が判断したことだと理解できるようになるだろう。 ~ 教育にもいえること。
155 医者を訴えるのは、決して簡単にできる判断ではない。医者とのコミュニケーションに対する不満が大きなきっかけになっている。
あなたの専門家はあなた自身だ
157 医者や看護師が声を上げないのも、ある意味で理解できる。病院にかぎらずたいていの組織に共通することだが、ほとんどの病院は「波風を立てない人」をスタッフに求める。つまり、反対意見を言わずにすぐに順応し、他人の失敗を黙って尻拭いしてくれるような人だ。そういう人ばかりが職場にいると、物事がスムーズに進んでいく。 ~ 学校しかり
159 権威的にならないように努力しているリーダー、つまりリーダーだからといって何でも知っているわけではなく、誰の意見でも歓迎すると公言しているリーダーは、もっと効果的なコミュニケーションを行い、もっとも多くのことを学び、そしてもっともスムーズに新しい技術に切り替えることができる。
162 あなた自身が自分の体の専門家になれば、たった一人の相談相手に頼るのではなく、いろいろな相談相手から意見を聞きたいと思うようになるかもしれない。相談相手のアドバイスが、すべて同じ場合もあれば、人によって違う場合もあるだろう。
あなたが自分の体に対して責任を持ち、あなたしか知らない情報を積極的に提供するようになれば、医者の側の意識改革にもつながるだろう。もうあなたのことを、顔のない「患者」として扱うようなことはしなくなる。一人の個人として向き合い、あなただけが感じる独自の症状について考えるようになる。
医者の判断について質問をするのは、悪いことでもなんでもない。→ よきパートナーが理想の関係 この辺のことは、すべて教育にも当てはまる!!
193 私が考えるマインドフルとは、意識的に物事の違いを発見しようとする、簡単なプロセスだ。
もう知っていると思っているものの中にも、注意していれば、何か新しい発見があるだろう。何に気づくかは、大きな問題ではない。どんなに小さなことでも、些細なことでもかまわない。ただ気づくことそれ自体が大切なのだ。
195 思い込みを疑うことの大切さ。
196 マインドフルとは、とても自覚的な行為だ。そして自覚的であるからこそ、大きな可能性が広がっている。
200 私たちの態度や考え方や思い込みは、食事や医者と同じくらい、健康にとって大きな意味を持つ。もしかしたら、心のほうが大切かもしれないくらいだ。
自分の面倒は自分で見るようにしていれば、心も体も健康でいられる。
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