2013年1月23日水曜日
想像力について
「白い服の男」を読んだのは、『イマジネーションの戦争』という本の中でした。その本の解説として、奥泉光さんが「ここにない戦争」というタイトルで、想像力についておもしろいことを書いていました。
633 暴力や経済など人間を外側から動かす力はいろいろあるが、人間にはうちに備わった力もあって、そのひとつが想像力である。想像力はここにないものを言葉でもって現出させる力である。過去の回想や想起も、ここにないものを現出させるという意味では、同じ力の働きの一部ではあるけれど、想像力がもっともその力を発揮するのは何かを「変形」するときである。ここにないものを現出せしめるといっても、神ならざる人間は、無から創造することはできない。すでにあるものを変形するしかない。人間の創造とは想像力を媒介にした世界の変形といってよいだろう。
人間は、ここにあるもの、すなわち「現実」を変形する。
ロイス・ローリーさんも、いまの社会の変形として『ギヴァー』の世界を想像したような気がします。
そして、星新一が「白い服の男」の中で記憶や記録を消し去ろうとしていたことは、『ギヴァー』の中ではすでにかなり完璧に実現していたと言えるかもしれません。
「戦争ごっこ」が何を意味しているのか、まったく理解できないような状態ですから。
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