2013年1月24日木曜日
星新一の「いじわるな星」
星新一の文庫本『白い服の男』の中に、「いじわるな星」というショート・ショートが含まれています。
宇宙パトロール隊によって、たまたま発見されたジフ惑星。そう大きな惑星ではないが、海があり川があり、山があり谷があり、森や野原もあるというのだ。
そこで、第一次基地建設隊が送られたが、豪華な食事の幻でノイローゼになって地球に帰還。
第二次隊は腕のいい料理人とたくさんの食料をつんで行ったが、今度は美女の幻に悩ませられてノイローゼになり帰還。
第三次隊は料理人と材料、よりすぐった美女たちを同行してジフ惑星へ。しかし、今度は宝石、ミンクのコート、美しい服、上等な化粧品などの幻が出現し、女性たちがヒステリー状態になり、再度帰還。
第何次かの宇宙船には、あらゆる幻想に対応するべく、膨大な量が積み込まれた。
すると、海も川も山も、森も野原も消えていた。ただ、灰色っぽい岩ばかりが単調に広がっている。誰かがその岩を分析してみたが、有用な鉱物はなにひとつ含まれていなかった。
というストーリーです。「隣の芝は青い」を拡大解釈したストーリーという感じでしょうか? そして、それを追いかけてしまうと、実ははかないものであることに気づく、と。
これで思い出したのが、クリス・ファン・オールズバーグの絵本『いまいましい石』でした。「いじわるな石」というタイトルにしても、そうはずれていない気もしました。(詳しくは紹介しません。ぜひ読んでいただきたい本なので。)そして、それはどういうわけか『ギヴァー』とつながっているような感じもしたのです。
『ギヴァー』の社会は、「いまいましい石」や「いじわるな星」が提供してくるようなものに惑わされない社会をすでに作り上げている!!??
なお、私は星新一のファンではないので(確実に彼のノンフィクションのファンではありますが)、特に『ギヴァー』との関連でオススメのをお知りの方は、ぜひ教えてください。
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