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2023年12月25日月曜日

大谷選手のドジャーズとの契約が及ぼす影響

 金額面で脚光を浴びましたが、他にもいろいろと大きな影響があります。

・97%は後払い → 球団はその資金で、他のいい選手と契約できる。

・山本選手の勧誘をはじめ、積極的にチームづくりに貢献している → これは、ほとんど大谷が球団の経営に参画し始めたことを意味する?

・オウナーと編成本部長が役職を退くと、大谷は契約を破棄できる条項も含まれている → これは、これまで6年間のエンジェルズで学んだことの一つ。そして、まさにこれら3つによって、大谷選手はプレーイングマネジャーならぬプレーイング・オウナーになった!?

 3つ以外に、考えられるものはあるでしょうか?

 このような契約形態をとったことは、MBLに及ぼす今後の影響は絶大であるだけでなく、スポーツ界全体にも計り知れないものがあると思います。

 

 これを学校教育に応用すると、どういうことになりえるでしょうか?

まず、何よりも前回の「日大アメフト部問題」で書いた、学生や大学(ないしアメフト部)側との関係を契約制度にしていたらどうなっていたか、と考えてしまいました。そして、より一般的には、

・生徒と教師の関係も、契約関係で捉えられないでしょうか?

・教師と学校(校長)の関係も?

 現在は、こういったことが極めてファジー(曖昧)なので、関係者全員が成長することを阻んでいます。結果的に、学びの質も量も極めて貧困な状態が続いています。大谷選手が言ったように、「勝つために、チームが一丸となって最善を尽くす」ことが実現している学校を探すことは至難です(大谷選手は、それがエンジェルズではできないと判断して、離れました)。

もちろん、学校の場合は「勝つ」ことが目的ではなく、「子どもたちの学びの質と量を最大化」するためです。しかし、それには「教師(中心に、学校に関わる大人たち)の学びの質と量を最大化」することが不可欠です! このことを実現するために、上記の2点を真剣に考え始めなければ、学校教育がよく変わっていくことは期待できないように思います。

2023年12月23日土曜日

日大アメフト部問題

 禁止薬物を使っていた選手たちの責任は言うまでもありませんが、今回露呈してしまったのは、それに対する大学側の対応のまずさです。

 問題が分かった段階での対応、そしてその後延々と続いた後手後手の対応、最終的には廃部で一件落着と思いきや、時を経ずして新アメフト部の創設のニュースと、社会を驚かせるニュースのオンパレードが続きました(まだ、過去形ではない可能大です)。

 日大という組織が抱える問題は明らかですが、そのなかでも、これら一連の騒動の過程で、学生たち(みんな20歳以上? 少なくとも18歳以上で選挙権をもっている!)の声を反映させようとする意志のなさに驚きます。ほとんど幼稚園児扱いというか、小学生扱いレベルです。

 学生の問題行動には、『生徒指導をハックする』を参考にしてほしいと思います。

 これだけの問題から、関わった人がスキル面で何も学べないとしたら、教育機関であること自体をやめるべきですから。

 ちなみに、欧米の大学ではもちろん、高校以下でも、今回の問題は起こりえません。その理由は、シーズンごとにスポーツが違うので、4年間(ないし3年間)一つの部で過ごすということがないからです。3か月ほど(事前の練習期間も含めると、長くて4か月程度)一緒にいたら、その部は翌年までお休みです。選手たちは他のスポーツをするか、アルバイト等をするか、勉強や趣味に生きるか選択肢があります。少なくとも、日本のように年間を通して縛られるようなことは考えられません。先輩後輩の関係もできません。

 さて、どっちの方が健康的でしょうか? あるいは、今後のためにどういう方向性を目ざせばいいのでしょうか? 現状のまま、衣替え程度の変化では、また何年か後に同じような問題が起こることは、いまから見え見えです。

2023年12月21日木曜日

岸田さんの最大の罪

 3か月近く前に「安倍さんの最大の罪!」を書きました。

 岸田さんについては、すでに1年ぐらい前から首相であることが最大の罪、と思うようになっています。

公式会見や議会答弁やぶら下がり取材でも、何を言いたいのかサッパリわからない状態が続いています。残るものが一つもないのです。★

ダラダラとよくしゃべりますが、聴く人に伝わる形では話せているとは思えません。(おもしろいのは、記者たちは、その要点をうますぎる形でまとめて、岸田さんはこう言っていたと言ったり、書いたりするので、そうかと思わされるのですが、本人が本当にそう言っていたのか、言った記憶があるのか、ましてや本気でする気があるのかは別問題の気がします。しかし、聴ける人には聴こえているのかもしれません! 私に岸田さんを聴く耳がないだけで。)

★いま興味をもっている「ストーリー」の大切さの観点からは、彼はストーリーを意識していないことだけは確かな気がします。場当たり的に思いつたことをダラダラと話すだけで。言っている方は、その気になり、聞いている方も、その気にさせる。しかし、中身はまったくない!

 ここからは、岸田さん個人の罪ではありませんが、自民党という集団というか体質の罪なのかもしれないと思うことを、ストーリーに関連づける形で考えてみます。

 いま世を賑わしている「パーティー券」問題です。これは、説明責任の問題などではなく「結果責任」の問題です。自分が政治家の資質を持っていないことを、世に知らしめてしまった、という問題です。自認ないし強制的に辞めさせる以外の選択肢がない。

 このことに関わった人たちは、そういうストーリーを自分が描き出している(実演している)という意識がなかっただけです。結果的には、あまりにも悲惨というか、犯罪的なストーリーでしかないのですから。

 岸田さんも、この犯罪的なストーリーに対して、まったく別なストーリーを提供するチャンスはもっていたのですが(自分も片足というか、両足を同じ問題のなかに入れていたので?)そういうストーリーを野党に対しても、国民に対しても示す選択をしませんでした! 私たちは、常にどういうストーリーを紡ぎ出すかの選択肢はもっているし、それを使うかどうかの判断もしている、ということだと思います。こういうこと、日本の教育のなかでは教わる/扱っているでしょうか?

2023年12月20日水曜日

テレビドラマ「ザ・クラウン」

 6シーズンに分けて放映された、その一番最後が『ギヴァー』の大きなテーマの一つである「記憶」と関連していたので紹介します。(そういえば、このドラマ全体が「記憶」で書かれていたことは言うまでもありません!)

青年期はクレア・フォイ(シーズン1~2)、壮年期はオリヴィア・コールマン(シーズン3~4)、そして老年期はイメルダ・スタウントン(シーズン5~6)の3人の女優によって演じ分けられていました。

 シリーズ6の最後は、チャールズ現国王のカミラ夫人との再婚式があった2005年頃に設定されていました。このころ自身の即位50年の記念式典があり、死んだときのために「プロジェクト・ロンドンブリッジ」の名の元、どのような式典にするかが計画されていたこともあり、自分の過去と王家の未来について考えることが多かったのでしょう。

 設定としては、息子チャールズの再婚式で自分が書いたスピーチを読むというものでした。その内容を書くために、現女王が過去の二人の女王と対話するというおもしろい形で描かれていたのです。壮年期の女王は、「もう年なんだから息子に王位を譲っては」と説得します。現女王は、それに納得し、王位継承を宣言する旨スピーチに書き込みます。しかし、青年期の女王は、「あなたは死ぬまで女王であるべきよ」と説得します。結果的に、現女王は青年期の女王のアドバイスを選択した形で、スピーチ直前に王位継承宣言の部分を削除しました。

 

 記憶がない(記憶の存在を許さない)ギヴァーのコミュニティーでは、このような一人の人間のなかでのやり取りもないことを意味しています! (それはそれで、いいことなのでしょうか?)

 

 一方で、このようなドキュメンタリータッチのドラマがつくられ、放映され、そして全世界で見られてしまうのがイギリス(そして、イギリスの王室)なのだな~とも思わされました。日本では、あと何十年、何百年かかるでしょうか?(日本の王室はおもしろくもないので、ドラマにもならないのかもしれませんが。知らされていないだけで、たくさんのおもしろいストーリーがあるのかもしれません。)

 

2023年9月26日火曜日

安倍さんの最大の罪!

 元首相の安倍さんは、結果的に一番長く首相の座にいた人ですが、いろいろ悪いことをやってくれました。なかでも、これが最大なのでは!?https://news.yahoo.co.jp/articles/c0cfd3dfa5848bbf7385b38fdb2c2abfae98c5d9

イタリアに行くと「日本は超貧乏国」と痛感… 豊かになるために転換するしかない“政策”は(デイリー新潮) - Yahoo!ニュース

円安をキープした異次元緩和策の大罪
 この20年のあいだにどんな経済政策が行われたかといえば、最大のものはいうまでもなく、2012年12月に発足した第2次安倍晋三内閣がデフレ脱却を目的に掲げた経済政策だった。すなわち、大胆な「金融政策」、機動的な「財政政策」、民間投資を喚起する「成長戦略」という「3本の矢」を掲げたアベノミクスである。  
 とはいっても、現実には成長戦略はうまく講じられず、財政赤字が拡大し続けるなかでは財政政策も困難だった。このため唯一、金融政策が突出することになった。2013年3月に就任した日本銀行の黒田東彦総裁が、異次元の金融緩和政策を打ち出し、今年4月に退任するまでこの緩和策を堅持した。
 その結果、どうなったか。円は1ドル=80円程度だったのが急下降し、いまでは140円台をつけている。その結果、輸出産業の利益は大幅に増し、株価も上昇。8,600円だった日経平均がいまや3万円を超えているのは、周知のとおりである。
 では、それでよかったのかといえば、とんでもない。異次元緩和によって引き起こされた円安で、企業は濡れ手で粟の利益を得たが、ふつうは日本の輸出が増えれば円高に反転して、輸出企業は利益を上げにくくなる。そこで生産性を引き上げるために、技術革新が重ねられる。日本企業はこれまで、こうして困難を乗り越えては生産性を高めてきた。
 ところが、黙っていてもゼロ金利政策のおかげで円安が維持されるので、輸出企業はあぐらをかいた。だから賃金も上がらない。そのうえ円安だから、諸外国にくらべて日本人の購買力は低くなる一方だった。
(中略)
 日本人だけが貧しくなっている現状に気づかされるのである。最低賃金を引き上げたところで、問題はなにも解決しない。ガソリンや電気料金、ガス料金への補助金支給を延長しても、ツケが後世に回されるだけだ。そうではなく、アベノミクスと異次元緩和の非を認め、ゼロ金利政策を抜本的に転換するしかないのではないか。
 企業を助けてぬるま湯につけ、株価だけ上げて国民を貧しくした。そんな政策を改めることからしか、はじまらないのではないか。

2023年7月16日日曜日

『ギヴァー』と関連ある本 137 

『カラーモンスター きもちはなにいろ?』アナ・レナス作を読みました。

すぐにひらめいたのは、『ギヴァー』のなかでジョナスが感じた多様な気持ちの数々でした。

この絵本では、うれしい きいろ

                         かなしい あお

                         いかり  あか

                         ふあん  くろ

                         おだやか みどり

          ?   ぴんく

の6色が紹介されています(ぴんくは、紹介されていません!)。

 

 このこは、カラーモンスター

 きょうの モンスターの きもちは とても ふくざつ

 しかも じぶんが なぜ ふくざつなのか わかっていません

ではじまります。

 ジョナスも、本のなかで上の5色(+ピンク)も感じたことでしょう!

 ジョナスは、コミュニティーの他のメンバーがもっていない「あい」という気持ちまでギヴァーによって授けられてしまいました。この色は何色がいいでしょうか? 黄金色?

 これら以外に、ジョナスが感じていた気持ちにはどんなものがあるでしょうか?

 絵本の最後は、

 ちょっと まって!

 もうひとつ たいせつな なにかを

 わすれている きがする

 あれ? なんだっけ このきもち?

と、ピンク色で描かれた花の絵がたくさんあるページと、最後のページは、それにハートマークも加わったなかに、カラーモンスターがうれしそうに立っている絵が描かれています。

 この絵本、世界で累計200万部以上売れているらしいです。

 

2023年7月6日木曜日

マイナンバー、混迷の度合いを一層増しています

https://news.yahoo.co.jp/articles/84d99da44f45aa03c866349e4179dfb38e665a6f

このままでは「マイナンバーカード」が次々に失効していく政府が"保険証廃止"を強引に進める本当の理由

日本には「政治」や「民主主義」と言えるものが存在するのかな、とさえ思ってしまいます。 「選挙」=「民主主義」でしょうか?

一方で、官僚と政治家の関係は? マイナンバーの導入でたらふく私腹を肥やしていくいくつかの企業と官僚や政治家の関係は? (あの東京オリンピックの企業と官僚と政治家の関係と同じように!)

2023年7月3日月曜日

吸っている人は、かなり減っていると思うのですが・・・それでも、まだ問題は大きいようで

https://news.yahoo.co.jp/byline/ishidamasahiko/20230702-00356163

ポイ捨てされた「タバコの吸い殻」はどれくらいの「毒性」があるのか

 先日、京都市にある私立水族館で、屋外に置いていた水槽の魚類がほぼ死んでしまったという。水槽内を調べると、タバコの吸い殻が1本出てきたということで、これが原因だった可能性がある。同水族館では一時、展示を中止することにしたそうだ。

 海水浴場へ行くと、よくタバコの吸い殻を見つける。シーズンではない清掃前は特にひどい。こうしたタバコの吸い殻は、浜辺で吸われてそのままポイ捨てされたものもあるが、多くは繁華街などの街中でポイ捨てされ、それが排水口から河川を経て海へたどり着き、浜辺に漂着したものだ。

 タバコの吸い殻は小さくて軽く水に流れやすいため、雨が降った後などは特に海へ流れ、浜辺を汚染する。喫煙者はよく道路脇の排水口をめがけてポイ捨てするが、そのタバコの吸い殻がやがて海へ至り環境を汚染することを知っているのだろうか。

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 冒頭の京都の私立水族館の事例が、タバコ1本でのことかどうかわからないが、タバコの吸い殻にはニコチン以外にも多くの有害物質が入っていて、ヒ素、重金属類、多環芳香族炭化水素といった有害物質が検出される(※4)。それは加熱式タバコの吸い殻でも同じで、水族館で魚が死んだ原因についても十分な可能性がある。

 毎年、世界で約6兆個のタバコの吸い殻が生まれ、そのうちの4兆5000億個がポイ捨てされ、タバコの吸い殻やタバコ由来の廃棄物は世界の海岸で清掃された総廃棄物の19〜38%と見積もられている(※6)。1年のタバコ生産量の3/4が吸い殻としてポイ捨てされるとすれば、日本の場合、年間1000億本以上がポイ捨てされているというわけだ。


ちなみに、亡くなられた安倍さんの口癖の一つが「美しい国・日本」でした。

おそらく彼は、街を歩いたことがなかったのでしょう。車の移動ばかりで。

どこを歩いても、たばこの吸い殻だらけで、歩いていたら、とても「美しい国・日本」というキャッチコピーは出てこないはず!


では、『ギヴァー』のコミュニティーでは、たばこの吸い殻問題はあるでしょうか? そもそも、たばこは吸われているでしょうか?

2023年7月2日日曜日

「先見の明がある?」それとも「他人への迷惑が考えられない?」国会議員と役人たち

「使い道がないカードのパスワードは覚えられるわけがない」現役自治体職員が激白“ここがヘンだよマイナンバーカード” https://news.yahoo.co.jp/articles/5e8a15e238504affe8c2ae4489a087425d6e4e77

『ギヴァー』のコミュニティーでは、あり得ないことです。なにせ、顔の見える関係なので、迷惑がられることは、すぐ拒否されてしまいますから。

2023年6月23日金曜日

「『任意』とは、国は責任を取らんということ!」

https://news.yahoo.co.jp/articles/bbae763d4f4dd134dfe4d84d0e071409dbc70b28

以下は、明石市長の連載記事の一部です。

   「マイナ保険証に別人の情報の誤登録7372件」、「別人のマイナンバーに公金受取口座の誤登録748件」、「マイナ保険証で医療費を10割負担させられた例533件」……。マイナンバーをめぐるトラブルが後を絶たない。岸田文雄首相は6月12日、国民に陳謝しましたが、それで済む話やない。 

 要は、本人と別人を間違えたという話ばかりで、“イロハのイ”やないかい! 

  私はマイナンバー制度に、絶対に反対というわけではありません。あえていえば「中立」のスタンス。個人情報が漏れないように対策を万全にするという条件つきで、マイナンバーにはプラスの面もあると思う。  

 国はマイナンバーカードを普及させる理由として、「ほかの国も実施している」と説明しています。しかし、アメリカやフランスは、社会保障目的に限定しているんです。  

 日本みたいに、運転免許証や健康保険証、母子手帳までぶち込んでしまおうという国は珍しい。あれもこれも一緒にすると、情報が漏れるリスクが高まるし、すべて紐づけるメリットもわからない。  

 だって、身分証明のためなら、すでに運転免許証があるし、健康保険証だって、なんで作り直さなあかんねん。お年寄りが困るだけですやん。それに、なんで行政情報に民間の情報まで紐づける必要があるん? そもそも“マイナンバー”という言葉がおかしい。国が勝手に数字を決めるから、「私の数字」ちゃいますやん。  

 この制度をおこなうことで国民が幸せになれるのか、いままでの不利益が解消されるのか……。議論がほとんどないまま導入されてしまったのが、最大の問題やと思います。

2023年6月17日土曜日

『ギヴァー』と関連のある本 136 

 しばらくぶりの『ギヴァー』と関連ある本です。それは、梨木香歩著の『ほんとうのリーダーのみつけかた』。以下、私が関連があると思ったところを、本からピックアップして(左の数字は、本のページ数)紹介します。

 

31 あなたの、ほんとうのリーダーは、その人(自分自身)なんです。

   それは・・・「自分のなかの目」、でもあります。同じひとです。・・・自分のなかの、埋もれているリーダーを掘り起こす・・・チーム・自分・・・これは、個人、ということです。

32 そして、群れというのは本来、そういう個人が一人ひとりの考えで集まってできるものであるべきだと思っています・・・さまざまな群れがありますが、それに所属する前に、個人として存在すること。盲目的に相手に自分を明け渡さず、考えることができる個人。

   じゃあ、どうやったら個人でいつづけられるか。自分のなかに自分のリーダーを掘り起こすって、どうやって?

 

 この後、「批判的精神」の大切さを説明してくれていますが、私は、「批判」を使った(と訳した)瞬間に違ったイメージをもたれてしまうと思っているので、使わなくなっています。英語では、critical thinkingです。直訳すると、確かに批判的思考ないし批判精神なのですが、それはあくまでも「直訳」であって、その言葉の本質部分をついていません。この言葉と40年近く格闘してきた経験★からいうと、現時点でベストの訳は「大切なものを見極める力と、その反対の大切でないものを排除する力」です。

 

37 そのためには、まずは自分自身で考える、ということが大切です。

 自分で考えるためには、そのための材料が必要です。その材料となる情報をまず、摂取しなければなりません。でも、その情報もすべて鵜呑みにするのではなく、自分で真剣に向きって、おかしいと思ったら、これはおかしいんじゃないか、と、疑問に思わなければならない、そういう時代になりました。つまり、その情報ができたところの事情を想像する力もつけなければならない。

 

 この後、マスコミも大切な情報を伝えてくれるわけではない事例を紹介しています。

 

44 「え? そうかな?」と思ったことを大切にする。それが、あなたらしさを保っていく。

 

56 『君たちはどう生きるか』が広く受け入れられている理由は、大まかに言って二つ。一つは客観視と、それに伴う主体性の「揺らがなさ」にまつわること。

 

 ここでは、「揺らがなさ」がカッコになっていますが、より大切なのは主体性(agency)★★のほうです。それがないというか、育む努力がなされていないところでは、「揺らぎ」自体も存在しませんから。

 この後、石川さつき著の『村八分の記』について考察しています。日本は、いまだに村社会のままではないか、と。

 

91 石川さんの、民主主義を渇望するが故の行動は、図らずも、この国は全体として、本当に民主主義を欲しているか、そもそもこの国の土壌にそれは根付くのかという、それこそ根深い問題をも浮き彫りにした。

 

94 日常のなかで、ふとそれまで一般には疑問視されてこなかったことに「引っ掛かる」ことがある。(グレタ・トゥーンベリさんや石川さつきさんの行動が紹介された後で)たいていの人間は・・・疑問をもったことすら忘れてしまう。けれど、彼女たちは言いくるめられない・・・そういう引っ掛かる力が、社会全体を牽引していくのだろう。

 

 以上メモしたことのほとんどは、『ギヴァー』のなかでジョナスが考えた結果、アクションとして起こしたことと同じというように、私には取れたので紹介しました。

 

★1885年頃に最初に私がcritical thinkingに出会ったのは、カナダのグローバル教育を実践している先生たちが最も大切なことをcritical thinkingだと答えているアンケート結果を見たからです。日本では、そんなふうに答えられる教育関係者はほぼいないと思い、実際に調査をしてみたところ、その通りの結果が出ました(ちなみに、日本での断然トップは「思いやり」です。38年後の今同じ調査をしても、ほぼ同じような結果が両国で出るのではないかと思います!)

 次の出会いは、critical friendをテーマにした丸3日間の研修会に参加しました。そのやり方は、『学びの中心はやっぱり生徒だ!』の240~241ページで紹介されています。あるいは、https://projectbetterschool.blogspot.com/2012/08/blog-post_19.html で読めます。次は、『「考える力」はこうしてつける』がcritical friendの存在で書かれた本ということでした!

 知ってから、最初の20年ぐらいはcritical thinkingは「批判的だが温かく」とか「批判的だが、建設的に」と、そしてcritical friendは「批判的な友だち」と訳していました。

 しかし、2006年ぐらいに、国語の作文指導のあり方を改善しようという「作家の時間」のなかで「批判的な友だち」を子どもたちにやってもらおうとしたのですが、誰も批判的になりたくないので、せっかくいい方法なのに使われませんでした。

 そこで、もがいた末にcriticalには「重要な、大切な」という意味もあることを思いだし、「大切な友だち」に名称を代えたところ、嬉々としてやり出してくれました。誰も、ファンレターをもらって、それほどうれしいことはありませんから。(でも、批判するのは嫌いです! 「大切な友だち」のなかでは批判はしません! 質問の形に変えて投げかけますが。)

 そして、ここ10年ぐらいは「大切なものを選び取る力/大切でないものを排除する力」を使っています。これなら、ほぼ40年前にカナダの先生たちがダントツで最も大切にしたいと言っていたのが、分かる気がしませんか?

 なお、クリティカルな思考は、「21世紀型スキルの4C」の一つとだいぶ前から言われていますが、ほかの3つ(コミュニケーション、コラボレーション=協働する力、クリエイティビティー=創造力)はそれなりに受け入れられても、クリティカルな思考はほとんど全く認知されていない状況が続いています。「批判的思考力」では、子どもたちが証明しているように、だれも批判はしたくないので受け入れられないでしょう。また、具体的にそれを磨くために練習する方法も、ほとんど紹介されないままが続いています。

 

★★『言葉を選ぶ、授業が変わる!』および『オープニングマインド』のなかで紹介されている、identity, agency, social imagination, 「それを考えるほかのほうほうはありますか?」「一緒に考え、力を合わせて取り組む」「世界を選択する」などの言葉や章立てで面白い内容が書かれている2冊の本です!

2023年5月20日土曜日

「車椅子やベビーカーユーザーの優先/専用エレベーター問題」

  さきほど、別に書いているブログhttps://selnewsletter.blogspot.com/2023/05/sel.htmlに、上のテーマで書き込みました。

 当初は、こちらのブログ用に書き始めたのですが・・・・

 これを『ギヴァー』の関連で見ると、そもそも問題として存在しません。https://thegiverisreborn.blogspot.com/search?q=3500

 人口が最大で3500人を超えるとは思えないコミュニティーに、3階以上の建物があるとも、必要とも思えません。たとえあったとして、それにたくさんの人が同時に乗り合わせる状況があったとしても、すべての人はお互いを知っているような関係ですから、車椅子の人やベビーカーの人を無視して、自分たちが先に乗ってしまうということはありえません。

2023年4月26日水曜日

日本の公共空間の貧しさ

 海外のストリート・ピアノ(『駅ピアノ』、『空港ピアノ』、『街角ピアノ』)は、どれも様になっています。日本では、同じようにならないだろうと思っていたら、挑戦した例があるそうです。https://news.yahoo.co.jp/articles/481b87e9632d7b20ad0ccad0060c4d56095e7b33

 いったい何が違うのか?

 公共スペースの捉え方、そこでの振舞い方、そこでのコミュニケーション(関係)の取り方などの違いです。

 

 なぜ、今そのことを書く気になったかというと、先週、車や路上でマイクをがなり立てる選挙があったからです。これも、完全に公共空間の使い方を知らない表れです。

常人であれば、ああいうやり方はおかしいと思えますが、それをやり続ける(マイクを大声を出す)人たちは「異常」なので(あるいは、その期間だけは、「何でもあり」と錯覚しているのか)人の迷惑を考えずに、やりたい放題です。(お騒がせして申し訳ありませんが、という人もなかにはいますが、言い続けながら、やめないということは、言わないのと同じです! 他の方法を思いつかないので、やり続けます、と宣言しています。)

 

 この選挙でがなり立てることが許されること/やめられないことと、ストリート・ピアノが機能しないことは、私たちが公共スペースの使い方という観点で問題を抱えているだけでなく、コミュニケーションの取り方(人間関係の築き方)でも問題を抱えていることを表しています。そんな状態で、世の中よくなっていくでしょうか?

2023年4月18日火曜日

4年に一度の騒音公害の1週間

窓を閉めていても、騒音が押し寄せてきます。(耳栓をしても、逃れられません!)

 

国会や都知事・議会選、そして市区町村の首長選は、カバーしなければならない広さが壁となっているのでほとんど騒音の被害はありませんが、市区町村の議会選挙だけはこの問題にさらされ続けます。

この騒音公害といい政治が行われることには、何らかの相関関係があるのでしょうか?

もしあるのなら、我慢もできますが、まったくないのではないでしょうか?

決め方が他の方法であれ、現状が大して変わるとは思えません。

何よりも、投じている税金はバカになりません! その税金を使っている人たちや選挙に関わっている人たちで、それが無駄金だと思っている人は、果たしてどれだけいるでしょうか?

いい政治をもたらすために機能していないのであれば、他の方法を真剣に考えられないものでしょうか? 無駄金を使わない静かな方法を。

毎度のことながら、そういうことを考えさせられる「騒音公害」の1週間です。

ちなみに、騒音公害を垂れ流す候補者は、バツを付けて私のリストから消えます。人への迷惑を考えられない人が、いい政治をやれるとは思えませんから。

 

ギヴァーのコミュニティーには、こういうことは起きません!

顔の見える関係なので「近所迷惑」は、許されませんから。

うーん、でも、スピーカーで流れる有線放送はありました。(あれも、いまの時代にはなんとかできそうな気がします! 何せ、30年前の作品ですから!!)わが市でもいまだに2時半の子どもの見守り有線放送は続いています。効果を考えると、この官製騒音公害も早くやめるべきです。)

こういう「偽りの見守り」や「偽りの民主主義」を変えていかないと、と強く思います。

2023年4月3日月曜日

お金が存在しない、ギヴァーのコミュニティー

 前回(エイプリル・フール)の書き込みについて考えていたら、これまで15年ぐらいこの本について考え続けていたのに初めて気づいたことがありました。

きわめて単純なことなのですが、ギヴァーのコミュニティーにはお金も、お店も存在しないということです。

 なにせ、総住民の数が3500人ぐらいに限定されていますから、それらの必要性がないのでしょう。

あるいは、それら(貨幣経済という商業ベースの社会構造)がいかに悪いことを起こすのかという反省の上で、葬り去った(リリースした)のかもしれません。

 あなたは、この点についてどう思いますか?

2023年4月1日土曜日

エイプリルフールから「クリティカルな思考」について考えた

いまとなっては、ハロウィンやヴァレンタインデーなどと比べると、エイプリルフールはマイナーな存在になっているでしょうか?(私が小学生だった頃~60年前は、輸入物のイベントはエイプリルフールぐらいしか知られていませんでしたから、けっこうみんなで噓の付き合いをしていました! そういえば、クリスマスはありましたが、いまほど商業的ではなかった気が・・・ということは、すたれるか栄えるかの分かれ目は商業的に取り上げられるか否かということ?)

 それでは、かなりまずいと思うのですが、クリティカルな思考を大事にしない日本社会では、誰かに頼る部分が大きく、商業資本の力が大きいままが続きます★。クリティカルな思考は、「批判的思考」と日本では訳されがちですが、それでは2~3割しか当たっていません。残りの部分は「大切なものを見極める力と、その逆の大切ではないものも見極める力」が占めています。

 この思考法というか能力は、人が生きていく際のすべてに関係しています。選択のことですから。何の昼食を摂って、何は摂らないのか。どのルートを通って何時までに通勤(通学)するのか、それともいつもと同じルートと時間のままか。誰とは話をして、誰とは話さないのか。どの本は読んで、どれは読まないのか。どの候補者(政党)を選んで、どれは選ばないのか・・・・などなど。http://thegiverisreborn.blogspot.com/2011/04/blog-post.htmlと深く関連します。

 クリティカルな思考は、21世紀に不可欠な「4つのC」の能力といわれて久しいのですが、日本では他の3つ(コミュニケーション力、コラボレーション=協働する力、クリエイティブ=創造力)ほど脚光を浴びることがありません。(中身を理解していないこと=訳語の誤りと、それの育て方が分からないことが原因にありそうです!)

 

★この要素を見事に描き出した図があります(出典:『あなたの授業が子どもと世界を変える』)

ほかには、ユーモアをどれだけ大事にするかとか、ユーモアが分かるのかとも関係すると思います。そのほかに考えられる要素には、どんなものがあるでしょうか?

2023年3月23日木曜日

WBCというお祭りが終わりました

 大谷選手で始まった大会が、大谷選手で終わりました。

 日本での第1ラウンドにも、球場の内外でいろいろな物語はありましたが、決勝ラウンドは完全に別物でした。

 関連の記事や動画で、自分にヒットしたものを紹介すると

https://twitter.com/ShoTimeTalk/status/1638383554240585728

【WBC】トラウト「他の終わり方があったと思うかい?」 大谷翔平との対決振り返った - WBC2023 : 日刊スポーツ (nikkansports.com)

「日本人を愛するしかない」 大谷翔平の魂がこもったスピーチ 米国でも大反響(Hint-Pot - Yahoo!ニュース

侍Jに「困っていた」宇田川優希 ダルビッシュに救われた34日間の変貌「今は凄く寂しい」(THE ANSWER) - Yahoo!ニュース

 ここまでは、その素晴らしさを描くものばかりですが・・・もっともヒットしたのは、

https://news.yahoo.co.jp/articles/c3f51966751dab74046aea324ef0ed39f4f1073d

でした。こういうことまで、しっかり視野に入れておかないと、社会全体としての成長は期待できないという思いも込めて・・・・

 一番最初のインタビュー動画は、インタビューの聞き手と答え手のうまさにも惹かれました。聞き手二人は、野球を知っている人なら知らない人はいない二人です。

 ギヴァーとの関連でいえば、大谷選手の出身地の奥州市/旧水沢市は廃止当時の2006年で人口約6万人です。それに比べて、ギヴァーのコミュニティーの人口はhttps://thegiverisreborn.blogspot.com/2010/03/blog-post_09.htmlで書いたように、約3500人です。そして、コミュニティーの外とのつながりもほとんどない状態です。

 

2023年1月8日日曜日

『ギヴァー』と関連のある本135 

 ミステリー作家というイメージが強い東野圭吾の『クスノキの番人』です。

『ギヴァー』は、このブログで紹介してきたように極めて多彩なテーマを扱った本なわけですが(たとえば、https://thegiverisreborn.blogspot.com/search?q=%E5%93%B2%E5%AD%A6%E6%9B%B8)、『クスノキの番人』も、記憶や家族を含めて、哲学で扱うテーマのかなりを扱っている気がします。

ぜひ、ご一読を。

東野さんの作品は、5分の1も読んでいないので、定かではないのですが、彼には、こういう作品が多いのでしょうか? そういえば、『ナミヤ雑貨店の奇跡』も不思議な本でした!