今日紹介するのは、ジーン・クレイグヘッド・ジョージが書いた『狼とくらした少女ジュリー』です。
これも、『ギヴァー』と同じくニューベリー賞を受賞した本です(1973年の受賞)。ニューベリー賞は、最も優れた児童文学の著者に与えられる賞です。すでに1922年にスタートしているそうですが、これに匹敵する日本の賞はあるのでしょうか? 外れがありません。よく選ばれているし、受賞に値する児童文学が書かれているということだと思います。これまでに、このブログでも紹介してきた本には、
アヴィの『クリスピン』
リンダ・スー・バークの『モギ ~ ちいさな焼きもの師』
シンシア・ライラントの『メイおばちゃんの庭』
ロイス・ローリーの『ふたりの星』
などがあります。
「児童文学」ですが、大人も十分に読める本ばかりです。★
前段が長くなりました。
主人公は、14歳のエスキモーの少女です。英語名がジュリーで、エスキモーの名前は、マヤック。本の中では、本人がマヤックを使いとおしていますが、どういうわけかタイトルには、ジュリーが使われています。
すでにお母さんを亡くしていたマヤックは、お父さんが猟に出て帰って来なかったので、お父さんから言われていた未来の夫のところへ嫁ぎました。しかし、その相手が好きになれず、逃げ出して、北極海沿岸のツンドラ地帯をさ迷うことになってしまいました。
そのとき助けてくれたのが狼の一家でした。(お父さんから、狼とのコミュニケーションの取り方を聞いていたので、それが可能でした。)
最後は、行方不明になったはずのお父さんに出会います。
なぜ『ギヴァー』と関連すると思ったのかというと、いくつかありますが、一番は「何処(どこか違うところ)」を求めているところです。自分がもっともフィットするところを求めているのです。それは白人社会でも、変わり行くエスキモー社会でもなく、どうも自然の中というか、狼の群れらしいのです。
ぜひ読んでみてください。 (星野道夫さんに通じる部分があります。ちなみに、カークパトリック・ヒル著の『こんにちは アグネス先生』とシドニー・ハンチントン著の『熱きアラスカ魂』は、エスキモー/アラスカ関連の本でした。)
訳者あとがきに3部作になっていることを知り(しかも、後の2冊は日本語に訳されていないようです)、早速注文してしまいました。第2部は1992年に、第3部は1997年の出版です。
★ そういえば、『ギヴァー』と関連する本の中にも、ニューベリー賞の中にも、まだアーシュラ・K. ル=グウィンの『ゲド戦記』を含めていないことに気づきました。ニューベリー章に含めることはできませんが、関連する本には加えます。
2012年1月23日月曜日
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