『スリー・カップス・オブ・ティー(3杯の紅茶)』は、グレッグ・モーテンソン著★の本のタイトルです。
アメリカは、何ごとも最良のものから最悪のものまでもっている幅の広い社会です。
頻繁に起こる銃の乱射事件、ハリケーン・カトリーナの被害、そして「テロとの戦い」を掲げたイラクやアフガン戦争が記憶に当たらしところです。
最後のアフガン戦争が最悪の一つなら、今回紹介する本の主人公がアフガニスタンとパキスタンでしていることは最良の一つでしょう。
本のタイトルは、主人公がパキスタンのカラコルム山脈の中にあるコルフェ村で最初の学校を作っている最中に、村の村長から言われたことに由来しています。
「ここでうまくやっていきたいとお思いなら、我々のやり方を重んじてくだされ。バルティ族の人間と初めていっしょにお茶を飲むとき。その人はまだよそ者だ。2杯目のお茶を飲む。尊敬すべき客人となる。3杯目のお茶をわかちあう。そうすれば家族の一員となる。家族のためには、我々はどんなことでもする。命だって捨てる。グレッグ先生。3杯のお茶をわかちあうまで、じっくり時間をかけることだ。たしかに、我々は無学かもしれん。だが、愚かではない。この地で長いこと生きのびてきたのだから」
ジョナスとの関連も感じさせてくれるグレッグ先生の行動です。
ぜひ読んでみてください。
ちなみに、グレッグ先生が大事にしているのは、どちらかといえば女の子たちの教育でした。男は教育を受けると村を出て行ってしまうのに対して、女の子たちが村に残る確率ははるかに高いからです。
★ 本の著者は、グレッグ・モーテンソンとしましたが、実際彼は書いていません。そんな興味も、能力(?)もありません。たとえ、あったとしても本を書くための時間よりも、はるかに有効な時間の使い方があると思っている人だと思います。
実際に取材して書いたのは、書くことが専門のデイヴィッド・オリバー・レーリンという人です。(だから読める/読ませる内容になっているような気がします。)
★★ 日本には、1983年からパキスタン(ペシャワール)やアフガニスタンで医療、水源確保、農業支援の活動をしている中村哲さんというお医者さんがいます。
中村さんの場合は、最初から医療支援が目的で行かれたと思うのですが、グレッグ先生の場合はK2に登ることが目的でした。その目的に失敗して、山を下り、たまたま迷い込んだ村がコルフェ村だったのです。
中村さん関連の本を目を通したら、中村さんとパキスタンやアフガニスタンとの最初の関わりは、グレッグ先生と同じ山登りだったそうです。ヒンズークシュ山脈に登る登山隊の同行医師として。
ちなみに、グレッグ先生のもともとの職業は看護士でした。
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