2013年2月22日金曜日
『学校では教えてくれない本当のアメリカの歴史』2
この本は、第1章「コロンブスがはじめた征服の歴史」というタイトルで、これまで描かれていた英雄像★を打ち砕き、「欲深い残虐者」として描きはじめます。
そして、それは500年後の1992年には、決定的になったことも書かれています。(下巻の144ページ)
著者は、以下のような視点でアメリカの歴史を綴っていくと宣言しています。
20 歴史家は数ある事実のなかから、どれを自分の研究課題とし、どれを省略し、どれを話の中心にすえるかを選択して決定しなければならない。歴史家の考え方や信念は、その歴史家の歴史の描き方に示される。そして、いかに歴史が描かれるかによって、それを読む人の考えや信念も形づくられるのだ。
21 あらたな可能性を未来に探ろうというときには歴史が助けになってくれる、と私は信じている。歴史は、隠されていた過去のある部分、たとえば人々が権力者に抵抗し、あるいは団結したときの物語を明らかにして、ヒントを与えてくれるはずだ。わたしたちの未来は、延々と続く戦争史の中にではなく、思いやりと勇気にあふれた過去の出来事のなかに見いだされるにちがいない。これが、アメリカ合衆国の歴史への、私の接近方法である。そしてそれは、コロンブスとアラワク族との出会いからはじまるのだ。
→ 『ギヴァー』の中に、戦争についての歴史をジョナスに注入する場面が出てきます。それは、将軍や王様の場面ではなく、戦場の一兵卒が遭遇している場面として描かれています。ローリーさんは、いろいろな可能性の中から、選んでいたわけです。
★ ちなみに、コロンブスにはこれまで新大陸の発見者という称号が与えられていたわけですが、それより大分前に北欧バイキングが今のカナダ東部海岸地帯に遺跡を残していました。最近では、イギリス人のギャヴィン・メンジーズが『1421 中国が新大陸を発見した年』の中で、コロンブスに先立つこと約70年前に、すでに中国人が発見していたことを多様な史料と、自分が元潜水艦乗りであった体験を踏まえながら考証しています。そして、中国人が描いた新大陸の地図がヨーロッパにもたらされていたので、コロンブスはすでに潮に任せて西に向かうと、今の西インド諸島にぶつかることはすでに出発する前からわかっていた、というのです。
ですから発見者でもなんでもなく、単なる「欲深い残虐者」だったということになります。でも、そこまで言い切ってしまうと、コロンブスが可哀想かもしれません。
それでは、彼が存在し、したことにはどんなプラス面やメリットが考えられるのでしょうか?
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