この夏は、ユートピア旅行記叢書の『ガリヴァー旅行記』と、そのオリジナル版(英語版)のGulliver’s travel by Jonathan Swiftを図書館から借りてきて、読む気でいたのですが、時間がとれずに、阿刀田高著の『あなたの知らないガリバー旅行記』(新潮文庫)でお茶を濁しました。
以下は、その本からの引用です。
「つまるところ、その歴史は陰謀、叛逆、殺戮、革命、追放の繰り返しではないか。よくもまぁ、そんなにいまわしいことをあきもせず続けて来たものだ。お前の話を聞いていると、無知で、怠惰で、品性のいやしい者が、一番統治者としてすぐれた者になってしまう。法律を勝手にゆがめたり、うまく法の目をかいくぐったりする者が、一番法律をうまく運用したことになるらしい。聖職者は信仰心があついからといって尊敬されるわけでもなく、軍人が勇敢である必要もないらしい。裁判官も法律に忠実でなくてもよいようだ。お前の国の国民は、自然の目こぼしでこの地球上を這いずりまわることを許されている害虫どもの中でも、特に悪辣な種族らしいな」と、ガリバーのイギリスの歴史に耳を傾けた後に、結論づけたのは巨人の国ブロブディンナグ王国の国王。(53~4ページ)
18世紀のイギリスの現状を風刺するためにスウィフトは書いているのですが、いまの日本にも当てはまったしまう内容ではないでしょうか。
以下は、同54~55ページからの引用:
イギリスの歴史以上に国王が愕然と身を震わせたのは、ガリバーが火薬を用いた砲銃を作ることを教えたときであった。
「なぜ、お前たちはそんな恐ろしいものを持とうとするのか・・・それは悪魔の発明であり、断じて人間の考えるべきものではない。そんな発明はいつかは振り返って自分の国をほろぼすものとなるだろう。そういう発明をしないことが、人間の知恵ではあるまいか」
まことにごもっとも。スウィフトは原子爆弾など知るはずもあるまいが、武器の発明が辿りつく先を賢明に予知していたのかもしれない。 ← いまは、「平和利用」の言葉で包んだ原発もです。
他にも、『ガリヴァー』と『ギヴァー』の接点あるかもしれません。もし見つけられたら、ぜひ教えてください。
0 件のコメント:
コメントを投稿