ジョナスは、自分のコミュニティとは違う「あそこ」へ向かって旅立ちました。
表題の絵本(マリー・ルイーズ・フィッツパトリックさく)を訳した「日本の老子」の加島祥造さんが「あとがき」で、以下のように書いています。
「There」という謎めいた題名のこの絵本は、不思議な暗示にいろどられています。
「あそこ」がどこにあるのか、遠いのか、近いのか、楽しい場所なのか、こわい場所なのか、それさえも、はっきりとはわかりません。けれどページをめくってゆくと、この女の子と同じように、「ここ」とはちがう場所を思う気持ちが心にわいてくるのではないでしょうか。
今いる「ここ」とはちがう場所に行くのは、とても楽しみなことであり、
同時に、不安になることでもあります。けれど、ひとは、ずっと同じ場所にいることはできません。
子どもであれば、成長し体も大きくなるし、学校へ、社会へと環境も変わります。
おとなであっても、同じです。思いがけないことが起こって、
人生が思いがけない方向にいくのは、しばしばあることです。
人生とは、まだ知らない「あそこ」への旅だということもできるでしょう。
見知らぬ「あそこ」に行くことを楽しむか、こわがるか。どちらでもよいと、私は思います。
「ここ」ではない「あそこ」があるのだと想像し、流れにのっていれば
いつか自分も「あそこ」に行くのだ、と心に感じている、
そのことが大切なのだと思います。
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