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2013年10月24日木曜日

フラタニティー

  大学時代の選考/評価の関連で

フラタニティーという名称を聞かれた方は少ないと思いますが、学生が自主管理・運営する寮のことです。
男子の場合がfraternity(ラテン語で「兄弟」という意味)で、女子の場合はsorority(ソロリティー)です。私が入った頃から男女混合のものがボチボチでき始めていました。
  もちろん、大学が管理・運営する寮もあります。学生側に選択肢を提供しているわけです。もちろん、自分でアパートを探すこともできます。でも、依然とし て、アメリカの大学の場合は、前の2つがほとんどではないでしょうか? 主な理由は、大学にコミットする時間が、日本の学生の比ではないからだと思いま す。

  自主管理・運営のフラタニティーは、建物自体は先輩たちが保有しています。そこに家賃を払う形で住まわせてもらう関係です。もちろん、それで「住」の問題 は解決しますが、「食」の部分は自分たちでコックを雇って、何を作って出させるかは自分たちが決めます。おいしく豪華な食事を希望すれば、寮費は自ずと上 がりますし、そうでない選択をすると安く済ませることもできるというわけです。どんな社会活動をするのかや、大学の行事等に参加するのかも、自分たちで決 めていきます。お昼も、寮に戻れば温かなものが食べられますが、戻れない場合は前夜までにサンドイッチを予約しておけば、朝もって出られます。

 ここで私は3年半生活したわけですが、一番面白いのは誰を仲間として選択し、入ってもらうかという選択のプロセスです。
 大学に入学が決まった生徒に関しての情報が、大学側から提供されます。すでに入学1年ぐらい前から決まり始めます。
  私が入っていた寮は基本的にスポーツ好きの学生が多かったのですが、とにかく候補になると思う生徒に連絡をとって、事前に大学を見に来るときは泊まっても らうように誘いをかけます。まずは、知ってもらうことからスタートです。冬休みや夏休みに寮生が実家に帰ったときは、近くで会える生徒(相手は、まだ高校 3年生)にできるだけ会って、大学のことや寮のことを紹介します。

 そして、大学が始まる前の週がrush week(新入生勧誘ウィーク)です。ウィークとは言っても、実質は週末の2泊3日です。(9月の第一週の月曜日は、祝日です。)この期間に、在校生側 は、新年度に新たに寮に加わってもらう新入生を厳選し、50~60人の候補の中から8~10人に絞り込んでbid(公式な勧誘)をします。それに対して、 新入生の側にもどこに入りたいかという選択がありますから、自分が入りたいところからbidをもらったら、pledge(正式な受け入れ)します。もちろ ん、受け入れないという選択肢ももっています。

 在校生は、金曜の夜、土曜の夜、日曜の夜は、新入生を寝せたあとに、夜遅くまで/朝早くまで、誰にbid を出すかの喧々諤々の話し合いが行います。在校生の中に一人でも、「あいつはダメだ」という人がいたら、他の何人がいいと言ってもbidが出されることは ありません。2年、3年一緒に暮らしていくわけですから、最初から馬が合わないと言っているのに、「しばらく経てば慣れるだろう」はないわけです。
 初日の夜は、確実に入ってもらいたい5~6人ぐらいを決めて、土曜日にbidが出されます。
 2日目の夜は、次のグループ5~6人を決めて、日曜日にbidが出されます。
 これらの中から、年度にもよりますが、3~5人は他のフラタニティーや大学運営の寮を選んだりしますから、3日目の夜は、追加の数人を選んで、月曜日にbidを出します。
 なお、このbidは、rush week期間中だけ有効なのではなく、新入生が在学期間有効というものです。ですから、私が住んでいた寮でも、3年生になってpledgeして移ってきた学生がいました。

 以上は、大学での勉強よりも、私にとってははるかに価値のある体験でした。
 まるで、フラタニティーという存在や仕組み自体知らずに飛び込んだにもかかわらず。

  『ギヴァー』 のコミュニティでは、12歳で仕事を始めますから、こういう生徒がたむろするスペースはなさそうです。小さい時から同級生全員のことを知った状態で、ずっ と上がってきますから、ある時点になってお互いを選び合うという行為自体、あまり意味をなさないと思います。その意味でも、自分の職が決まるというのが一 大イベントであるというのは、わかる気がします。


 私の父は茨城出身で東京にある「水戸塾」に入っていたのですが、基本的には同じようなプロセスで選考していた、と言っていました。調べてみたら、なんと、今も運営されています!! 他県にも、同種のものがあるはずです。アメリカの場合は、これが各大学毎にたくさんあるとイメージしてください。MITの場合は確か30近くあったように記憶をしています。
http://en.wikipedia.org/wiki/List_of_MIT_fraternities,_sororities,_and_ILGs


★★ rush weekの前の4~5日は、在校生が建物の中を金ピカに掃除をして、磨きます。少なくとも、その週だけはいい印象を与えるために。ほとんどのフラタニティーの規模は30~40人です。従って、毎学年8~10人ぐらいの出入りがあります。

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