前回、司馬遼太郎さんの「坂の上の雲」について触れました。
私自身、本は出たとき読みましたし、テレビドラマも見ましたし、ドラマ用につくられた歌も好きで頻繁に聞いています。
しかし、あれらからは、日本の現代史でピークだったのが、日露戦争が終わったときの1905年で(まさに、開国以来、坂を登りつめるように)、その後はひたすら転がり落ち続けている(少なくとも、1945年までは)というのが司馬さんの考えであることは伝わってきません。
そのことは、ご本人も別のところでくりかえし書いていますし、言ってもいました。
自分にとっての戦争体験のひどさが、すべてを書かせている、とまで。
そして、私の記憶では韃靼疾風録が最後の小説ですから、亡くなる前の約10年(1987~1997年)は、ひたすら当時の日本のありようを嘆き続けていたように思います。しかし、その司馬さんのメッセージがどのくらい日本人に届いていたかは、はなはだ疑問です。
司馬さんが嘆いた10年間より、いまの日本の何は良くなっているでしょうか?
大きな宿題は残されたままな気がします。
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