前回は、本の内容については何も書かなかったことに気づきました。
私にとっては、あまりにも身近な内容ばかりだったことが理由かもしれません。★
大切なことがたくさん書いてありますが、本のポイントを私になり捉えると、これまで主流であり続けている「理論→実践」のアプローチが機能しないことはすでに証明されているので、「実践→振り返り→自分なりの理論構築」を可能にするアプローチでやっていきましょう、ということになります。
その際の主役は、これまでのアプローチとは逆に、教師や講師ではなく、生徒や学生や受講者になります。従って、従来の決め決め(と同時に、バラバラ・ブツギリ)のシラバスやカリキュラムをこなすアプローチは取れなくなります。臨機応変に柔軟に、主役である生徒や学生や受講者のニーズや関心等をベースにしながら(かといって、野放図にやりたい放題ではなく、結果的に押さえるべきことはすべて押さえた上に、身につくレベルは従来のアプローチをはるかに越える形で)展開していきます。
そんなこと可能なのか、と思われるかもしれませんが、可能なのです。「ボタンの掛け違え」や「悪循環や悪習」に気がついて、修正/転換さえできれば。(下で紹介する作文の授業→ライティング・ワークショップや、読解の授業→リーディング・ワークショップ、暗記になってしまう理科や社会→探究=科学者のサイクルを回し続ける理科や社会、単なる正解あてっこゲーム化している算数・数学→問題解決=数学者のサイクルを回し続ける算数・数学などですでに証明されています。)
そのためには、年間を通して「実践→振り返り→自分なりの理論構築」のサイクルを何度も体験して、自分のものにすることで、どんな状況でも活用できるまでにしていきます。そうすることで、生徒の立場に立つことができ、教科書をカバーすることや一斉授業(要するには、一方的な教え込み)から解放された「自立した教師」が育ちます。
(このサイクルは、たとえば、
●作文版では「作家のサイクル」=①題材探し→②下書き→③修正→④校正→⑤出版が、
●読書版では「読書家のサイクル」=①選書→②下読み→③修正(読み直し、ペア読書、ブッククラブ)→紹介が、
●理科や社会版では「探究のサイクル」=①自らの疑問・質問→②探求・発見→③解釈・修正→④発表等になり、
いずれも年間を通してこのサイクルを繰り返すことで「自立した書き手」「自立した読み手」「自立した科学者」「自立した市民」が育ちます。大人になってからではなく、学校にいる間に十分練習ができるし、また「本物の作家・読書家・科学者・市民など」になる体験を通して学び続けないと、大人になってからでは「もう遅い!」という部分が多分にあります。)
残念ながら日本の教育の中には、いまだ「自立した教師」「自立した書き手」「自立した読み手」「自立した科学者」「自立した市民」・・・「自立した学び手」を育てるという発想はありません。「ひたすらたくさんの知識をつめこめば何かの役には立つだろう!」の発想で展開しています。バラバラ・ブツギリで提供された知識や技能や態度を、自分のものにできないのは生徒や学生が悪い、という姿勢です。
★ 大学での教員養成は、私の対象外です(マーケットとして捉えにくいという理由がありました?)が、子どもや教師や親や会社員等を対象にしたものは、基本的に同じ内容の情報を過去20年ほど提供し続けてきています。要するには、授業も、教師教育/現職教員研修も、会議の運営も、学校や会社経営も、PTAを含めたNPO運営も、構造的には変わりありません。対象によっては、『教師教育学』よりもはるかに読みやすいし、活用もしやすく書いてありますので、紹介します。
● 教師+子ども向け
『「考える力」はこうしてつける』『ライティング・ワークショップ』『作家の時間』『リーディング・ワークショップ』『読書家の時間』『「読む力」はこうしてつける』『ドラマ・スキル』『マルチ能力が育む子どもの生きる力』
● 教師向け
『「学びの責任」は誰にあるのか』『読書がさらに楽しくなるブッククラブ』『理解するってどういうこと?』『たった一つを変えるだけ』『ようこそ、一人ひとりをいかす教室へ』『PBL ~ 学びの可能性をひらく授業づくり』『算数・数学はアートだ!』『効果10倍の教える技術』『「学び」で組織は成長する』『テストだけでは測れない!』『効果10倍の学びの技法』『いい学校の選び方』『校長先生という仕事』『会議の技法』『エンパワーメントの鍵』
● 親/PTA向け
『いい学校の選び方』『ペアレント・プロジェクト』『会議の技法』『好奇心のパワー』『たった一つを変えるだけ』『「学びの責任」は誰にあるのか』『読書がさらに楽しくなるブッククラブ』『理解するってどういうこと?』『算数・数学はアートだ!』
● 会社員/一般向け
『エンパワーメントの鍵』『効果10倍の教える技術』『「学び」で組織は成長する』『校長先生という仕事』『会議の技法』『好奇心のパワー』『たった一つを変えるだけ』『「学びの責任」は誰にあるのか』『読書がさらに楽しくなるブッククラブ』『理解するってどういうこと?』
他にも、1989~95年に関わっていたERIC(国際理解教育センター)で出している出版物のほとんどが、同じ考え方の基に作られているものです。
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