135 見当識 ~ 「自分はどこにいるのか?」「自分は何者か?」 ~ は、極めてもろいもの ← これがアルツハイマーや痴呆症の原因になっている。
136 心と身体は、社会とは完全に異なる時計によって管理されているのだ。適切な方向づけを行うためには、外的な社会時間と内的な脳時間とを、はっきり区別する必要性がある。社会時間とはきわめて専制的とも言える。一方、内的な時間である脳時間は生得的なものだ。気分、やる気、創意なども、内的な時計が時間を計っているのである。
→ この2つの時間をしっかりわきまえることは、とても大切なことだと思いました。
心脳が場所、時間、行為を表現することは、心脳がどのような状態にあるかによって、完全に左右される。ドラマの筋立てのように、この3つの要素が一致した状態を維持するためには、ドラマの演技よりもずっと、繊細な技術が必要だ。心脳は見当識を供えるよう私たちに働きかけるばかりか、意識やふるまいのどんな些細な局面にも、もっと重要な[生存に不可欠の]奥行きを与えているのである。私たちは場所と時間を正しく把握せずして何事もはじめることはできないのである。
141 フロイトの主張は正しかった。要するに夢は、本能(性や攻撃性)、感情(恐れや怒り、愛情)、生活(場所や、人物、時間)について、何か重要なことを物語っているのである。覚醒、睡眠、夢の研究を通じて、もっとも基本的な機能 ~ 見当識 ~ を使えば、生命に重要なこうしたデータが、どのようにプログラムされ、統合され、維持されるかという理論を導き出せるはずである。
147 フロイトの間違い ~ フロイトは異常な夢ほど意味があると考えていたので、夢を理解するには自由連想による解釈が必須だとした。結果フロイトは、夢のデータを誤った方法で扱うことになってしまった。私たちが掲げる新しい理論では、顕在内容(フロイトは軽視し、私たちは価値があると見るもの)と潜在内容(フロイトは賛美し、私たちは雑音だと見るもの)を区別する必要はない。
148 夢のどんなところが、最も夢らしいといえるか? 夢の何がいちばん奇妙なのか? 不連続、不調和、不確実なところ...これらはみな見当識が混乱している時の特徴である。場所、人物、時間の設定に混乱が生じている。その理由とは、夢状態の心脳が、覚醒状態の心脳とは異なるからである。夢は器質的な精神疾患だ。
153 夢を見ている時、私たちは精神疾患者の心脳状態を体験しているわけである...夢を見るとは、心脳にやがて生じる老化や衰退という一種の精神錯乱を、前もって体験していることなのだ。
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