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2011年6月8日水曜日

伝統的な教育をやり続ける日本 = 今の社会のあり方

  ピアジェの『教育の未来』の4回目です。


90 伝統的教育を行っている学校の教育法は、子どもや青少年の中に能動的でしかも自律的な理性を育てることに成功している、といってもいいものでしょうか。

   伝統的な学校は、生徒に対して多くの知識を与え、その知識を用いていろいろな問題を解きいろいろな訓練をする機会を与えています。こうすることにより伝統的な学校は生徒の思考を<豊かにし>、いわゆる<知的体操>を行わせます。知的体操は、生徒の思考を強固にし、思考を発達させるものと考えています。誰もが知っているとおり、中等教育を終えてから5年、10年、20年もたつと、学校で習ったこれらの知識の多くは、忘れられてしまいます。 ← 1年もつでしょうか? ピアジェ先生に言われるまでもなく、受験生たちのほとんどは実体験を通して知っていることです。

91 これに対して、自発的活動を重視する教育法を唱える人たちは、次のように言うでしょう。言われるままに記憶した知識はほとんど忘れ去られてしまうのであれば、重要なことは学習プログラムの量を多くすることではなく、勉強の質をよくすることではないか、と。言葉をかえて言えば、自由な研究と自発的な努力により自分自身で獲得した知識のほうが、よりよく記憶されるはずだ、というのです。

92 心理学的な見地からは、自発的活動を重んずる教育方法がよいということが明白になってきます。自発的活動を重視する教育法を唱える人々の多くが想像するよりももっとずっとラディカルに、知的教育を改めてゆかなければならないということが、要求されているのです。 → 何年も前からわかっていることなのに、変えられないのはナゼでしょうか???

93 教育の内容がいかほど高くても、通常の教員に課されている自発性を重視せぬ教育法を取る限りは、よく知られているような難問に突き当たるのです。普通の学級において、教えられた数学をすぐ身につけることのできるのは、一部の生徒に過ぎません。

 数学の出来不出来が、将来の成功・不成功を示している、と思っている人は少なくありません。そのような人々は、数学の成績がよくないのは従来の数学教育法そのものが悪いからではなかろうか、などとは考えたこともありません。 → みんなできないのは自分のせいにしていますね!!

~102 数学教育の無知について、たくさんの事例を踏まえながら紹介

102 数学こそ、人格の発達にもっとも役立つ。知的自律性を確保するところの理性的・論理的な思考法を獲得するための、もっともよい分野です。そして、それにもかかわらず、旧態依然たる教育が行われ、人格の完全な発達と理性的・論理的思考法の獲得をたえず妨げているからです。なぜそのようになってしまったのか。ほかでもありません。大人にとって、幼少期・少年期の子どもから自発的・現実的行動を引き出すことぐらい難しいことは、ほかにないからです。→ だからこそ、自発的活動を重視した教育が求められている? でも、「人格形成に数学がもっとも役立つ」というのはピアジェ先生の偏見では?

103 ピタゴラスの定理を覚えたからといって、自分の理性を自由に行使することができるようになるわけではありません。この定理があることを自分で発見し、その証明を自分で見出し得たときに、はじめて、自己の理性を自由に行使することができるようになるのです。知的教育の目的とするところは、出来合いの真理を記憶したり繰り返しできるようにすることではありません。それというのも、模倣して繰り返された真理は、半心理でしかないからです。現実的・実践的行動を行えば、いろいろ廻り道をすることを余儀なくされ、時間を失うこともありましょう。知的教育の目的は、それを覚悟の上で、真なるものを自分の力で獲得することを学ぶところにあるのです。

さて、数学の方法論について以上のようなことが言えるとすると、言語・地理・歴史・自然科学、その他の科目の教育においても、自発的・実践的活動を重視した教育を行うべきだということを、一層大きな正当性をもって唱えることができるでしょう。 → 単に教えられたことを覚えるのではなく、自らが発見したり、作り出したりする必要性は前から言われ続けていますが、そうならないのはナゼでしょうか?? 常に、質がないがしろにされ、一時的な記憶の量が大事にされ続けています。

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