「ちくま少年図書館」の第3弾として『銀河鉄道をめざして ~ 宮沢賢治の旅』(板谷英紀著)を読みました。 なんといっても、日本のゲーテ、あるいはヴァン・ゴッホですから、焦点の当て方次第では、いろいろなことが書ける人ですが......ここでは『ギヴァー』との関連で。
その宮沢賢治でさえ12歳までの経験で、これまで、今、そしてこれからの多くの人たちにインパクトを与え続ける作品群(や彼の生き方)は可能だったかというと「無理」と言わざるを得ません。
宮沢賢治にとって、
・ 故郷を離れて盛岡中学校に入り、岩手山との出合い。そして文学と宗教への打ち込み。(13~18歳)
・ 中学校卒業と同時に起こり、その後自分をときどき襲う幻覚<青い波>との出合い
・ 法華経との出合い (18歳)
・ 盛岡高等農林での教師や友人たちとの出会い ~岩手山での誓いも含めて (19~22歳)
・ 法華経の布教活動のために上京し、本格的に童話を書き始める。のちに自分の作品を「法華文学」と位置づける (24歳の約7ヶ月間)
・ 花巻農学校の教師になり、生徒たちとの様々な活動や授業 (25~30歳)
・ 自分の最大の理解者だった妹・トシ子の死
・ 羅須地人協会の設立(賢治30歳)
これだけの多様な出会い/出合いとアクションがないと「二度目の誕生」というのは実現しないというか、つくづく難しいと思った次第です。
その意味では、『ギヴァー』のコミュニティは、「ひと」として生まれることを最初から否定している社会、二度目の誕生を制度として廃止している社会なんだとも思いました。たくさんの記憶によって生まれ変わることが可能なギヴァーおよびギヴァーの卵であるジョナス以外は。
テーマ以外に、本を読んでいてマークをつけた箇所は、以下のとおりです。
130 偉大な才能ほど周囲から多くものを吸収し、それをすばらしいものに変えることができるのです。
132~3 生徒を無視して教科書をカバーする授業から、わかりやすく、生徒たちがけんめいに勉強する、(教師がモデルとして示し続ける)授業への転換をアッという間に成し遂げた宮沢賢治の才能。
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