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2010年5月4日火曜日

家族とは

 ここ数日はゴールデン・ウィークということもあって、しばらくぶりの三世代の出会いが全国で見られています。

 家族は、『ギヴァー』が扱っているテーマの一つです。

 『ギヴァー』のコミュニティの住人たちにとって、家族は<長老委員会>によって、構成員にふさわしい職業や配偶者をマッチングされるのと同じように、ニュー・チャイルドがふさわしい家族ユニットにあてがわれる形でつくられます。子どもたちは、あまり尊敬される職業とは思われていない<出産母>たちから生まれてきます。一方で、夫婦が子どもをつくることは禁止されているようです。そして、職を全うして、社会的な価値を失うころには、<老年の家>に住むことになります。ですから、三世代がいっしょに過ごす、ということはありませんし、私たちが大事にしている「血縁関係」も一切ありません。
 ギヴァーからその三世代の家族の団欒の記憶を伝達されたジョナスは、それに強い憧れを感じました。(ひょっとしたら、それを求めて自分のコミュニティを脱出したとさえ言えるぐらいに。)
 また、実際にジョナスがコミュニティを抜け出したきっかけは、特別扱いの形で家で預かっていたニュー・チャイルド(まだ家族が決まらない赤ちゃん)のガブリエルが翌朝<解放>されることを知り、それを阻止するためでした。ガブリエルの命を守ることとコミュニティ全体に再生・再考の機会を提供することの方が、家族のメンバーに対する思い(「愛情」という言葉はご法度!)よりもはるかに大切だったのです。
 ギヴァーも、家族(少なくとも、配偶者)はいたようですが、本人が「自分の娘」として事のほか大切な存在として捉えていたのは、ジョナスの前任の<レシヴァー>で、10年前に自らの命を絶ったローズマリーでした。

 そして、家族は哲学のテーマの一つでもあります。(ページ数は、『14歳からの哲学』池田晶子著からの引用)

72 世の中にはたくさんの他人がいる。一番近い他人は、家族だ。
73 じっさい、よく考えると不思議なことだ。どうして人は、家族と一子の暮らしているのだろう。
   (親)の側から考えてみよう。彼らにしたところで、君が生まれたから君の親になったのであって、はじめから君の親としていたわけではない。君が生まれなければ、彼らはただ彼らであって、君の親という彼らであったわけでないね。この事実を、多くの場合、彼ら自身も忘れているんだ。誰が生まれるかわからなかったのに君が生まれたという、他人と他人のこの不思議な出会いの感動を忘れて、君のことを自分の子供だと思い込んでしまう。そして、時には、自分の思うように君のことをしとうとしたりして、そんなところが、この頃の君には、とてもうっとうしいんじゃないかな。他人が自分の思うようになるわけがないものね。
74  「親として当然の役割をしているんです」と彼らは言うだろう。子供のことを心配して、あれこれ気を遣うのは親としての役割だと。
    じゃ、親の役割って、いったい何だろう。
    動物の親にはない人間の親としての役割があるとすれば、それこそが、他でもない、人生の真実を教えるということのはずだ。
75  どうだろう、君のお父さんお母さんは、人生の真実を君に教えてくれているだろうか。君にはそのことがわかるだろうか。
    むろん、わからないよね。だって、君自身がまだ人生の真実とは何かを考えたことがないんだもの。だとしたら、同じように人生の真実とは何かを考えたことがないかもしれない君の親が、君の教える「人生の真実」は、ひょっとしたら真実ではない、間違ったことかもしれないということになる。さあどうしよう。
    大丈夫さ、だって、君は自分で考えることができるんだもの。
77  家族というのは最初の社会、他人と付き合うということを学ぶ最初の場所だ。家族の外の社会には、もっともっといろんな他人がいる。そういう他人とどう付き合ってゆくのかを予習するための場所なんだ。


 このぐらい軽く捉えられれば、いいですね!!

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