昨日に引き続き、編集者のAさんからの表紙についての説明です。
具体的な方法を詳しく紹介してくれています。
実際、ライティング・ワークショップなどで、自分の書いた文章を「出版」する際に、こういう形でやれてしまうな~、と思わせてくれました。
それでは、
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前回の続きです。
「雪の絵」をさがすにあたり、いちばんのぞましいのは、ラスト・シーンの風景にちかいものです。
ジョナスとゲイブに模して、たとえば少し年の離れた兄弟が、雪の中をとぼとぼ歩いている写真…そんな都合のいいものが、はたしてあるのか??
カヴァー・デザインの素材をさがす際、便利なのが「ストック・フォト」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%88
です。
今回も、とりあえずストック・フォトから探してみました。
まず検索エンジンで「snow sled boy image」と入れると、あるわあるわ。しかし…なんか、楽しそうな写真が多いんですね。
あるいは、ジョナスとゲイブの年齢設定(12歳と新生児)に合わなかったり。
いろいろさがして、ちょっとさびしげな写真をいくつか見つけました。
http://www.gettyimages.com/detail/81774214/Retrofile
http://www.fotosearch.com/STK007/pdc1132/
デザイナーさんに物語の概要をお話しし、
ピックアップした写真を見てもらいました。
(本番の写真さがしは、プロであるデザイナーさんに任せます。
私がピックアップしたものはあくまで「参考資料」です。)
●私「たとえばこんなイメージなんですけど」
●デザイナーさん(以下デ)
「うーん…なんか、これだと小説的なテイストというか、文芸作品の雰囲気に欠けますよね」
●私「そうなんですよねー。雰囲気のある写真、さがしてもらえますか?」
●デ「そうだなあ…ちょっと、ゲラ(校正刷りのこと)をよませてもらえますか?
自分なりにイメージをさぐってみたいから」
●私「はい!すぐお送りします」
というわけで デザイナーさんはゲラを読んでくださり、あの写真をすぐにさがしてきてくれたのです。
この写真を見たとき、私はすごくびっくりしました。「うってつけすぎる!」と思ったのです。
人物像はシルエットだけで、それがむしろ想像力をかきたてるし、何より足跡が余韻の効果抜群です。
ゲイブの姿が見えませんが、目をこらすと、シルエットの人物の上着が少しふくらんでいる気が…
デザイナーさんが、「赤ちゃんを胸に抱えているっぽい感じ」にちょっとだけ加工してくれたのです
(仕事が細かい!)。
私が作品から感じとった「人間の孤独と愛情」が、象徴的・印象的に表現されている上に、手にとった人が「小説っぽさ」を感じてくれる可能性が広がりました。
ふだん、カヴァー・デザインでは、コンセプトの視覚化にけっこう苦労するのですが、今回はしょっぱなから非常にスムーズに運びました。
もちろん、これが作品世界をうまく表現できているかどうかは、最終的には読者の方々が判断することです。
けれど、編集者とデザイナーは終始気持ちよく(齟齬や後悔なく)仕事ができて、著者ローリーさんや原作の読者たちにも気に入ってもらえて、かなり幸運なケースだったのではないか…と思っています。
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