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2010年4月28日水曜日

話すこと、話し合うことの大切さ

  いま翻訳している『リーディング・ワークショップ』(新評論、6月刊行予定の140~141ページ)に、昨日書いたことに関連する部分がありました。

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 太古の昔、人間は話すことで地球を語り、太陽や星や雨を説明してきたのです。何世代にもわたり、親は子どもたちを集め、自分たちの物語を話してきました。話を理解し、それに意味を吹き込んでいくことがなければ、宗教や科学や歴史とはいったい何なのでしょうか?
 日々の様々な局面において、「なぜ、このことが起こったのだろうか? 他の方法はなかったのだろうか? これは、他のこととどう関わっているのだろうか? これが世界にとって、また自分にとってどんな意味があるのだろうか?」と考えて問いかけてみることは、まさに人間が生きていくことそのものなのではないのでしょうか。
 子どもたちが本について考えられるようにしていくことは、まさに生きていくこと全体に関わることであり、読むことを教えていくことの本質とも言えます。そして、本を読んで考えていくことを教えていく極めて効果的な方法として、読み聞かせを使っての話し合いがあります。子どもたちが本と一緒に考え、本に書かれていることと自分とのつながりを見いだし、場合によっては本に書かれていることに反対することもできるようになるために、教師は本についての話し合いを使い、最終的には自分の考えたことを表現できるように助けていきます。
 いずれ子どもたちは、本について話し合う人がいなくても自分で思考を発展させていけるようになっていきます。6章でも登場したヴィゴツキーによると、他の子どもたちと話す練習ができることで、自ら考えていく土台をつくっていくことができるということです。「何を考えているの?」、「この本のどこを読んでそう思ったの? そのことを裏付けることはどこに書いてあったの?」といった質問を繰り返し行うと、いずれは自分に同じような質問をするようになっていくのです。
 学校教育において話すという活動は、大きな価値があると見なされることもありますし、まったく無視されることもあります。しかし、いずれにしても話すということが教えられることは皆無に近いのです。子どもたちが上手に話せるようになるためにはどのように教えればよいのかということが、教師の間で話題に上ることはあまりありません。しかしながら、読み書きと同じように話すことは知性の発達を促す原動力であり、この原動力は極めて大切なことなのです。

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 「読み聞かせの後の話し合い」が高学年以降では、ブック・クラブになっていくわけです。

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