赤、明るい瞳、鏡、ニュー・チャイルドのゲイブリエル、飛行機、雪、そり、川と『ギヴァー』の中で何らかの形で象徴的なものについて扱ってきましたが、もう思い当たりません。
★他に何か気づかれた方は、ぜひ教えてください。
逆に存在しないことで象徴しているものとしては、音楽、動物、日の光・雨・風・雪(要するに、天気の変化)、火、丘や山、感情(愛)、書物などがあります。
今回は「火」について。
何ページに書いてあったのか、見つからないのですが、確か「火は危ないから使わなくなった」というふうにありました。従って、家で食事を作ることもありませんし、暖炉も、ろうそくも存在しません。料理の匂いがたちこめることもないと思います(171ページ)。ジョナスのコミュニティでは、食事は給食センターのようなところで作られて、各家に配布されるのですが、いったいどのように作られているのでしょうね?
4月22日にも紹介した角野栄子さんの『魔女のひきだし』という魔女に関するエッセイ集を数日前に読みました。
その中に「魔女と火」という章があって、以下のように書かれていました(59ページ)。
「昔といってもほんのちょっと前、いつも身近に火、それも炎があった。枯れ枝や落ち葉を燃やす焚火、子どもの役目だったお風呂たき、ストーブの炎。私は生きもののように踊る炎を見るのが好きだった。目が真ん中によってしまうほどじっとじっと見つめていると、次第に心が一点に集中して不思議と思えるような空間にさまよい出ていく。すると色々なものが見えてくるのだった」
私たちの社会も、火を確実に排除してきています。
『魔女のひきだし』で、おもしろいと思ったところをメモしておきます。
返信削除第5章 魔女に近い人
「あんなに自分に忠実に、しかも自由な心をもった人を私は他に知らない。片手をすいっと空にのばし、自分にあったものだけ手に入れる。決してそれ以上を望んだりしない。それは魔女の持つ生き方ととても近いところにあるように思う。そして私はそんな彼女の仲間ではもうなくなっているのではないかと淋しく思う」(28ページ)
29ページ: 創作は「あっ」というショックから始まる
34~6ページ: 自然が魔女をつくった
上の28ページの引用は、本物の魔女のことではありません。
返信削除角野さんがブラジルで知り合った友だちのことで、その後日本に訪ねてきたり、またどこかへ行ってしまったと思っていたら、京都で突然バッタリ出会ったり、自分が相続するはずだった巨額の相続金にまったく興味を示さない(角野さんが「魔女にもっとも近い人」と思っている)女性のことです。