ゲイブリエルは、まだ赤ちゃんなので話はできませんし、性格的なものも表すことはできません。
夜泣きするというか、夜にグズルというのは性格と捉えられるでしょうか? それが主な理由で、解放されてしまうことになってしまいますから。
でも、そもそもは前年発育が遅くて解放されそうなゲイブリエルを気にかけて、特別に家に連れてきて夜世話をするようにしたのはジョナスの父の提案でした。
同じ「明るい瞳」を持っていたことで特別な絆を感じたのか、ジョナスが一緒に寝るようになり、そしてギヴァーからもらった記憶の一部をゲイブリエルに注ぎ始めました。注いだ記憶が好ましい記憶だったからか、ゲイブリエルは夜の間中よく眠るようになりました。
ゲイブリエルが象徴しているのは何か?
自由、希望といったところでしょうか。
ジョナスは、それを行動で示してくれましたが、ゲイブリエルはその存在で表している気がします。夜泣きさえ、自由の象徴のように思えるぐらいです。まだリリーをはじめ、その年齢以上の人間と違い、コミュニティによって管理されていない存在という意味で。
ジョナスは、最初は自分一人でコミュニティを脱出することでギヴァーと計画を立てていたのですが、急に翌朝ゲイブリエルが解放されることになってしまったので、急きょ予定を変更して、ゲイブリエルを連れての脱出になりました。
しかし、結果的にはそれがジョナスをより一層強くする結果になったとも言えます。自分だけではくじけてしまったかもしれないのに、「ゲイブリエルのため」ということで、がんばり続けることができたのかもしれません。
昨夜寝る前に、たまたま読んでいた藤本朝巳著の『絵本はいかに描かれるか』の中で、ゲイブリエルの名前の由来もわかってしまいました。出典は、『新約聖書』ルカによる福音書第1章31節に、処女マリヤのもとに現れ、彼女は神の子イエスを身ごもるということを告げ知らせるのが天使ゲイブリエルなのです。
『ギヴァー』の中でもゲイブリエルは、言葉はまったく発しませんでしたが、それに似た役割を担っていたのではないでしょうか。新しいジョナスが誕生すると!
ちなみに、『絵本はいかに描かれるか』には、私の好きな絵本作者の本がたくさん紹介されていました。ジョン・バーニンガム、デイヴィッド・ウィーズナー、モーリス・センダック、クリス・ヴァン・オールズバーグ、アンソニー・ブラウン、ウィリアム・スタイグ、レオ・レオニ、H.A.レイなどです。
彼らの本は、私がいずれは『ギヴァー』との関連で扱おうと考えていた本ばかりです。
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