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2010年6月16日水曜日

書物 その2

 作者のローリーさんにとっては、記憶=書物のようです。

 ローリーさんはインタビューの中で、「子どもたちは、本を開くたびに<よそ>の世界への扉を開けることになります。子どもたちに選択と自由を与えます」と言っています(A Reading Guide to The Giver, by Jeannette Sanderson, 2003, Scholarstic)。

 そして、その選択と自由を提供する書き手であるローリーさんは、読み手の人生や考え方に影響を与えているので、自分の責任は決して小さいものではない、と認識しています。


 そこで思い出したのは、司馬遼太郎さんが晩年の数年に書いていたことです。

 その中の一つに、「21世紀に生きる君たちへ」という教科書に掲載された文章がありました。★ローリーさんの思いととても近いものがあるような気がしますので、ぜひ読んでみてください。


★ 「21世紀に生きる君たちへ」は、大阪書籍の『小学国語』6年下(平成元年用)として掲載されました。ちなみに、5年下には、「洪庵のたいまつ」が載っていました。どちらもいい内容の文章です。これらは、いまは『十六の話』の中で読めます。

 その中に、「なによりも国語」というのも入っています。日本人が国語を学習している歴史は極めて浅いこと、そして“国語はいかに人間(特に日本人)にとって大事か”を、司馬さんが現場の先生たちに、祈るような気持ちで書いた文章です。

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