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2010年6月15日火曜日

スピーカー

 今回は、スピーカーという存在と、それをオフにできるという立場というか権限について。

 数年前、児童殺傷事件が各地で起こった時に、自治体の中には子どもたちの登校日にスピーカーで「間もなく、子どもたちの下校時間となります。地域の皆さまの見守りで、子どもを災害から守りましょう」と役所がスピーカーで流しはじめたところがありました。私が住んでいる東京都の府中市は、いまだに1時半にスピーカーから流れるそのアナウンスが続いています。(1時半に下校する子どもは、本当にいるのでしょうか? もしいるとしたら、その数は全児童の何割でしょうか? アナウンスによって動き出す保護者や地域住民はいったいどのくらいいるのでしょうか? もし、アナウンスが潜在的な犯罪者を対象にしたものであるなら、この時間に決まって流すことによる抑制効果というのはどのくらいあるのでしょうか? などなどについて考えたことはあるのでしょうか?)

 役所としては、「うちもちゃんと対処しています!」というジェスチャーを示す一貫としてやり始めたのでしょうが(他にも、各校に守衛を夕方配置していますから、相当の予算を当て続けています)、それが何のチェックもなく習慣化して続いています。「悪習化して」と言い切れると思います。まさに、「官製騒音公害」です。

 ジョナスのコミュニティでは、似たようなことが起こっているんだな~、ととてもわかりやすかったです。

 そして、「ジョナスはいつもそのアナウンスを無視していた...彼を含めてほとんどの市民は、<告知者>が告げる指令や注意事項の多くを無視していた」『53ページ』というところまで、そっくりだと思いました。(残念ながら、府中市のスピーカーは無視できるほど低音では流してくれません。だから「騒音公害」としか言いようがないわけです。こういうことをいい加減にやり続けることが、住民の中に役所への評価を下げる要因になっているとも知らずに。)

 ジョナスのコミュニティでは、各家にスピーカーがついているらしいのですが、それをオフにすることは許されません。しかし、それをオフにする権限をギヴァーが有していることをジョナスは見てしまったのです(110ページ)。各家にあるスピーカーには、オフにできるスイッチ自体がないのですから、オフにしたくても、できないわけです。

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