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2010年7月23日金曜日

ブッククラブ→学習サークル

 ブッククラブには、昨日書いたように、話し合いのスキルを伸ばす要素がありますが、他にもたくさん得るものがあります。

 まず、話し合いの前段として、よく読むようになります。話さないといけないという前提があるので、よく考えて読むことになります。それだけでも、通常の枠を越えて考えたり、気がついたりすることが増えるのですが、自分が読めなかったことを聞くことでも、考えの幅を広げてくれます。

 それが、「目から鱗」的なものであった場合には、アクションにつながることも少なくありません。

 単に読んだり、話し合ったり、考えたり以外の部分でのメリットもあります。

 基本的には4人前後のメンバーが主体的に動かしていくのがブッククラブです。何を読むのか、どのくらい読むのか、いつ話し合いを持つのか、話し合いの振り返り等、計画→実行→振り返り(PDC)のサイクルを常に練習することになります。

 単に話し合いをしましょう、というのでこれをやろうとしても難しい部分がありますが、本という焦点がありますから、PDCのサイクルをするにはいい練習になります。

 会の効果的な運営法を、知らず知らずのうちに身につけてしまうわけです。

 さらに、EQとライフスキルの練習の機会でもあります。

 教師の役割はまったくないかというと、子どもたちが個別にひたすら読んでいる時にするカンファランスやコーチングを、ブッククラブを対象に行います。ブッククラブがうまくいくようにミニ・レッスンも行いますし、たまには全体での共有もします。要するに、常にサポートし続けます。


 このブッククラブで思い出したのは、スウェーデンで行われている「学習サークル」です。これは、最低5人が集まってグループを作って、国内に11ある学習協会のいずれかに登録をすれば「学習サークル」として認められ、学習活動に関わる経費の80~90%を支援されるというシステムです。

 多くの人は、文化や趣味のサークルからスタートするそうですが、継続して関わる中で、3人に一人の割合で地域の活動や政治に関心をもち始める、という数字が出ているそうです。

 基本的に、学習サークルは講師を招いて話を聞くのではなく、参加者が自分たちの共通のテーマを設定して、それについて参加者が互いに教え/学び合います。サークルに参加する各自の知識や経験に基づくと同時に、それらを共有することが求められ、お互いに励まし合って学ぶ雰囲気が不可欠です。大人が(そして子どもも?)学習する理想的な形と言われており、その特徴は:

1) 参加者こそが主人公 ~ リーダーやたまに登場することもある専門的な知識をもった「講師」は補助的な役割を担っている(リーダーは、全国組織の学習協会が派遣してくれる人のこと。そのリーダーの存在は、サークル活動を効果的に展開するために不可欠であり、リーダーの能力に左右される部分がある。リーダーとなる人たちは、サークル・メンバーをサポートするための十分な研修を受けている。)

2) 参加者がイコールな関係で、民主的に(協力して)学ぶ雰囲気がある。

3) 参加者の興味・関心によってテーマが設定されているだけでなく、日常生活の中で活かせるものにすることを目的としている。

4) 継続性が重んじられている。

5) リーダー/学習協会のサポートがある。

6) 創造力や批判的思考力をかきたてる形でサークルが運営される。

7) これまでの学歴や経験に大きく左右されることはない/極めて少ない。

 このような学習サークルやブッククラブのようなものが当たり前に行われている国々と、官から与えられる社会教育やメディア教育を有難がって受け続ける国との間には、大きな違いが生まれてしまうとつくづくと思ってしまいます。

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