昨日紹介した『ドラマ・スキル』の原書のタイトルは、「Drama Skills for Life (生きていくのに必要なドラマのスキル(力))」です。
もちろんドラマをやっていれば、生きていくのに十分というわけではありませんが、ドラマの中には生きていくのに大切なスキルがたくさん含まれている、という意味です。それらを活用しない手はありません。
どのようなスキルが含まれているかというと、以下のようなものです。なお、この中には大掛かりな劇の前段階の部分である即興やマイムなどを通じて磨かれるスキルも含まれています。また、中には、スキルとは言い難い姿勢や態度も含めました。
・ 話し合う力
・ 書く力
・ 読む力
・ マイムや即興も含めて演じる力 - 人前で演じることのしんどさや快感も含めて
・ たくさんの知識や経験を踏まえて、判断する力 - 他教科の知識と統合する力
・ 知っていること(知らないことも?)を表現する力
・ 考える力 - それも応用、分析、統合(まとめ)、評価といった高いレベルの思考力(★)。また柔軟で、オリジナルで、入念な思考も
・ 劇作りに必要な様々なノウハウの獲得 - 役作りのための調査研究、計画。小道具や衣装を作ったり、困難を乗り越えられる力
・ 自分の感情も含めて、自分自身について知る力
・ 一緒につくっている仲間や観客などと人間関係を築く力
・ 想像力・創造力 - それを通じて得られる喜びも
・ 好奇心
・ リスクを犯せる態度、試してみる姿勢
・ 結果を予測する力
・ 振り返れる力
これだけの能力や姿勢・態度が身につくのですから、マイムや即興やドラマを使わない手はない、と皆さんも思われませんか?
★ 1956年に、シカゴ大学の教授だったベンジャミン・ブルームが、『教育のねらいの分類』という論文を発表しました。その中で、「思考という行為は、6段階にレベル分けできる」と提唱していました。暗記、理解が低いレベルの思考であるのに対し、応用、分析、統合、評価が高いレベルの思考とされています。どのレベルの思考をさせたいかということによって、教師の投げかける質問は自ずと違ってきます。
(以上、『ドラマ・スキル』の訳者まえがきより)
ジョナスのコミュニティにも、そして私たちの社会にも共に欠けているのが、ドラマ(演劇)教育です。
どうせ忘れてしまう知識の量を増やすことにエネルギーを注ぐのか、それとも生きていくのに必要なスキルを身につけるために時間とエネルギーを割くのか、私たちに選択は与えられています。
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