スウェーデンの例を紹介します。
オレブロという、人口が128,977人(2006年、国内第7位)の市についてです。
私はこの街を、1995年と2001年の2回訪ねています。
2回目は、ちょうど9月11日をはさんででした。
スウェーデン人たちのあの事件に対する見方が、日本人やましてや当事者のアメリカ人たちとはまったく違うのに驚きもしました。(このことも紹介したいのですが、テーマがずれてしまうので、またの機会に。)
オレブロ内部のことについて紹介する前に、スウェーデン全体のことについて。
1960年代から80年代にかけて、強固な福祉国家をつくりあげました。(それをモデルにしたいと思っている、日本人も少なくないと思います。)しかし、それが人々の自立性を奪う結果も招きました。
例えば、1940年には20万人もいた地方政治家が、75年には4万5千人に減っています。1800年代には2000以上あった自治体も、今は290に減っています。(95年の段階から10ぐらい増えています。)
保守的な考えを持っている人は、個人の自由な決定に任せる方法(つまり、民営化)を主張し、それに対して、社民党は市民の参加・協力をもとに行政が計画を立てる方法を主張しています。基本的に、男性や高齢者は前者を、女性と若者は後者を支持する傾向があるようです。
オレブロ市は、1983年に他の大きな都市にさきがけて市の権限委譲を15の区を設けることによって実施しました。「それは、いい決定だったが、十分ではなかった」とある市議はいいました。すべての権限が区レベルに降ろされなかったので、当初15あった区の一つが不満を訴え、91年に市から“独立”して固有の自治体となることを選択したのです。
目標は、できるだけ多くのオレブロ市民を意思決定のプロセスに参加してもらうようにすることだが、「現状では、<まだこの程度でよし>とする議員と、<まだまだ不十分>と思っている一部の市民とのギャップは大きい」と言わざるを得ないようです。
ティスリンゲ(Tysslinge)は、オレブロ市にある14の行政区のうちの一つです。
人口は、5300人で、ジョナスのコミュニティの1.5倍の規模です。
区の事務所に与えられている権限は、義務教育、保育園、高齢者福祉、青少年センター、公園などの余暇活動、文化施設としての図書館、貧困(失業中の)家庭への社会福祉、道路の維持管理、都市計画・環境です。
市・長・村(行政地域)の規模は、永遠の課題なのですが、少なくともスウェーデンの事例を国、そして一地方都市のレベルで見ると、約200年かけて数を減らす方向に振り子が触れた後、すでに数を増やす方(というよりは、市民が主体的な意思決定のプロセスに参加する方向)に振り子が戻りつつあることは確かのようです。
0 件のコメント:
コメントを投稿