知人のNさんが、感想を送ってくれました。
「記憶なしには、それらの知識には何の意味もないということだ。
かれらは私にこの重荷を負わせた」(148P)
ギヴァーとレシーバーの役割の意味が、この台詞で初めて
理解できたが、その「記憶」とは何なのか。
作者が少女時代を終戦後間もない日本で過ごしたことに
関係があるとすれば、新しい国づくりに立ち上がろうと
している日本という国にとっての「戦争」の記憶のことなのか、
あるいはもっと深遠な「人類の歴史」に言及したものか。
最後まで疑問として残った。
ジョナスとゲイブが生まれ育ったコミュニティを抜け出し
「よそ」を目指して逃走した終章。たどり着いた場面で
物語は終わるが、「よそ」とはどんな社会なのか、最も
知りたかったことが描かれずに終わってしまった。
おそらく読者の想像に任せようということだろうが、
作者の意図を知るためにも、何かヒントだけでも
与えてほしかった。私が読みきれなかっただけだろうか。
もう一度読み直してみたいと思う。
余談:
このコミュニティでの冷酷な「解放」の制度といい、
「厳しい掟」や「完備された“福祉”施策」といい、
今話題の鹿児島県の〇〇市長が目指す町は
このようなことなのかと考えてしまった。
Nさんから後日、メールをいただきました。
返信削除詳細な「関連本」の紹介ありがとうございます。
「ギヴァー」はなんとも不思議な、それでいて
深い意味のありそうな物語で、これまで経験した
ことのない読後感がありました。
少しずつ関連の本を読んでみます。