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2010年3月24日水曜日

コミュニティについて 4の1

前回は、保護者が中心に、地域の住民も含めたコミュニティが運営する学校について紹介しましたので、今回はその延長線上で、学校が計画された段階から「コミュニティ・スクール」にすることを目的にしてつくられた学校について紹介します。

ちなみに、このスウェーデンのオレブロ市の学校は、いい学校のつくり方について書いた『いい学校の選び方』(中公新書)の中で、「いい学校のイメージ」を描いている際に私の頭の中にあった2つの学校のうちの一つです。もう一つは学校は、デンマークのコペンハーゲンにあった中学校でした。

私は、このNAVET(車輪の軸という意味)という名前の学校を1996年と2001年の2回訪ねています。数字等は、1996年時点のものです。


オレブロ市の中心から車で10分ぐらいのところに新しい造成された住宅地のほぼ中心部に建てられた学校で、開校は1992年の秋。
生徒数405人、教員数35人。生徒の年齢は、6歳から15歳まで。日本の小・中一貫校にあたる。公立の学校だ。

先にも書いたように学校は計画段階から、地域の学び、文化、レクリエーションのセンター的存在して位置づけられていた。実際、たくさんの地域のグループや住民が夜はもちろん、日中も学校の施設を利用している。私が訪問していた時もたくさんの教員以外の大人(=保護者や地域の住民)を見かけた。
たとえば、グランドはサッカー・チームが、体育館はバスケットボールやバレーボールのチームが、図工室やクラフトのグループが、音楽室はバンドが、保健室は妊婦が、そして12時以降の食堂は地域の一般の人たちが、といった具合に。(学校が始まるのが早いこともあって、生徒たちは、12時前には全員食べ終わっている。なお、12時前と後では、テーブルや料理も若干違う。テーブルにはクロスがかけられたり、料理も品揃えがよくなった。私は、校長と12時以後の方で食べさせてもらった。普通のレストランとまったく遜色のない料理が食べられた。)学校の様々な活動にもボランティアとして関わっている。96年当時は、学校の理事会までは関わっていなかったように記憶しているが、2回目に訪ねた2001年の時はしっかりとその制度もできあがり、出迎えてくれた中に保護者や地域代表の理事たちもいた。

もちろん、これまでのこれまでの学校のやり方とは違うので、摩擦や衝突が起こることもある、という。教員たちから苦情が出ることもある。しかし、それ自体が学びのチャンスだし、出会いのチャンスでもある、と校長は語っていた。(ちょっと、日本の校長には考えられない発言!)問題点を出し合って、話し合うことが大切、と言う。親や地域にとっては、コミュニケーションがよくなるし、出会いの場ができたので歓迎されているそうだ。  (次回につづく)

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