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2019年1月11日金曜日

本を読ませない社会


「人類の歴史において、貴族の特権や神の戒律や軍隊規則をふりかざす独裁者、暴君、抑圧者たちには、アーリア人であれ、黒人や東洋人、アラブ人やスラブ人、あるはどんな肌の色の、どんなイデオロギーの者であれ、みな共通点がある。誰もが本を徹底して迫害するのだ。
 本はとても危険だ。ものを考えることを促すからだ。」

以上は、『アウシュヴィッツの図書係』からの一節(10ページ)です。

 『ギヴァー』やこのブログで紹介した『華氏451度』を含めたフィクションで描かれた世界も、現実の世界も、それを証明しています。
 『ギヴァー』のコミュニティーでは、ギヴァーのいる部屋以外には本はほとんどありませんでした。ジョナスは、それらを最初に見た時に驚いていました。
 いまの日本も、それに結構近い状況にある気がしないではありません。表面上の「自由」はあるのですが、学校教育でも、社会教育でも「選書能力」を磨くことを、殊の外、おろそかにしていますから、いい本=ものを考える本になかなか出合えない(意図的に、出会わせない)状況が埋め込まれているからです。
たとえめぐりあえたとしても、どこまで考えられるのかという部分が日本の国語教育(読解教育)では、極めて心もとないのです。

どういう打開策があるかというと・・・・講師やリーダーのいないブッククラブが一番いい気がしています。
 これなら確実に、ものを考えることを促すだけでなく、アクションも呼び起こします。
 仲間との読み合いの経験が増すと、一人読みでも同じことができるようになります。
 http://igasen.blog22.fc2.com/ の2018年の年末から2019年の年始にかけての『ようこそ、一人ひとりをいかす教室へ』の一人ブッククラブなど。

 でも、まずは2~5人ぐらいのブッククラブから楽しんでください。
 私自身は、常時、3~5つのブッククラブをしています。(全部メールないしオンライン上でのやり取りです。それなら、場所や時間を超越していますから、どこの人ともやり取りができます!)
 昨年の12月には、より実のある教育研修を提供することで課題を抱えている4つの県の指導主事(元も含む)の方々と、『ペアレント・プロジェクト』(ジェイムズ・ボパット著)を教員研修の視点から読み合いました。たくさんのヒントが得られました。
 一人では、まずこの本を読むところまで至りません。たとえ読んだとしても、読みの深まりや広がりを得るところまでは至りません。しかし、今回は5人で読み合ったことで、確実に教員研修の現実と可能性に引き寄せる形で読むことができ(教員研修の原則のようなリストを創り出すことができ)、さらには各人の持ち場でやれることがいろいろと見つかりました。
 このようなことを、最初から一人だけでやれる人を日本の国語教育を含めて学校教育では育てようとしているでしょうか?
 「いない」という結論に達してしまったので、それを確実に実現しているリーディング・ワークショップやライティング・ワークショップを紹介することにしたのでした!