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2011年2月15日火曜日

大人のブッククラブ②

新評論のニュースレター(=新刊案内)の前号に続き、『ギヴァー』と『リーディング・ワークショップ』の主題をむすぶ試みについて、RWの実践に取り組んでおられる小学校教員の広木敬子さんに語っていただきました。

 「大人ブッククラブ(BC)」で二度目に『ギヴァー』を読んだ時には、5人のリーディング・ワークショップ(RW)・チームのメンバーが集まりました。それぞれのテーマは次の通り。T―自分にとって当たり前になっていること、大切なことを見直す。N―自分と関連づけて読む。I―いつも主人公の立場で読んでしまうので、もう少し客観的に読む。A―子どもたちがしているように付箋をつけながら読む。H―主人公ジョナスはどうして“脱藩”できたのかを考えながら読む。

 ストップウォッチを用意し、一人約七分間で、自分のテーマとそれについての自分の読みを語っていきます。

 今回はこんな「読み」が発表されました。「結婚というシステムを今まで疑ったことはなかった」「死を遠ざけていたり、心から愛することができなかったりと、『ギヴァー』のコミュニティは人間に本来備わっている力や苦悩を否定する社会だ。人間本来の欲望や葛藤が認められないのは怖い。実際、私たちの周りにもこのようなことが生じているのではないか」「ジョナスは知性・正直さ・勇気をもち、人として大切な資質を身につけていたために、自分たちが井の中の蛙であることに気付けた。だからジョナスだけは脱出できたのではないか」「真実に気付いたなら『同一化』の中にはいられない。ギヴァーも後押ししてくれる。だから飛び出すのだ、この世界から」…。

 全員が語り終わると、質問や意見交換が続々となされ、90分間話がとぎれることはありませんでした。前回のBCで読んだ『獣の奏者』(上橋菜穂子著のファンタジー小説、講談社刊)との関連も話題になりました。『ギヴァー』におけるコミュニティのルールや性的動揺を抑えるための錠剤は、『獣の奏者』の「王獣規範」や「特滋水」に通じるものがある…。そして、何通りもの解釈が可能な『ギヴァー』のラストシーンに希望と絶望のいずれを感じるかについては意見が分かれ、それぞれ自分の根拠を熱く述べ合いました。

 二度の“『ギヴァー』@BC”を通して、今まで自分が当然視してきた授業観を見直さねばと切実に思いました。ジョナスのように勇気をふるい、子どもたちが輝くことのできる新しい授業のあり方を求めて、既存の授業観を打ち破って飛び出していかねば、と感じています。(ひろき・けいこ 横浜市立稲荷台小学校主幹教諭)

★写真キャプション:「子どもたちのBC」の模様

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