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2011年11月2日水曜日

『ギヴァー』と関連のある本 74

しばらくぶりに、おもしろい小説に見つけました。

 主なテーマは、自由。
 本のタイトルは、"The White Mountains"(『鋼鉄の巨人』学習研究社版、1978年。「トリポッド2 脱出」ハヤカワ文庫版、2004年)。書いた人は英国人作家のジョン・クリストファーで、出版されたのは、なんと1967年。

 『ギヴァー』では12歳の誕生日に、儀式で自分の職業が決まったのが、"The White Mountains"(直訳すると、「白い山脈」。実は、スイスのアルプスのこと)では、14歳の誕生日にキャップをかぶる戴帽式が行われる。
 それは、『ギヴァー』の12歳の儀式と似ていて子どもから大人になる儀式だ。好奇心、怒り、思いを奪い去られ、従順な大人になるための。
 それは、戦争のない平和な社会の一員になることも意味している。代償として、三本足 (The Tripods)の「鋼鉄の巨人」にそのキャップをかぶせられると精神・思考を操作され、飼いならされた状態になる。
 主人公のウィルと従兄弟のヘンリーは、それがいやなのでイギリスのウィンチェスターの近くの村から自由な人々が住む白い山脈まで自由を求めた旅に出る、というストーリー。
 西ヨーロッパの地図が頭に入っている人には、ドーバー海峡をフランス側に渡ってから、パリの街(廃墟)を通って、アルプスへ至る道中を連想できるのも、一つの楽しみ。まるで、『ギヴァー』のelsewhere(どこか違うところ)を求めて歩いているかのように。

 「キャップをかぶらせることで、好奇心、怒り、思いを奪い去り、従順な大人にしてしまう三本足の異星人」たちは、いったい何にたとえられているのでしょうか??
 それに該当する『ギヴァー』のコミュニティの仕組みとは何でしょうか?
   そして、私たちの社会の仕組みは??

 なお、"The White Mountains"には、続きがある。"The City of Gold and Lead"(学習研究社版『銀河系の征服者』、ハヤカワ文庫版「トリポッド3潜入」と"The Pool of Fire"(学習研究社版『もえる黄金都市』、ハヤカワ文庫版「トリポッド4凱歌」だ。

 さらに、ジョン・クリストファーは、これらの3部作を書いた20年後の1988年に"When the Tripods Came"(ハヤカワ文庫版「トリポッド1襲来」)を書いている。ウィルが旅を始める100年前の出来事として。だから、ハヤカワ文庫の順番どおりに読むか、著者が書いた順番どおりに読むかは、読者に選択がある。("The White Mountains"だけを読むだけでも十分に価値があると、私は思っています。)

 また、1984年には、イギリスBBCによってテレビドラマ化もされており、画像で見ることさえできます。(URLを書いてしまうとまずいかもしれないので、「the tripod, BBC, TV series, online free」などの単語を入力して検索してください。)

 ちなみに、私はハヤカワ文庫に描かれている登場人物たちのイラストが嫌いです。(本全体を台無しにしていると思っているぐらいです。訳自体は、学習研究社のも踏まえた形なので、親切だとは思いましたが。)

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