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2016年7月23日土曜日

『共感の時代へ』という本


著者のフランス・ドゥ・ヴァールは、オランダ生まれの心理学者、動物行動学者、動物学者です。霊長類(主に、チンパンジー)行動の研究では、世界の第一人者として知られています。

この本の最初の数ページに以下のようなこと(彼の専門外のこと)が書かれていたので紹介したくなってしまいました。

 この悪夢(2008年の世界的な金融危機)を招いたのは、四半世紀前にアメリカのレーガン大統領とイギリスのサッチャー首相が導入した、いわゆる「トリクルダウン」経済で、市場は見事に自己統制するという心強い言葉が当時まことしやかにささやかれた。もうそんな甘言を信じるものはいない。 ~ なんと、日本の有権者の半分以上は、同じことをいい続けている安倍さんの甘言を信じ続けているというこっけいな状態にあります。

 どうやらアメリカの政治は、協力と社会的責任を重んじる新時代を迎える態勢に入ったようだ・・・生きる価値のある社会を築くことを、社会から物質的豊かさを引き出すことよりも大切にする。 ~ ここで、著者は空振りをしています。結果的にアメリカはそうはならず、今回の大統領選挙では、その振り子が真逆に揺れている感さえします。それは、日本も同じです。東日本大震災という天災の危機を活かすことができず、「生きる価値のある社会」とは何かを忘れたままで、あっという間に、物質的豊かさの追求に逆戻りです。

 ハリケーン・カトリーナは、アメリカという国が第三世界的な要素を色濃く持ち続けていることを世界にさらけ出してしまった大惨事でしたが、それと比較して、著者の母国の「国土の大半が最大で6メートル余り海面よりも低いオランダでは、堤防は神聖そのものなので、政治家たちはそれについていっさい口出しできない。治水は、技術者と、建国にすら先立って設立されていた地元の委員会の手に委ねられている。考えてみると、これまた政治に対する不信感を反映している。政治と言っても、大きな政府ではなく、目先のことしか頭にない大半の政治家のことなのだが」(12ページ) ~ ここは、東日本大震災を含めて、日本の地震や津波対策にそのまま呼応しています。日本の場合は、技術者や地元の委員会ではなくて、中央の政治家や電力会社や原発村の住人たちに任せっきりの状態が続いています。

以上は、本のタイトルとは若干関係ない気がします。(いや、あるのかもしれません!)
関係ある部分については、
をご覧ください。

彼が実際に話しているところは、

で見られます。

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