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2016年7月5日火曜日

『安倍政権にひれ伏す日本のメディア』マーティン・ファクラー著を読んで


このタイトルにあるような内容について考えていたタイミングで出てきた本なので、早速読んでみました。書いた人は、日本人ではなく、日本での取材・執筆経験の長い外国人ジャーナリストです。日本人ジャーナリストには(しかも、組織に属していては)書けない内容です。もし、日本人でこのテーマについて書いている人がいたら、ぜひ教えてください。

 1~2年前に、朝日新聞とテレビ朝日がバッシングされたこと(それも、政権によって)が、かなり詳しく書いてあります。確かに、朝日側の非は否定できなくても、確実に政権側の意図があった、というのが著者に言い分です。それに対して、他の報道機関がこれをチャンスに、朝日たたきに乗っかるところが極めて日本らしいとも。(アメリカであれば、会社へのアイデンティティよりも、ジャーナリストとしてのアイデンティティの方がはるかに大きいので、そんなことはあり得ない、と。著者自身、AP通信社、ウォール・ストリート・ジャーナル社、そしてニューヨークタイムズ社の日本支局に属していた!)

 以下、数字は本のページ数です。

43 日本外国特派員協会での記者会見から逃げる自民党(というか、安倍政権) ~ そこで記者会見をしても「メリットはない」と割り切っているからです。それに対して、公式の記者会見(そこからは外国人やフリーのジャーナリストは除外されています。「質問するときは、所属と氏名を言ってください」という司会者の言葉にそれが表れているわけです)では、外国人やフリーのジャーナリストたちは、価値のある情報は何も得られるはずがないと思っています。そして、それをありがたく報道する機関に成り下がっているのが、日本のメディアだという主張です。それを、ジャーナリズムと呼ぶことはできない。政府の単なる広報機関でしかないわけですから。

88 慰安婦報道に関して、安倍首相は国会答弁で「朝日新聞の慰安婦問題に関する誤報により、多くの人が苦しみ、そして悲しみ、そしてまた怒りを覚えたわけであります」と言いました。「個別の報道機関の記事については本来コメントをするべきではない」と言いながら、特定のメディアを名指して、「朝日新聞が国際社会に悪影響を及ぼした」と一方的な批判をし、「苦しみ」「悲しみ」「怒り」という言葉を用いて、人々のエモーションな反応を引き起こそうとしました。
 と著者は書いています。国際社会では朝日新聞を誰も読まれていないのに、です。

107、116~120 ネット右翼によるやりたい放題を放置する政権
134~136 ネット右翼の横暴に青信号を出している安倍政権

180 「世界報道自由度ランキング」で61位に転落した日本
 これは、ジャーナリストによる国際NPO「国境なき記者団」が毎年発表しているもの。2009年は、第17位。2010年は第11位と、上位にランクインしていた。それが、原発事故以降、低下傾向を見せはじめ、安倍政権になってからは悪化の一途をたどっている。2014年は第59位。2015年は第61位。
 民主主義のバロメーターの一つといえる、報道の自由がある国とは思われていない実態がこの国にはあるということです。

232 安倍政権のメディア対策とは関係ありませんが、「日本の世論調査は誘導尋問のような“世論操作”」だということです。アンケート調査は、出してもらいたい答えありきで、質問項目を考えられるということです。その結果、あたかも客観的な声を聞いているような錯覚を読む人や見る人に起こさせることができるわけです。
 これも、民主主義の自由度を奪う行為です。

 『ギヴァー』のコミュニティでも、似たようなことは行われているでしょうか?


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