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2011年7月6日水曜日

こだわりの生き方

 ジョージア・オキーフという人についての本や画集を何冊か読みました。
 作品はスゴイのです(ヨーロッパの影響をまったく受けない作品と言われました)が、人となりを理解するという意味では『ジョージア・オキーフ ~ 崇高なるアメリカ精神の肖像』ローリー・ライル著が、一番よかったです。あれらの作品は、こういう人だからつくりえたのか、と納得です。

 オキーフは、1887年に生まれ、98歳で1986年に亡くなりました。これだけでもスゴイことです。絵を描くために、食べるものにこだわり、からだも大切にし続けました。何よりも、歩くのが大好きだったそうです。

 以下は、本からの抜書きです。(数字は、ページ数)


51 時間の使い方にはとても気を配っていた。
   絵を描くことが明らかに他のすべてのことに優先した。
   「彼女の色はいつも一番鮮明で、パレットは一番きれい、そして筆は最高のものでした ~ でもそのために彼女は、他のことをほとんど何もしていなかったのです」

60 自分の方法に気づいた瞬間 ~ これらの絵はあの教授、あちらの絵はもうひとり別の教授を喜ばせるために描いたものだ。それに残りの絵だって、何人かの有名な画家の影響を受けている、と。ジョージアは椅子に座り、しっかりと目を見開き、考え込んだ。すると突然、彼女の中で一つの考えが閃いたのである。彼女の頭の中には、それまで人から教わったどんなものとも違う、彼女自身の想像力と直結したいくつもの抽象的なフォルムが存在していた。
   1915年に、自分自身のために絵を描こうと決心した

75 美術教師としてのオキーフ ~ 毎日の辛い生活の中でいかに芸術が重要であるかということを、生徒たちに理解してほしかった。後に彼女が述べているように、絵を描く技術ではなく、ものの見方を教えることに重点を置いたのである。「私は私の生徒たちに、芸術とは本当は誰もが活用せねばならぬものである、と教えました」と彼女は語っている。ジャケットのラインや衿の形にも、封筒の宛名の書き方や髪の梳かし方にも、また家の窓をどこに付けるかということにも芸術は存在する。何が美的に優れているのか、もっと端的に言えば、何が一番よく見えるかということが、人生におけるあらゆる決断の基礎になるのである。

79 オキーフにとって師であり、人生のパートナー/夫だったアルフレッド・スティーグリッツに推薦されて、ゲーテの『ファウスト』をはじめ、ニーチェ、イプセン、フェミニストたちの著作、美術評論、そして何冊もの小説を読み漁った。

101 オキーフとスティーグリッツの共通点: 虚偽を心底軽蔑していた、並外れた正直さと絶対的純粋さ、自分たちの経験から得た真実をクリエイティブに表現したいという強い気持ち、すべてにおける最高のものを求めるのに熱心、頑固さ

151 オキーフの「直截」的な絵

158 絵を描くために雑念のない澄み切ったマインドを保つために、オキーフは自分の周りも可能な限りシンプルにしておく必要性を感じた。彼女のクリエイティブなプロセスは、まず、自分の心を強烈に揺さぶる何物かの存在を常に突き止めようとしていること、そしてそれを探求し、キャンヴァスに表現することによって、より完全にその物の正体を把握することから成り立っていた。

228 病(神経超過敏症、鬱病)を抱えたオキーフ ~ 宮沢賢治にしても、並をはるかに越えた創造活動をする人と、この病は切り離せないのか??

270 旅が好きだったオキーフ。常に新しい刺激を求め続けたオキーフ。 「それがそのひと自身の世界の一部 ~ 自分が真にコミュニケーションの出来る世界の一部 ~ にならなければならないのです。やがてそれからゆっくりと、それを絵にすることが出来るようになるのです・・・」

289 「自分が本当に欲しくて欲しくてたまらない物であれば、それは絶対に手に入れることが出来るものだ」と信じたオキーフ

308~311 オキーフの描き方

326 彼女は他の芸術家の作品を見ることを好まなかった。というのは他の画家たちの視点を自然に受け止めて楽しむというより、むしろ彼らの技術のひとつひとつを厳しき日違反的な目で分析してしまうからである。マドリッドのプラド美術館ではしかし、エル・グレコやヴェラスケス、そして特にゴヤの作品を見ることに大きな喜びを感じ、彼女自身驚いてしまった...西洋の画家の中で彼女はゴヤが一番気に入った。

378 過去を振り返ってオキーフは、彼女が人生の中でやりたかったことはみなすべてやり、それもすべてみな大変うまくいったと話すのが好きだ。しかしオキーフの芸術家としての勝利は、明らかに持って生まれた豊かな芸術的才能の他に、物事の核心を見透かして宇宙のある真理を把握することできる鋭い目と、何者もけして屈することのない強靭な意思の結果である。「私はいつでも自分が何を望んでいるかを知っていました。多くの人はそれがわからないのです」と彼女は、一度はっきりと述べている。

訳者にとって、オキーフが教えてくれたことは ~ 「大切なこと」とは、本当の自分を発見し、愛し、生涯をとおして勇気を持って、可能な限り成長させつづけるということ。(382ページ)

 2~3年前に、ジャネット・ウィンターが描いた『私、ジョージア』という絵本を読んでいましたが、残念ながらここまでのこだわりは伝わってきませんでした。ちなみに、ウィンターさんは、こだわりの生き方をした人を描くのが好きな絵本作家のようです。他にも何人か描いています。

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