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2012年6月4日月曜日

『ギヴァー』と関連のある本 82


しばらくぶりの『ギヴァー』と関連のある本です。
『ギヴァー』の協力者のHさんから以下メールをいただきました。

「茶色い朝」 Franck Pavloff著 、原作はフランス語 Matin Brun、大月書店から邦訳:2003年

1998年に、ファシズムについての学会向けに書かれた短編の寓話ですが、その後、口づてに広がり、今ではフランスでベストセラーになっています。 ルペン率いる移民排斥の極右政党国民戦線がフランスで支持を広げていることへの危機感が背景にあります。 ストーリーはジョージオーウェル風の未来国家像についてです。 茶色以外の猫をペットとして飼っている場合、餌に毒を混ぜて安楽死させることが政府の方針になります。友人のチャーリーと「私」は多少違和感があるものの、さして重大なこととは思わず、無関心なまま日々の生活に追われます。 次に茶色以外の犬が同様に標的にされます。 そしてじわじわと 次は「茶色系」新聞以外は発禁に。気が付いたら、以前茶色以外のペットの飼い主だった「私」にも逮捕の危険が迫ってきています。  これを読んで、「ギヴァー」を思い出した次第です。 「世間」の流れに身をまかして、事なかれ主義で保身に走り、思考停止していると、じわじわと 危機が音をたてて近づいてくるかもしれません。 「茶色い朝」は 風刺という手段の鋭いパンチです。 こういう短編の寓話(わずか11ページ)がヨーロッパで現在競って読まれている背景には、ホロコーストを止められなかった歴史への強い反省が流れているからだと思います。 批判精神を枯れさせない、ヨーロッパ市民の健全さを感じます。 果たして日本はどうでしょうか?

  内容については、まったくHさんが書いてくれているとおりなのですが、私がこの本を読んで思ったことは、本国フランスでは1ユーロ(今は約百円)だったのが、日本では1050円で売られたこと。そして、本文よりも長いメッセージ(解説)がついていることでした。

1 件のコメント:

  1. そして、政府や地方自治体のことを考えると、すでに茶色になっているのではないかと感じることは少なくありません。それは、ビジネスの世界も同じのようです(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120419-00000025-zdn_mkt-ind)。社会も、政治も、経済も、全部同じ人たちが関係しているのですから、どれも同じ色になってしまうのは当然といえば、当然です。
     原発再開に向けて着々と進んでいる中で、小原一真さんの写真集は(http://www.swissinfo.ch/jpn/detail/content.html?cid=32301402)、茶色になることへの警告を灯している活動という気がします。原発内部で働く作業員のポートレイトとドキュメンタリーで構成されています。(これが、日本の書店では購入できないというのも、いまの日本を表しているような気もします。)
     ここまで書いてきて色の絵本を紹介したこと(http://thegiverisreborn.blogspot.jp/2012/04/blog-post_28.html)を思い出してしまいました。
     茶色や灰色は悪いイメージがあります。
     『ギヴァー』の世界も色がない世界でした。
     それに対して、赤、青、黄色などは元気な色!?

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