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2013年1月22日火曜日

『ギヴァー』と関連のある本 86


 昨日の林の中での戦争ごっこで思い出しました。
 
 前に、星新一の作品で『ギヴァー』と関連のある本として紹介したことがありますが、今日紹介するのは、1977年の作品の「白い服の男」です。以下、作品からの抜粋です。


 「白い服の男」の役割は、戦争の芽を摘むこと。あらゆるところに盗聴器がおかれ、密告網が張り巡らされ、その芽を見つけ出すことに躍起になっている。「セ」と言っただけでも、要注意人物と見て、監視する。

 すべての本の中の戦争という文字も抹消している。文字だけなら簡単だが、戦争という概念を想起させる部分も消し去らなければならないので、大変である。要するに、歴史的事実を未来になってから、勝手に変更する行為をしているわけである。「これは感心したことではないかもしれない。しかし、それと平和とを並べて、どちらをとるかといえば、わかりきったことだ。平和にきまっている」

 原子力やロケットや潜水艦が発明された理由も、すべて書き換えられていく。

 これをすべての本に施すには長い年月を必要とするだろう。すべてがすんだ暁には、私たち人類は過去から未来にわたる、完全な平和を所有できるのだ。 ~ ホント??

 まだ科学書はマシな方で、歴史書はむずかしい。新しい歴史を組み立ててゆかねばならなくなるからだ。
 最後の残してあるのは、小説のたぐい。歴史の部分が完成したら、それにあわせて処理をする。
 いま密告がありました。
 「郊外の森のなかで、小さな子供たちがセごっこをやって遊んでいるそうです。いとも楽しげに、叫び声をあげ、かけまわり・・・」
 平和の敵は消毒せよ。
 戦争とは、伝染病の最近やビールスのようなものだ。完全には根絶できないかもしれない。だからこそ、早期に発見し、ひろがる寸前に消毒する。これを根気よくつづけなければならない。

 私は自分の制服を見る。まっ白。純白な平和の象徴だ。そして戦争という人類の病毒を押さえる医師でもあるのだ。この白衣はそれをも意味している。また、この腕章のマーク。青いなかに飛んでいる、やはりまっ白なハトの姿。


 以上です。

 私はまだ読んでいませんが、他にも1958年の「おーい でてこーい」や1970年の「声の網」などは地球の/日本の未来を書き綴ったものだそうです。

 ちなみに、私が星新一の作品で読んでいるのは、『人民は弱し官吏は強し』『明治・父・アメリカ』『明治の人物誌』のノンフィクション物が中心です。

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