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2013年7月10日水曜日

『わが友マキアヴェッリ』



我ながら、記憶力の悪さに関心です。
しかしながら、これのいいところは、本や映画などを何度でも新鮮に読める/見られること、です。
『わが友マキアヴェッリ』を読んだという記憶はあるのですが、中身はまったく覚えていませんでした。従って、とても新鮮に読めました。(ということは、前に読んだのは「読んだ」とは言えないのでしょうか? それなりに、「いい内容の本だ!」と感心したことも覚えているのですが・・・それとも、20年前に読んだ本は忘れて当たり前でしょうか?)

ちなみに、前は1冊で読んだのですが、今回は新書版で3冊の分冊でした。
 タイトルがいいです。
第1巻 なにを見たか ~ 生まれてから29歳まで(そうなんです。就職せずにひたすら、見る目を養っていたようです!!)
第2巻 何をしたか ~ フィレンツェの都市国家の官僚をしていた時代
 第3巻 何を考えたか ~ 官僚を辞めさせられ、本を書いた時代。でも官僚でもないのに、便利なのでいろいろな仕事をやらされた時代でもあったようです。というか、本人はやりたくてやりたくて仕方がなかったのです。

マキャベリズム/マキャベリストは、『君主論』を書いたマキアヴェッリに由来する言葉で、「目的のためには手段を選ばない、目的は手段を正当化するといった」意味で使われ、それを書いた人も「冷徹非情」というイメージがありますが、塩野さんの本(あるいは、サマセット・モームの『昔も今も』)を読むと、まじめである一方、とてもおもしろい人だったようです。ほとんどマンガ!!です。
ちなみに、当時有名だったのは『君主論』や『政略論』や『戦術論』で天下国家を論じる人ではなく(これらは、ほとんど売れなかった!)、『マンドラーゴラ』に代表される喜劇作家としてでした。

 生まれたのは1469年5月3日(コンスタティノープル陥落、1453年)で、死んだのは1527年6月22日。

 以下は、3冊の本からのメモです。(数字は、ページ数)


① なにを見たか

78 ロレンツォ・メディチと20年の時差 ~ フィレンツェの独立=イタリアの独立に生きた人と2つがズレタ時代に生きたマキアヴェッリ。しかし、その輝かしい時代を見て育った。

80 フィレンツェの人口
              1280年           80000
              1300年  105000
              1338年           90000
              1340年           75000
              1348年  ペスト大流行
              1382年   59747
    その後、7万人ほどになったが、
              1552年  またもこれ以下

79 フィレンツェ人の気質が発揮されるのは、13世紀から15世紀にまたがる200年。それは、絶え間ない内ゲバの歴史。

85 フィレンツェ人の特徴: 批判精神が旺盛、団結と協調の精神の欠ける、自由が大好き、しかし自由を守るには実に懸命で地味な努力が必要であることを理解し実行するのは好きではなかった。
87 学問芸術のパトロン 「われわれは50年ももたないだろうが、モノは残る」
101 フィレンツェ人は、美と華麗を好む。

93 「運命から、また神から、最大限に愛された男であった」ロレンツォ・メディチ
   ロレンツォが前の3代から受け継いだもの
     経済力
     市民の好感情
     他国のリーダーたちからの敬意にもとづいた信頼感
     最高の教育
     帝王学

196~208 フィレンツェの終焉 1494~8年
219 カトリック=ヨーロッパの崩壊


② 何をしたか

15 マキアヴェッリの就職は、1498年 ロレンツォの死後、フィレンツェの終焉以後。さらには、サヴォナローラの6年間の混迷を経験した後

29 マキアヴェッリの上司: 自分の考えや感想を率直に述べるよりも、なにごとに対しても解説する傾向が強く、これは、自分の眼で見、自分の頭で考えることを重視する人々からは、早晩そっぽを向かれる危険がある。しかし、なにごとも一見明快に解説されるのを喜ぶ人のほうが多いのが人間世界の常。

48 傭兵たちによる戦争ごっこが約200年続いた。

90 政治上の無能は、すべての弊害 ~ 今の日本で起こっていること。世界で?

169 著名と非著名の事実の両方が歴史には必要
    後者を落としがちな歴史学者たち ~ 従って、おもしろみが出ない

173 経済 → 政治 → 文化   日本は??? 常に政治なし!!

175~7 抜本的な対策を講じずに、形だけが200年続く 日本みたい。ギヴァーも

265 時代の変化に対応して自分の考えや判断も変える必要がある。しかし、それをやらないと、運に左右されることになる(時代の変化に翻弄されることになる)。 1494年以降の、フィレンツェ! 日本も?


③ 何を考えたか

15 政治と倫理の切り離しが、ルネサンス

16 リーダーの3大要素  ~ 民主党の例示 
     力量、才能、器量 ~ 下の2つがないことで、これもないことを証明してしまった
     運(幸運) ~ 少なくとも、民主党は最悪のタイミングで政権をとった
     時代の要求に合致すること ~ こちらは政権をとったときはあったかに見えたが、結果的に「何もしない/何もできない」によって、マッチしていないことを証明してしまった。

46 創造には、刺激が必要 ~ 自分だけで生み出すのは大変!!

53 外科手術が必要な時に、内科でごまかし続けたフィレンツェおよびヴェネツィアをのぞくイタリア

57 人間性に対しては最高のペシミストだったのに、自分ことはオプティミストだった

  真のルネサンス・スピリットは、レオナルド・ダ・ヴィンチに体現されていると、私も思っている。そして、ニコロ・マキアヴェッリは、政治思想の世界でのレオナルドであった、と思うのだ。

118 ルネサンスが幕を下ろした理由 ~ 宗教 1532年  スペインの力だったのでは? というか、単純に無能な法王の存在!!
148 史観がなければ、歴史にならない。単なる記録。

155 質から量の時代に   都市国家から帝国(大国)の時代に

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