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2010年2月13日土曜日

『ギヴァー』と関連のある本 12

この本は、『ギヴァー』を意識して読んだ本ではありません。

いま『ギヴァー』と同じぐらいに大事なものとして思って普及しているライティング・ワークショップやリーディング・ワークショップ(作家や優れた読書家になる体験を通して書くことや読むことを学ぶ教え方)との関連でした。
ワークショップの原型は、芸術や技術の授業からそもそも来ているのです。
そこで、日本の中学校での秀でた美術の授業実践を紹介しているというこの本を手にとった次第でした。本のタイトルは、『りんごは赤じゃない』です。本を書いた人と、授業を実践している人は別人です。

以下、読みながらとったメモを掲載します。(数字は、本のページです)


第3章 見て、感じて、考えさせる
38 「草を描いてごらんなさい」
   「月を描いて」「太陽は?」「星は?」
39 みんな同じようなのを描く。
   「ほんとに草はそんな形をしている? 月や太陽や星も?」
   「靴を履いて! 外に出て、草が本当にそんな形をしているか見てごらん! 誰が一番かな?
   違いに愕然!!
   太田(恵美子)が一番最初に生徒に促すのは、先入観が以下に間違ったものであるかを自覚させること。
   絵を描き始めた幼児にとっては、草や太陽、星や月などは記号として描くことが重要な課題となる時期がある。しかし、8歳、10歳、中学生になっても、記号であり続けるのは問題!
40 「細かいところまでよく観察してね」「種類が違うと思う草を、十種類見つけてごらん」「草の中に埋もれて、においをかいだり、さわってみてりして描いてごらん」「草の気持ちになってみて」「草とお話してごらん! お話したことを描いてみてね!」
41 「どの草も、一本一本違っているよね」「草が一本一本すべて違うように、人間も一人ひとり違っている。みんなだってそうだよね。違うことって、なんてすばらしいんだろうね」
42 雑草を描くことが目的なのではない。大切なのは、自分が本当にそう感じたのか、そう思ったのかを自問し、心の眼でものを見ることだ。
  「あなたたちの心はこんなに不自由だった、感じることもできない、考えることもできない。それを当たり前だと思っていた、ということに気づかせていくのよ」

りんごは赤じゃない
 雑草を描いて「目からうろこ」体験をした1年生たちは、次に野菜や果物のレプリカを作る。発砲スチロールを削り、そこに粘土を貼って、本物そっくりな作品を目指す。
 最初の時間に、生徒たちは自分がモデルにする野菜を家から持ってくる。
 「りんごは何色?」
 「赤!」
 「レモンは?」「きゅうりは?」
 「ほんと?」
 からだに染み付いた「りんごは赤」という先入観。この前の草のスケッチをして、実からうろこが落ちる体験を下ばかりなのだが、生徒たちはまだ固定観念から完全に自由になっていない。
 りんごの色が赤ではなく、きいろやみどりをはじめとして多彩な色が混ざり合っていることは、「りんごは赤」という先入観を取り払って、はじめて見えてくるものだ。
44 ブロッコリーの房の先に細かい粒(花)。
45 野菜やくだもののレプリカをつくる作業では、まずは「かたち」、次に「色」を観察する。
 「イメージの世界では、自分の悲しみや喜びを表現する色彩は何? ということが重要になってくる。そのためには大自然の色彩を知ることが必要になってくるわけ。それを知らないと、自分のイメージの世界がものすごく甘いものになってしまうのよ」
 よく観察することの大切さを教える。自然のすごさも。


 中学1年では週に2時間、2年と3年はわずか週に1時間という限られた時間を「ワークショップ」で行っています。
 1年生で、「ネイチャー」や「ワールド」を扱い、2年生では「ヒューマン・ドリーム・ビジョン」~ 自分の夢、生き方、信念を生徒自身が構築するために、歴史上の人物を調べて描く学習をし、
 そして3年生では、大人の世界に触れさせる「パーソナル・ドリーム・ビジョン」の学習を行い、プロが持っている意志と信念の大切さに触れさせる流れはとてもいいです。
 やる気さえあれば、できてしまう好例だと思います。


 「色」に関しても、大きな刺激を受けました。

 そういえば、「空の色は青?」や「月の色は黄色?」のようなタイトルの本もあったような記憶がかすかにあるのですが...

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