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2014年2月6日木曜日

マスコミは、公正中立か?



 ミディア・リテラシーは、80年代の終わりごろから関心をもっていました。
 カナダあたりが最先端だったのですが、日本でもようやく紹介され始めています。

 『世界を信じるためのメソッド』森達也著を読みました。本の内容は、サブタイトルの方がよく表しています。「ぼくらの時代のメディア・リテラシー」。森さんはテレビを中心としたメディア界で仕事をしていた人。(書いていることは、何も新しいことはないのですが、当事者が日本の題材で書き始めることに価値があると思って紹介します。)

「(僕は番組制作会社を解除され、しかたなく、友人に借りたデジタルカメラを自分で回して撮ることにした。)そのとき気がついた。撮影という行為は、ちっとも客観的じゃないし、ましてや公正でも中立でもないってことを。」(97ページ)

「僕の周りには世界がある。あなたの周りにもある。360度すべてにある。でもカメラはまず、この無限な世界を、四角いフレームの枠の中に限定する。その瞬間、区切られたフレームの外の世界は、存在しないことになってしまう。

 何かを撮るという行為は、何かを隠す行為と同じことなのだ。

 ファインダーに片目を当ててカメラを回しながら、僕は自分が世界を選び直していることに気がついた。取捨選択している。僕の目の前には、三人のオウムの信者がいる。ひとりはパソコンの画面を見つけている。ひとりはご飯にゴマをかけただけの質素な夕食を食べている。そしてもうひとりは、裁断に額づいて祈りを捧げている。

 三人を同時には撮れない。だから誰かを選ばなければならない。選ぶのは僕だ。そして誰かを撮るかで、見る人の印象は全然違う。」(97~98ページ)

101 テレビ・ニュースを観る人のほとんどは、ニュースは客観的に作られているものと思い込んでいる。事実だと思い込んでいる。確かに画面に映るのは事実の断片だけど、その集積は事実とは違う。
・・・多くの人は、この仕組みを知らない。ニュースの映像に、撮る人や編集する人の感情が反映されていることや、視聴率を上げるために刺激的に見える工夫をしていることなど、想像すらしていない。

102~112 中立も、公平もあり得ない。すべては相対的なもの。

118 世界をアレンジする方法が、メディア
121 メディアは最初から嘘だ
128 だからあなたに覚えてほしい。事実は限りない多面体であること。メディアが提供する断面は、あくまでもそのひとつでしかないということ。もしも自分が現場に行ったなら、全然違う世界が現れる可能性はとても高いということ。 → 145 世界は複雑で多面的だ
131 間違いは強引につくられる
136 市場原理に基づいて、読者や視聴者が望む記事や番組を流す
    テレビの場合、この市場原理から解き放たれることを約束されたのが、公共放送であるNHKだ。
137 でも今のNHKは、確かに視聴率は民法ほどには気にしていないけれど、その代わり、政府の意向をとても気にするようになってしまった。これでは困る。独裁国家の国営放送になってしまう。時には政府をちゃんと批判してほしいのだけど、今のNHKは、なかなかそれができない組織になってしまった。

この本が出されたのは2006年12月でしたが、この最後の件に関連した報道は最近、後を断ちません。ほとんど末期的症状です。



http://mainichi.jp/opinion/news/20140206k0000m070121000c.html


『ギヴァー』のコミュニティで、これに類する問題は起こっているのかな??



4 件のコメント:

  1. <米大使館>百田氏発言「大虐殺なかった」に自制促す
    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140208-00000014-mai-soci

    在日米大使館の報道担当官は7日、毎日新聞の取材に、NHK経営委員の百田尚樹氏が東京都知事選の街頭演説で「南京大虐殺はなかった」などと語ったことに ついて「責任ある立場の人物は、地域の緊張をさらに悪化させるような発言を控えるよう望む」とコメントし、自制を促した。

     百田氏が同じ演説で、原爆投下と東京大空襲を「大虐殺」と位置づけ、東京裁判を「これをごまかすための裁判だった」と主張したことについては「ばかげた意見」と批判した。

    先の安倍さんの靖国参拝に関しての「失望している」発言に続いての自制を促す発言です。

    他国のすることだから関係ないでしょう、といえばそれまでですが・・・アメリカとしては、「日本は大切な同盟国であり、友好国である。しかしながら、日本の指導者が近隣諸国との緊張を悪化させるような行動を取る」ことは黙っていられないというのでしょう。国の代表的な立場の安倍さんに対してはもちろん、その安倍さんが指名し、安倍さん以上に国粋的な石原さんが支持する田母神さんの支援の街頭演説で、対中、対韓、そして対米関係をあえて悪くするような発言を見過ごすわけにはいかなかったということなのでしょう。
    それにしても、感じるのは日本サイドの自己評価・修正能力のなさです。そもそも、こういう発言を都知事選の街頭演説であえてする人の資質自体が問われるのでは??

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  2. 同じ題材を扱っても、メディア(立場)によって、まったく視点が異なることが、以下の記事でわかります。最近、新聞社等のサイトではなく、こういうところのを見るのも多様な視点で流してくれるからです。
    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140208-00000554-san-soci

    このことからも、客観的な記事というのはないことがわかります。

    いずれにしても、最終的に判断しなければならないのは、一人ひとりの読者/視聴者なわけですが。

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  3. 海外メディアの見方
    http://www.nikkei.com/article/DGXNASGV10001_Q4A210C1000000/?dg=1

    単に、安倍さんが好き(擁護)派と安倍さん嫌い(反対)派の記事を読んでいるだけでもバランスを欠きます。

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  4. 今度は、方言/暴言が癖になっている森氏(まったく、大臣の器とは言えない人なのですが)の番
    http://bylines.news.yahoo.co.jp/mizushimahiroaki/20140221-00032858/
    言わなくてもいいことをさらに
    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140221-00000021-nkgendai-spo
    やはり、こういう人が東京オリンピック・パラリンピック組織委員会のトップというのは、人選した人の間違いとしか言いようがないのでは? それとも、人材がいない?
    単純に、報道の仕方の問題? いや、最後のは違うでしょ。

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