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2010年6月4日金曜日

引き続き「色」について

 色について考え続けています。

 レシーヴァーになって数週間が経ち、「ジョナスは記憶を通して、さまざまな色の名前を覚えた。今ではそれらの色をみな、ふだんの生活(もうふだんどおりではないことも、二度と以前の日常が戻らないことも彼にはわかっていたけれど)の中でも、知覚することができるようになっていた。(135ページ)

 そして、ジョナスはギヴァーに向かって言いました。

 「でも、ぼくはいつも色を見たいんです! ...おかしいですよ、世界に色がないなんて! ...すべてが同じなのであれば、選択のしようがないですよ! ぼくは朝起きて、どうするか決めたいんです! たとえば、今日は青い上着を着るか、それとも赤の上着にするか...なのに、ぜんぶ同じなんだ。いつだって...わかってます、何をきるかなんて重要じゃないって。そんなのたいしたことじゃない。でも...」(135~136ページ)

 それを引きとってギヴァーが「選ぶということが重要なのだ、と。そういうことかね?」

 それに対して、ジョナスはゲイブリエルにいろいろな色のおもちゃをさしだして選べるようになったらどんなにいいだろうと語った後で、ギヴァーが再度質問します。

 「ゲイブリエルがまちがった選択をする可能性もあるよ」

 それに対するジョナスの答えは、「そうですね、わかります。ニュー・チャイルドのおもちゃならたいしたことではない。でも成長したらそうはいかない。そういうことでしょう? 人々に自分で選ばせるなんて、とてもじゃないけどできませんよね...とんでもなくぶっそうです。仲間を自由に選べるなんてことになったら、どうなります? しかも選びまちがったら? あるいは、もし自分の仕事を選べるなんてことになったら?」(137ページ)
 「ものすごく恐ろしいです。想像すらできません。ぼくたちは何としても、まちがった選択から人々を護らなければならない」(138ページ)そのほうが、ずっと安全だから。

 色がないことは、記憶や選択や感情・気持ちがないことの象徴のようにも捉えられます。(赤がないことは、愛や興奮・情熱がないことですから。)
  それは、思考停止や判断停止も意味します。

 安全と引き換えに、色=記憶、選択、感情・気持ち=考えることを排除する選択をしたと。

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