ロイス・ローリーさんへのインタビューの続きを紹介します。
「あなたが書くことにとって、読むことはどれほど大切なのですか?」
それに対して、「読むことは極めて重要です。いい物を食べた経験がないなら、料理をつくる楽しみは味わえません。読まなかったり、読むことを楽しめないなら、書くことができるでしょうか? 作家にとって、読むことは継続的な学びでもあります。悪い作家から学ぶことはありますし、優れた作家からは大きな刺激を受けます」と答えています。
(出典: A Reading Guide to The Giver, by Jeannette Sanderson, Scholastic, p. 14)
本を読まない、あるいは本を読むことが嫌いな作家はいるでしょうか?
読むことと書くことは、切り離せないと思います。
作家にとってだけでなく、本来は、私たち一般人にとってもです。
しかし実態は、みごとなぐらいに切り離されています。どうして、そうなってしまったのでしょうか? どうもかなりの部分は、学校での国語教育に由来している気がします。少なくとも、私自身の経験はそうでした。
それを統合しようというのが、『ライティング・ワークショップ』『作家の時間』『リーディング・ワークショップ』(すべて、新評論)の方法です。
書くことや読むことを、単に勉強のため(あるいは、テストのため)ではなく、よりよく生きるために使い始めると、まったく違った個人や社会の可能性が拓けます。
いま、『「考える力」はこうしてつける』と『リーディング・ワークショップ』の2つの本の続編的な位置づけの『「読む力」はこうしてつける』の下書きを書いているのですが、以下はそのまえがきの一部です。
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10年ほど前に、「優れた読み手が使っている方法」を紹介してくれている(Strategies That Workというタイトルの)本に出会いました。
その方法を紹介する前に、「読む」とはどういうことか、についても簡潔にまとめてくれていました。
・ 考えること、意味を作り出すこと
・ 読んでいる時は、思考が脳の中をかけめぐっている
・ 見方/視点を作り出している
・ 場合によっては、生き方まで変わるときも...
・ 読み手は、部分的には書き手でもある
「まったく、その通りだよな~」とうなってしまったのを、今でもよく覚えています。少なくとも、私自身が体験した国語教育には、まったく欠落していた点ばかりでしたし、日々(とはいっても、20年ぐらい前から)、本を読むことを通して自分自身が実感していることでもあったからです。
紹介してくれていた「優れた読み手が使っている方法」は、次の7つです。
・ 自分や、他の読み物や、世界とのつながりを見出す
・ イメージを描き出す
・ 質問をする
・ 著書が書いていないことを考える(つまり「行間」を読む)
・ 何が重要かを見極め、他の人に説明できる
・ さまざまな情報を整理・統合して、自分なりの解釈や活かし方を考える
・ 自分の理解をチェックし、修正する
皆さんも、これらの方法を意識せずに使っていると思います。
このリストを最初に見たときの私の印象は、「なぜ、小・中学校時代に紹介してくれなかったの?」というものでした。紹介してくれていたら、自分で苦労せずに、もっと楽しく読むことができたと思ったからです。と同時に、これまでに読んだたくさんの読書術に関する本では得られなかった興奮を覚えました。
しかし、その後もいろいろ考えていると、これらは「読むとき」だけでなく、「聞くとき」に間違いなく使っていますし、「話すとき」や「書くとき」にも使っていると思います。「考えるとき」は必ずです。
そして、「世界を読むとき」「世の中を見るとき」にも使っています。
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